再犯防ぐ「治療的司法」 日本初の専門機関設立

再犯防ぐ「治療的司法」 日本初の専門機関設立
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罪を犯した人に対して、その原因となった依存症などの問題への対処を支援して再犯を防ぐ「治療的司法」の在り方を研究する日本で初めての専門機関が、東京の成城大学に設立されました。
東京・世田谷区の成城大学では、「治療的司法研究センター」の設立を記念して講演会が開かれました。

「治療的司法」は、1970年代以降、欧米で提唱されてきた理念で、薬物依存など犯罪の原因となった問題への対処を、司法制度の中で支援して再犯の防止につなげるという考え方です。

講演会では、厚生労働省で司法と福祉の連携を進めてきた前事務次官の村木厚子さんが「罪を犯す要因を抱えたまま出所する人もいる。出所後の一定の期間は支援が必要だ」と指摘しました。

また、研究センターの客員研究員の林大悟弁護士は、万引きを繰り返す「クレプトマニア」という依存症を例に挙げ、刑罰の代わりに治療プログラムを選択できる仕組みが再犯の防止に有効だと訴えました。

「治療的司法」を研究する専門機関の設立は、日本では初めてだということです。

成城大学の指宿信教授は「医療や福祉など社会の資源を活用するほうが刑罰よりコストが安く、本人や社会の幸せにつながる。刑罰中心の司法を見直すきっかけを提示したい」と話しています。