自民党の野田毅前税制調査会長は「財政・金融・社会保障に関する勉強会」と銘打った会合を開いた。その内容は「反アベノミクス」を掲げるもので、自民党議員約20人が集まったといわれている。
代表発起人の野田氏は財務省OBの財政再建派で、消費税増税にも賛成と財務省色が強い人物だが、この勉強会の発足はどのような意味を持つのか。
この勉強会で野田氏は「財政破綻の足音が聞こえている」と強調した。消費増税が2度延期されていること、債務残高がGDPの2倍を超える状況であることから、いまの財政状況は「最悪」であるとして、今後財政再建に向けた具体案を提案していくという。
この指針は財務省が望む方向性とかなり近く、実際、この勉強会の設立にあたり、財務省の協力もあったといわれている。「盤石」であるはずの自民党内に働きかけることで、安倍政権に揺さぶりをかける思惑があったのかもしれない。
安倍政権は、財務省の「悲願」である消費増税に積極的ではない。'14年4月に5%から8%へ、'15年10月に8%から10%と2段階の消費増税は、国会で一度承認されているにもかかわらず、安倍政権は2度も延期。このことに財務省はしびれを切らしている。
そもそも安倍政権が消費増税の延期を決めたのは、'14年の増税後に消費が落ち込んでしまったからである。2段階目の増税を危惧した安倍首相は「増税延期」を公約に'14年12月の総選挙に打って出て、圧勝した。
'13年末の閣議決定で増税が決まってから、メディアや学者の多数は財務省に忖度したのか、「増税しても景気は悪くならない」と主張していた。だがこの総選挙の結果を見れば、世論はまったく違う評価をしていたということがわかる。