6か国がカタールと断交 事態沈静化への動きも

6か国がカタールと断交 事態沈静化への動きも
中東のサウジアラビアなど、6か国がカタールと国交を断絶したことを受けて経済への影響が広がる中、トルコのエルドアン大統領がカタールとサウジアラビアの首脳と電話会談して対話を促すなど、事態の沈静化に向けた動きも出ています。
中東のサウジアラビアやエジプトなど6か国は5日、カタールがイランが支援する組織とかかわっていることなどを挙げ、「テロ組織を支援している」としてカタールとの国交を断絶しました。

これを受けて、各国の航空会社がカタール発着の便の運航を中止したほか、カタールからの積み荷が各国の港に入港できないなど、人の往来や物流など経済への影響が広がっています。

また、サウジアラビア文化情報省は、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラが「テロ組織の計画を助長した」などとして、サウジアラビア国内の事務所を閉鎖させたことを明らかにしました。

こうした中、トルコのエルドアン大統領が5日、カタール、ロシア、サウジアラビアの首脳などと相次いで電話会談をして、「緊張緩和のために外交と対話の道を選ぶことが重要だ」と強調しました。

また、クウェートのサバハ首長もサウジアラビアの国王顧問と会談したあと、カタールのタミム首長と電話会談をするなど事態の沈静化に向けた動きも出ています。

ただ、2014年にも「ムスリム同胞団」をめぐりサウジアラビアなどがカタールから大使を召還した際も8か月間にわたって措置が続くなど、対立の解消には時間がかかるものと見られます。

日本 LNGの約15% カタールから輸入

カタールは、LNG=液化天然ガスの世界最大の輸出国で、日本は去年、LNGのおよそ15%をカタールから輸入しました。

東京電力と中部電力の火力発電部門の統合会社「JERA」は、火力発電に使うLNGのおよそ20%をカタールから輸入していますが、サウジアラビアやUAE=アラブ首長国連邦が国交を断絶したあと、カタールの国営のガス会社から供給に影響がないことを確認したということで、直ちに影響が出るとは考えていないということです。

ただ、カタールと国交を断絶する国がさらに増えれば、船舶が燃料の補給のために立ち寄ることができる港が減るなどLNGの輸出にも影響が出かねないとして、中東情勢の動向を注視するとしています。

また、カタールは石油資源も豊富で、日本にとってサウジアラビアとUAEに次ぐ3番目の輸入元となっています。カタールは、OPEC=石油輸出国機構の加盟国としてサウジアラビアやUAEとも協調して原油価格を押し上げるために減産に取り組んでいます。

石油元売り会社によりますと、カタールにとっても原油価格を安定させて外貨を得ることは重要なため、協調して減産を続ける可能性が高いということです。

カタールでは買いだめの動きも

サウジアラビアなどがカタールと国交を断絶したことで、カタール国内では輸入に頼っている生活必需品が不足することへの懸念が広がり、買いだめの動きが広がっています。

カタール国内の様子について、首都ドーハに10年以上在住している日本人の石塚万里子さんは、「国交断絶のニュースが流れてから、街なかのスーパーを訪れると、生活物資を買いだめするため買い物客であふれていた。5日の夕方の段階で、乳製品や卵、鶏肉、それに衛生用品などがなくなっていた。生活必需品のほとんどが外国からの輸入品なので、今後、生活物資がきちんと手に入るのか不安です」と話していました。

また、カタールには建設現場をはじめ多くの外国人労働者が暮らしていますが、「建築資材も多くを輸入に頼っているため、建設現場などでの仕事が今後見込めるのか、不安の声が上がっている。

また、カタール国内で仕事をする知人のUAE国籍の人は帰国を余儀なくされると話すなど影響が広がっている」と話しています。今回、カタールと断交した国々の間で人の往来が制限されることについては「湾岸諸国では、今月末にイスラム教の断食月=ラマダンが終わり、『イード』と呼ばれる祝日を迎える。イードでは、国籍が異なる遠い親戚縁者が、国境を越えて訪問し合うのが習わしになっているが、ことしは、カタールと断交した国々との間でそれが難しくなるということで、悲しみの声が広がっている」と話していました。