中村壱太郎の熱演に好感度アップ ~歌舞伎「伊勢音頭恋寝刃」。併せて、国立劇場のホール・サービスにも一言。
秋晴れ、14日(水)。これから、毎月、歌舞伎も鑑賞しよう、ということで、今月、まずは、文楽との競演でもある、
東京・国立劇場、歌舞伎、
「通し狂言 伊勢音頭恋寝刃」(いせおんど こいのねたば。3幕8場)
に夫婦して参りました。
席は、「大向こう」、つまり、3階最後列。しかし、国立劇場は、奥行きが浅いですし、勾配が急なので、特に、ご贔屓がいない私は、ここで十分です。因みに、値段は、1,500円です。
余談ですが、夫婦で歌舞伎に行くと、終演後の夜は、いつも新橋、第1ホテルの世界バイキングで、年甲斐も無く満腹になり、その後、気楽な老夫婦のこと、帰るのも億劫だからと、泊まっていくこととなります。今回も、そう。
さて、「伊勢音頭恋寝刃」は、どうしても、文楽との比較、という見方になりますが、歌舞伎のラストは、文字通り〈砂切り〉、ま、終わってつべこべ考えさせないこと、が生きてくる〈夏芝居〉です。団扇も、たくさんうち並びます。
何よりも、お紺役の、中村壱(かず)太郎(成駒屋。1990ー)が、好感持てる熱演です。人気が出ますね。
祖父・四代目坂田藤十郎、父・中村雁次郎(成駒屋)ですね。
仲居万野、中村魁春(加賀屋)、がもう少し、しみ出るような意地悪さを発揮するかとも思いましたが、
中村松江(成駒屋)、演ずる油屋お鹿
【平成18年の襲名は、「伊勢音頭恋寝刃」の今田役】
が、印象に残る演技。
今回は・・、
6世中村歌衛門(成駒屋)の子(養子、芸養子含む。)、
先ほどの、中村魁春(加賀屋)のほかに、
中村東蔵(加賀屋)、演ずる福岡貢の叔母おみね、
立役頂点の一人、中村梅玉(高砂屋)、演ずる福岡貢
【平成2年の襲名は、「伊勢音頭恋寝刃」の福岡役】
さらに、東蔵の長男、
さきほどの、中村松江(成駒屋)、といったところが見所の布陣。
また、正直正太夫、料理人喜助は、上方の伝統を守りたい、中村雁次郎(成駒屋)【父は、坂田藤十郎、母は、扇千景】です。
もともとの劇が一夜漬けですが、演出が、割合早いペースの進みで楽しめました。
さて、この日、劇場では、サービスなども含めた「アンケート」を入場者全員を対象に行っていましたが、この際、気づいたことを一つ・・。
(以下、下記の「続きを読む」をワン・クリックしてお読みください。)
その前に、まず、この意見を、相手も知らないと意味が無いので、同じことを、国立劇場ホームページにある『意見』欄に投稿したら、ちょっとゆっくり書いて・・ほんの数分ですが・・いると、「タイムアップ」で、「送信できない」と表示されてしまうんです。
仕方無いので、ほかで書いて、それをコピペして、1分内で送信すると、今度は、見事、成功。
おかしくないですか。意見なんて、ゆっくり推敲して書きたいですよね。ほんの少しの時間ですよ。
本題です。上演中の〈途中入場〉のことです。
この日、通路脇に座った私の列と、その前の列に、2度も、あと少しで、舞台転換というときに(ミニ・クライマックスでもあります。)、それぞれ途中入場されて来たのです。
2度目の、前列を横切った人は、白人の、年輩の、杖をついた女性です。
ただでさえ狭い席で、足が不自由だから大変です。おまけに、その人の席のあたり、空席が3席ぐらいあったので、どこに座っていいか分からない。
案内のスタッフが、交通整理のお巡りさんのように、手を回して合図。
この人の場合、足の悪い方だったので、スタッフが気をきかせたのでしょうが、逆効果。どうせ、気をきかせるなら数分後の舞台転換の時にすれば、両者から不満が出ず、「さすがプロ、お見事」、となったのでしょうが。
(ちなみに、この外国人女性、座ってから、写真を撮りまくり。とってからの画像確認もじっくり。誰も、注意しません。)
さすが、2度にわたって鑑賞を中断されたので、30分の途中休憩時間に、フロア・スタッフの女性に、迷惑した旨を伝え、劇場の「途中入場のルール」を聞くと、毅然として、
「国立劇場では、チケットをお持ちのお客様は、原則、(上演中でも)入っていただいております。」
とのこと。
(でも、この言い方って、後で考えたら、明らかに、喧嘩を売られていますよね。まずは、すいませんねえ、の一言でしょう。)
「えっ、原則、なんですか、それが」、と聞くと、「ま、責任者に言ってほしい」、と言うことで、時間があるので、1階出入り口まで行って男性に、
「チケットをお持ちのお客様は、原則、入っていただいております」、と聞いたが、「(鑑賞している人の迷惑よりも)ほんとに、それが原則なの?」と聞くと、これも毅然と、
「はい。」。しかも、
「歌舞伎は、(オペラなどと違って)伝統芸能ですから」
と。(これも後から考えると、随分と、上から目線ですが。再三、「後から考えると」と言っているのは、この時、私は、喧嘩などせず、冷静に言っているからからです。)
国立劇場のホームページの「鑑賞のマナー」欄には、途中入場は、「他のお客様の迷惑になりますから」後方で、待っていただく・・云々のニュアンスで書かれていますが、「チケットを持っている方は、原則入れる」とは反対の言い方。
初めて知りました、
「国立劇場では、チケットをお持ちのお客様は、原則、上演中でも、(たとえ、迷惑になっても、と言っているのと同じです。)入っていただいております。」
とは。ふつうの劇場常識とは、だいぶん違いますが、これが国立劇場の扱いと知れば、腹も立たないか・・。
余談ですが、以前、帝国劇場のホール・スタッフが、休憩時にフロアを廻る時に、
「何か、お困りのことはありませんか~。」
と言いつつ歩いていたのや、青山劇場で、トイレに並んでいる妊婦さんをホール・スタッフが、どこか、別のところに連れていった、など、その日の演目より、あたたかい想いの印象を持ったこともあるのですが、こんなことはまれですねえ。
かく言う私、昔、劇場を持つ芸術財団の事務局長を勤めていたんです。
その時、何冊も読んだのは、有名ホテル、支配人の接客術の書物でした。ま、それは、老人の自慢話で、どうでもいいことですが、冒頭の「アンケート」ですが、少なくとも、狭いホールのサービスについては、お客さんにアンケートしなけりゃ分からないのでは、如何か、と思うんです。
国立劇場は、もう、行くのよそうかな、と思いましたが、11月は予習をすませてチケットも買ってあるし、12月はチケットを買うつもりで、先にもうクリスマス・ディナーのレストランを予約済みだし、1月は、この月まで連続で観ると国立劇場の景品をもらえるそうだし、・・・ま、もう少し・・★