誰にでもできるアルトコイン投機判断

皆さんこんにちは。今日も元気に投機してますか?
投機、楽しいですよね。僕は大好きです。


さて、投機の本質とはなんでしょう?そう、「安く買って、高く売る」ことです。キャピタルゲインと呼ばれる利益ですね。

暗号通貨の売買で利益を狙う行為はこの投機です。昨今では「仮想通貨投資」なんて言葉が使われることがよくあるので、特に初心者の間では投資だと考えている方が多いです。

しかしながら実態は非常に単純。まず自分が買う。そして後から来た人により高値で押しつけてバイバイしてるだけなんですね。もちろん、そこで買った人もさらに後から来た人に高値で押しつけるつもりです。これを無限に繰り返すことはできないので、最後に回った人が損をするわけですね。大金を使った大人のババ抜きであると言えます。笑

ババ抜きをする対象は別に暗号通貨である必要でなく、球根だったり、鉱産物だったりします。21世紀の今、皆さんが熱狂している対象が暗号通貨だったというだけですね。
時間軸が加わってくるために気が付きにくいのですが、これは紛うことなきゼロサムゲームです。全員の購入額と全員の売却額は必ず一致します。取引所の売買手数料がある場合はその分マイナスサムですね。

一方、「投資」とは何か?例えば株式市場の場合は前述の投機的な側面がありつつも、集まった資金は株式会社の元に集まって企業活動に使われますから、正しく「投資」と言えます。
このように言葉の定義を正しく理解すると、「今自分が何をやっているのか、どのような立ち位置にいるのか」を俯瞰することができます。そして思わぬところで助けになるかもしれません。


これはよく指摘されていることですが、2017年現在の暗号通貨の場合は完全な新興市場で実需がほとんどありません。そのため、形成されている価格はほぼ100%が投機によるものです。価格に裏付けなどありません。
そのため前日比±10%を超えるような騰落でさえも「上がったから上がる」「下がったから下がる」程度の説明しかないこともしばしばです。ギャンブラー垂涎の非常に楽しい時期であると言えます。

そんな状況ですから、悪い人もたくさんいます。特に時価総額の小さい、流動性の低いコイン(俗にシットコインとか、草コインとか呼ばれます)を狙って「このコインは上がるぞ!」と風説を流布するパターンですね。特に界隈でプレゼンスのある人ほどこの手法は有効です。笑
流動性がないコインは数BTCの買いが入っただけで何%も騰がることがあります。そうすると、流布した内容が後付けで真実になるのです。ここからは「買いが買いを呼ぶ」こともおかしくありません。

元々、株式市場ではこういった行為は一般的でした。そのために「イナゴタワー」という言葉までできて、wikipediaにページがある始末です。殿様イナゴはきっと暗号通貨界隈にも存在していることでしょう。笑

もちろん株式市場と違い公正取引委員会も取締法も存在しませんから、暗号通貨市場では風説の流布は犯罪には当たりません。上手く乗れて資産を倍増させた人、その養分となってババを掴まされた人、悲喜こもごも。踊らされた方が悪い、そんなルール無用のサバイバルゲームなのです。


しかしながら、暗号通貨も連日のメディア露出でかなり認知度を上げてきました。そろそろ投資・投機に興味のある人間はあらかた流入し終わった頃でしょうか?こうなってくると、今のような狂乱も徐々にピークアウトして、まともなコインだけが生き残るフェイズに移行してくることでしょう。

いよいよここからが本題です。
「まともなコイン」とは何なのか?どのように判断するのか?

暗号通貨に価値の裏付けがあるとすればその技術そのものであることは間違いなく、これについては特に反論する方はいないと思います。

さて、これを簡易的に判断する方法があります。暗号通貨はそのほぼ全てがOSS(オープンソースソフトウェア)であり、コードの中身が全世界に公開され、誰でも閲覧・コミット(コードに変更を加えること)ができるのです。
OSSではインターネットを通じて様々な技術者が集まって、そのソフトウェアを発展させていくのです。素晴らしい仕組みですね。暗号通貨の代表・BTCももちろん複数の開発者が集まって今もその技術を日進月歩させています。試しにその様子を覗いてみましょう。

ページを開くと上段やや左に「commits」と書かれた項目があります。BTCの場合はその開発段階において14121回の変更が加えられたということですね。この項目をクリックしてさらに見ていきましょう。

コミットログが並んでいます。
僕のように本業がソフトウェア技術者であり、コードの中身に興味がある人間はここからさらにコミットの詳細を見て楽しむことがあります。が、技術者でない方はその中身の判断をすることは難しいでしょう。

ですが、最も簡単な判断方法があります。それは「開発そのものが続いているかどうか、活発かどうか」ということです。
上の画像の場合、最後のコミットは「10 hours ago」となっています。10時間前ですね。その前にいくつか並んでいるログも「2 days ago」ですね。2日前です。ごくごく最近であることがわかります。
これは今でも開発が続いていることの証左であり、安心感が持てますね。BTCはまだまだ大丈夫なようです。

さて、せっかくなので時価総額上位のコインをいくつかかいつまんで見ていきましょう。


XRP。最近一気に時価総額を伸ばしてきたコインですね。

企業が主導していることでやや異質なコインですが、それだけにリップル社の開発者が離れることもないという安心感はありそうですね。活発に開発が続いています。


NEM。日本のコミュニティが根強いコインです。

流石にBTCやXRPと比べると勢いは落ちますが、なかなか旺盛な印象です。その他の関連リポジトリ、IssueやPullRequestも合わせてチェックしましたがきちんと動きがあることが確認できます。
NEMの場合は日本語情報が非常に豊富なので、敢えてGithubのリポジトリをチェックしなくとも活発な雰囲気は伝わってくるとは思いますが。笑


LTC。Segwit銘柄として最近話題になりました。コミュニティの方向性が非常に健全。

こちらも非常に活発です。やはり時価総額上位のコイン達はしっかりしていますね。


せっかくなので時価総額上位でないコインも見てみたいと思います。柴犬のミームが可愛い、DOGEを見てみましょう。

最後のコミットは2016年の1月。少し遡ると2013〜2016年の間もほとんどコミットがありません。
元々柴犬のミーム画像をマスコットにしただけのコインですから技術力がなかったか、あるいは開発者が飽きているパターンですね。ほとんど朽ち果てたコインと言えます。

このように開発の止まったコインは当然新しい材料が出ることもなく、静かにその役目を終える可能性が高いと言えるでしょう。


ミーム繋がりなので、せっかくなので日本発を代表する(?)MONAを見てみたいと思います。

MONAのコミットログで注目すべきは下段3つのコミットですね。おや、先程どこかで見た気がしますね。また、コミットメッセージにも「Litecoin」という文字列が見受けられます。

そう、Monacoinは実はLitecoinのfork(コピーのこと)なのです。LitecoinはOSSですから自由にforkすることができます。それにかつて2chで流行っていたモナーというキャラクターのラベルを貼ったものがMonacoinです。

暗号通貨の中には、このように1からコインを作成する技術がない、もしくは継続的にコミットできる開発者が確保できない場合でもforkという手法で独自のコインを誕生させる場合もあります。
もちろんLitecoinはMonacoinにforkされた後も継続的に開発が続いていますから、Monacoin側もその変更差分をMonacoinにコピーし続けているということですね。Litecoinに大幅なアップデートがあった場合、今後もMonacoinはそれを追従してコピーすることでしょう。

こういった事情もGithubのリポジトリを閲覧することで知ることができます。


いかがでしたでしょうか。

「(コインの名称) Github」等でGoogle検索することで簡単に該当プロジェクトのGithubリポジトリにたどり着くことができますから、是非一度見に行ってください。

もちろんこれは簡易判断であり、全てではありません。発行総額やプレマインの量、ICOの有無……様々な判断要素があります。それでも、開発が続いているかどうかが重要なファクターであるかどうかは間違いないでしょう。
開発者に見放されているコインは、進化が止まっていることは当然として重大な脆弱性が発見されたとしても修正してくれる人すらいないのです。

あなたの抱えているそのアルトコイン、実はもうとっくに開発者が飽きて捨てられたものではありませんか?その場合、ババを引いているのは実はあなたかもしれません。