東京の満員電車対策は「ロンドン」に学べ

ピーク時は割増運賃、面積半分の座席も登場

運賃面でいくら特典をつくっても、一方で早いペースで利用客が伸びているのが現実だ。列車本数の増発や信号システムの改良でより多くの乗客をさばこうとしているが既存のインフラでは限界もある。

そんな中、電車の車内で座れる人数をもっと増やそう、という新たなアイデアが発表された。「パブのスツール」のような形状の“いす”「ホライゾン」だ。

着席できる乗客が3割増える

窮屈そうに見えるが、現物に“着席”してみると想像以上に快適そうに感じた(展示会Railtex会場で、筆者撮影)

そのユニークなデザインはロンドンを拠点に、列車や旅客機のいすや内装を手がけるプリーストマングード社が考案。従来の座席と比べ、着席部分の長さが半分しかない。お尻で寄りかかれる程度のものだが、それでも1時間以上立ちっぱなしになるよりはずいぶんと楽だ。

窓際に座ってしまうと通路側の乗客に1度立ってもらわないと降りることができない。もっとも英国では電車で隣り合わせた人とおしゃべりするのは普通のことだ。「僕のほうがあなたより遠くに行くので、窓際に座るよ」といった言葉を交わしたりして「狭さ」を克服するのだろう。

「ホライゾン」の製造に携わるトランスカル・エンジニアリング社のイアン・ハウエル取締役に話を聞いたところ、「このいすはどんな通勤電車にも導入可能。着席可能人数は従来と比べ3割以上増える」と述べたうえで、「導入に前向きな会社もある」と説明した。この「ホライゾン」が装着された通勤電車が導入されるのも間近かもしれない。

ロンドンでは来年、街を横断する「クロスレール(エリザベス線)」が部分開通し、都心部の道路と地下鉄の混雑緩和が一気に進むことが期待されている。英国は欧州連合(EU)からの離脱を決めたとはいえ、依然として国外やほかの地方からの人口流入が止まらない。新たなアイデアや鉄道の開通で交通行政が進展することを期待したい。

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