THAAD:韓国大統領府が火消し「約束を見直す考えはない」

 米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備が環境影響評価を理由に事実上中断され、これが外交問題へと発展しつつあることから、韓国大統領府が自ら火消しに乗り出した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は環境影響評価について「国内での手続き」と何度も強調しているが、その意図とは逆にこの問題が海外でも大きく報じられているため、大統領府もその対策に乗り出さざるを得なくなったようだ。

 大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長(閣僚級)は9日に行われた会見で「韓国政府は韓米同盟の次元から、THAADに関して約束した内容を根本から見直す考えはない」と述べた。鄭室長はさらに「THAADは北朝鮮の脅威が高まる中で韓国と在韓米軍を守るために配備が決まった。政権が変わったからといってこの決定を軽く考えているわけではく、米国とは引き続き緊密に協議を続けていきたい」とも強調したが、その一方で「ただし民主的あるいは手続き的な正当性と透明性を明確にするため、国内で必要な手続きを踏んで行きたいと考えている」との考えも同時に示した。

 また大統領府の別の関係者もこの日、THAADに関する質問を受けた際「THAADについては今後大統領府では言及しない。担当の部処(省庁)がやるべきことだ」と線を引いた。大統領府は5日、6基からなるTHAAD発射台のうち、すでに配備された2基とは別に4基も国内にすでに搬入されていることが大統領府に報告されなかった経緯に関する調査結果を公表し、その中で「国防部(省に相当、以下同じ)の魏昇鎬(ウィ・スンホ)政策室長が意図的に報告しなかった」と結論づけたが、これによって大統領府として取るべき措置は終わったと考えているようだ。この調査結果発表後、文大統領も今後は国防部や環境部など関係部処(省庁)が協議して対応にあたるようすでに指示したという。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者
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