韓国 ムン大統領 就任1か月 北朝鮮との対話進まず

韓国 ムン大統領 就任1か月 北朝鮮との対話進まず
韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領は10日で就任から1か月です。80%を超える高い支持率を背景に国政の立て直しを急ぐ一方で、北朝鮮の核問題の対話を通じた解決をめぐっては相次ぐミサイルの発射などによって思うように進んでいません。
ムン・ジェイン大統領は、国民との意思疎通の不足が強い批判を招いたパク・クネ(朴槿恵)前大統領との違いをアピールしようと、この1か月の間にみずから記者会見を3回開いたほか、大統領府の高官も頻繁に会見で政策を説明をしています。

こうした姿勢が国民の共感を呼び、世論調査機関「韓国ギャラップ」が9日に発表した支持率は82%と、大統領の就任およそ1か月の時期としては歴代で最高水準だということです。

これを背景に、ムン大統領は就職難の解消に向けて公共部門の正規職員の数を増やしたり、省庁の改編に乗り出したりするなど、国政の立て直しを急いでいます。

ただ、閣僚らの人事では、閣僚候補が子どもの進学をめぐって不適切な行為をしていたことが発覚するなどして野党側の強い反対に直面しています。

また、対外政策では北朝鮮との対話を通じて核問題の解決を目指す姿勢ですが、北朝鮮がミサイルを相次いで発射したことで思うように進んでいません。

ムン大統領は今月から来月にかけてアメリカのトランプ大統領や安倍総理大臣と会談する予定です。アメリカの迎撃ミサイルシステムTHAADの韓国国内への配備を遅らせようとしていると指摘されるムン大統領に対して、トランプ大統領がどのような考えを示すのか、また、安倍総理大臣との間では慰安婦問題の日韓合意をめぐりどのようなやり取りが交わされるのか注目されます。

北朝鮮が談話 ムン政権への揺さぶりか

北朝鮮は9日夜、国営メディアを通じて朝鮮赤十字会の談話を発表しました。談話は、去年4月に中国のレストランで働いていた北朝鮮の女性従業員12人が韓国に亡命したことなどについて、「女性たちが拉致されて強制的に拘束されている」と主張しました。

そのうえで、朝鮮戦争などで南北に離れ離れになった離散家族の再会事業に言及し、「女性たちを無条件で送還しなければ、南北間の離散家族の再会をはじめ、いかなる人道協力事業もありえない」として、亡命した女性たちの送還を重ねて要求しました。

韓国政府は先月、韓国の民間団体が人道支援のために北朝鮮側と接触することを承認しましたが、北朝鮮はこの団体の北朝鮮訪問を拒否していて、今回の談話の発表も就任から1か月を迎えた韓国のムン・ジェイン政権に対して揺さぶりをかける狙いがあると見られます。