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【社会】

知的障害男性、投票できず 選管が不手際謝罪

 四月に投開票された岐阜県各務原市長選で、重度の知的障害がある男性(18)が期日前投票をしようとした際、受付で市職員に「本人確認ができない」と判断され、投票を断念していたことが分かった。市選挙管理委員会は九日、対応が不適切だったと認め、男性側に謝罪した。

 市選管などによると、男性は四月二十一日、市内の期日前投票所を母親と訪問。受付で市職員から本人確認のために氏名を尋ねられた。母親によると男性は氏名を答えたが、市選管は「職員は聞き取れなかった」としている。母親が代わりに伝えようとしたところ、職員に制止された。

 男性は読み書きができず、発する言葉は周囲には聞き取りにくいが、指で意思表示はできるという。母親は受付で知的障害があることを伝えていたが、市職員は氏名などが確認できる療育手帳の提示を求めなかった。母親は、口頭での本人確認は難しいと考え、男性と帰宅した。

 男性は十八歳選挙権が導入された昨年七月の参院選では投票できたという。

 市選管は、職員が口頭以外での本人確認の手段を取らなかったことなどが適切でなかったと認め、母親に陳謝。担当者は「障害者団体と協議しながら改善を考えたい」と述べた。

 総務省選挙部管理課の担当者は「本人確認ができず障害者が投票できなかったという事例は、聞いたことがない」と話している。

 

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