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トランプが窮地打開にすがる「12兆円超の武器ビジネス」

想定以上に”あからさま”だった証言

ジェームズ・コミー前連邦捜査局(FBI)長官は6月8日午前(日本時間同日深夜)、米上院情報特別委員会(委員長=リチャード・バー上院議員・共和党ノースカロライナ州選出)の公聴会で宣誓したうえで証言、次のように語った。

「フリン(前国家安全保障担当大統領補佐官)は良い奴だ。この件(ロシアゲート捜査)はやり過ごして欲しい」と、2月14日、ドナルド・トランプ大統領がホワイトハウスの大統領執務室で同席していたマイク・ペンス副大統領らを退席させた後、求めたというのだ。そしてそれは「大統領の命令」ではなかったが、「大統領の指示」と受け止めたと述べたのだ。

ワシントンの政界雀は、実は直前までコミー前長官がトランプ大統領からの「司法妨害」についてこれほどあからさまに証言するとは想像していなかった。それ故にホワイトハウス関係者の間に衝撃が走った。

 

というのも、前日の上院情報特別委員会公聴会で米インテリジェンス機関のトップであるダン・コーツ国家情報長官(元上院議員)を始め、マイケル・ロジャーズ国家安全保障局(NSA)局長(海軍中将)、アンドリュー・マッケイブFBI長官代行、ロッド・ローゼンスタイン司法副長官が参考人招致された際、彼らは一様にトランプ大統領からこれまで圧力を受けたことはないと証言していたからだ。

コミー氏が特別委員会公聴会に事前提出した書面には、トランプ大統領とコミーFBI長官の具体的なやり取りが再現されている。トランプ政権発足間もない1月27日午後6時半。場所はホワイトハウス西棟1階の「グリーンルーム」(大統領専用ダイニングルーム)。

トランプ「(長官職に)留まりたいか?私には忠誠が必要だ。忠誠を期待する」
コミー「……私はいつも誠実でいます。自分の仕事が大好きだし(任期である)10年間の職を全うしたい……」
トランプ「分かるだろう、私には忠誠が必要だ」

両氏はこの会話の途中、表情を変えず互いに顔を見やり、その場に奇妙な沈黙が続いたというのである。俄かに信じ難いシーンだ。

だが、コミー氏はトランプ大統領が後にウソをつくかもしれないと判断し、3回の面会と6回の電話についてすべて、直後に自分のパソコンにメモにして記録を残したとも証言した。