【英総選挙】 過半数割れのメイ首相、組閣へ 地方政党の支援得て

総選挙後で過半数を失った後、自分が新政府を組閣すると発表するメイ首相(9日、ロンドン・ダウニング街) Image copyright AFP
Image caption 総選挙後で過半数を失った後、自分が新政府を組閣すると発表するメイ首相(9日、ロンドン・ダウニング街)

英総選挙で下院過半数を失った与党・保守党を率いるテリーザ・メイ英首相は9日、北アイルランドの保守政党、民主統一党(DUP)の10議員の支持をもとに、新政府を組閣すると発表した。総選挙の結果、下院は単独過半数の政党がない「宙吊り議会(hung parliament)」となった。

バッキンガム宮殿を訪れエリザベス女王から儀礼的に組閣の許可を得たメイ首相は、ダウニング街の首相官邸前で、下院第一党として「正当」な政府を作れるのは保守党だけだと述べた。

「女王陛下とお会いしてきました。これから政権を組閣します」と首相は述べ、国に確実性を提供し、国の全員にとって良いブレグジット交渉を進め、イスラム過激主義から国を守り、公平で繁栄の機会を誰もが共有する国づくりを進めていくと表明した。

首相はDUPの「友人や仲間」と共に、ブレグジット(英国の欧州連合離脱)交渉を前進させていくと述べ、「では仕事開始です」と呼びかけた。

保守党は331議席から13議席減らして、318議席を獲得。最終的には319議席になる見通しだが、過半数326議席には足りない。しかしDUPの10票が確保できれば、過半数に達する。

29議席増の261議席を得た労働党のジェレミー・コービン党首は、メイ首相に辞任を促し、自分が少数内閣の首班として「仕える用意がある」と述べている。自由民主党のティム・ファロン党首は、メイ首相は「恥を知るべきだ」、「かけらほどの自尊心があるなら」辞任すべきだと批判した。

メイ首相は4月、ブレグジット交渉に向けた足場固めのために総選挙の前倒しを発表した。しかし党の政権公約が高齢者の在宅介護費の自己負担分を引き上げたことが、保守党支持層に強く批判されたほか、首相が党首討論会に一切参加しなかったことも問題視された。

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Image caption DUPはブレグジットを強く支持している

メイ首相は、個別案件ごとに賛成票を保守党に「貸す」、「信頼と提供」と呼ばれる非公式な取り決めを、DUPと交わすものとみられる。DUP関係者は、話し合いは始まっているが、正式には何も決まっていないと話す。

予想外の29議席を増やした労働党は、独自に少数政府を組閣する用意があると話している。しかし仮に、スコットランド国民党(SNP)や自由民主党、緑の党、プライド・カムリの各党といわゆる「革新連合」を組んだとしても、合計313議席にしかならず、過半数には足りない。

SNPは22減の35議席と後退。このため、SNPが掲げたスコットランド独立のための2回目の住民投票の実施は、当面遠のいたとみられている。

(英語記事 May to forge 'government of certainty' with DUP backing

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