【RAIZIN presents】集中連載! nendo 佐藤オオキのひらめきのスイッチ 真鍋大度(ライゾマティクス)
佐藤オオキが今回、じっくりと話を聞いたのは〈ライゾマティクス〉の中心人物である真鍋大度。そのロジカルな創造の秘密に迫ります。
プログラムの基本は数学。 そこに感性が入る余地は?
佐藤 チームの中でも、人によって得意不得意がありますよね。
真鍋 ありますね。歌っている人の手から絵が出る映像があるとしたら、映像から手の形を検出するプログラムがあり、そこから絵が出るプログラムがあって、それぞれ担当が違います。描画系が得意な人でも、映像の解析は苦手だったり。ただプログラムは基本的に数学なので、正解がはっきりしていて、プロセス自体は単純です。
佐藤 それをいかに最短距離で走るか、という感覚でしょうか?
真鍋 そうですね。誰がどれくらいコードを書いているかも、ログを見るとすぐわかります。
佐藤 仕事の中身が全部わかるのは怖い(笑)。ただ一度作ったものは蓄積されて、経験値が上がっていくんでしょうね。そうやって作品が出来上がっていくとき感性が入り込む余地はあるんですか?
真鍋 作業自体はプログラムでも、色や形の設定には感性が必要です。エンジニアによっては原色しか使えなかったりしますね。ただ僕にとってデザインはすべてプログラムであり、データで成り立っています。逆に、白紙に自由に描くような作業は苦手で、イラストレーターもフォトショップも使えない(笑)。映像も自作のソフトでしか作ったことがありません。
佐藤 普段、何かきれいなものを見たときも、ロジックで解析しようとするんですか?
真鍋 うーん、身の回りにあるもののデザインにはこだわりがないというか、恥ずかしながらよくわからないんですよね(笑)。やっぱりデータが専門なんです。
真鍋 ありますね。歌っている人の手から絵が出る映像があるとしたら、映像から手の形を検出するプログラムがあり、そこから絵が出るプログラムがあって、それぞれ担当が違います。描画系が得意な人でも、映像の解析は苦手だったり。ただプログラムは基本的に数学なので、正解がはっきりしていて、プロセス自体は単純です。
佐藤 それをいかに最短距離で走るか、という感覚でしょうか?
真鍋 そうですね。誰がどれくらいコードを書いているかも、ログを見るとすぐわかります。
佐藤 仕事の中身が全部わかるのは怖い(笑)。ただ一度作ったものは蓄積されて、経験値が上がっていくんでしょうね。そうやって作品が出来上がっていくとき感性が入り込む余地はあるんですか?
真鍋 作業自体はプログラムでも、色や形の設定には感性が必要です。エンジニアによっては原色しか使えなかったりしますね。ただ僕にとってデザインはすべてプログラムであり、データで成り立っています。逆に、白紙に自由に描くような作業は苦手で、イラストレーターもフォトショップも使えない(笑)。映像も自作のソフトでしか作ったことがありません。
佐藤 普段、何かきれいなものを見たときも、ロジックで解析しようとするんですか?
真鍋 うーん、身の回りにあるもののデザインにはこだわりがないというか、恥ずかしながらよくわからないんですよね(笑)。やっぱりデータが専門なんです。
ネガティブでいることが仕事を成功させるコツ。
佐藤 仕事する上で、リズムを整えるための習慣はありますか?
真鍋 Macのキャッシュをクリアすることですかね。コンピューターのキャッシュメモリーって、本棚の本を取り出して、そのまま机に置いておくようなもので、そのほうが作業スピードは早くなるけど、たまに元に戻すと気分がスッキリします。またはコンピューターを再起動してみたり。
佐藤 再起動の音は気持ちいいですもんね。真鍋さんは音楽もお好きですが、音楽でリフレッシュすることはありますか。
真鍋 DJやサントラの曲を作っていたこともあって、ディテールまで真剣に聴いちゃいますね。数学も音楽も若いうちにやっておかないと身につかないと思うので、両方やっていてプログラムもできるのが自分の強みなのかなと。
佐藤 真鍋さんの仕事は、技術的にすごく難しいはずのことが、簡単にできているように見えます。
真鍋 その調整には時間をかけています。昨年、日本科学未来館で行ったビョークのライブでは、360度のARをリアルタイムで全世界に配信しました。
佐藤 生放送で、しかも全世界に配信。やはり緊張しましたか?
真鍋 ビョークのパフォーマンスも生モノですし、ドキドキしましたね。事前に想定しておくべき点はいろいろとありましたが、ビョーク次第なところも多く、本番が始まるまでは、テックチームが万が一の事態に備えてスタンバイをしていました。
佐藤 万が一を予測して対処しておくっていうのは納得です。よくプレゼンの前はポジティブシンキングってビジネス書に書いてありますが、僕はその逆かもしれません。リスクもしっかり想定して、取り除くほうがいい。
真鍋 ワーストなシナリオは全部用意しておくんです。伝えることはポジティブでも、作業はネガティブ。それが性格に影響しそうなので、少し前から仕事と関係ないことをやろうと思ってダンスを始めました。朝、ダンスをした日は考え方がすごくクリアになります。トレッドミルで歩きながら仕事することもあります。
佐藤 クリエイターは頭が疲れる職業なので、それと同じように身体も疲れさせるほうがいいのかもしれません。両方のバランスを取るのが大切なんでしょうね。
真鍋 Macのキャッシュをクリアすることですかね。コンピューターのキャッシュメモリーって、本棚の本を取り出して、そのまま机に置いておくようなもので、そのほうが作業スピードは早くなるけど、たまに元に戻すと気分がスッキリします。またはコンピューターを再起動してみたり。
佐藤 再起動の音は気持ちいいですもんね。真鍋さんは音楽もお好きですが、音楽でリフレッシュすることはありますか。
真鍋 DJやサントラの曲を作っていたこともあって、ディテールまで真剣に聴いちゃいますね。数学も音楽も若いうちにやっておかないと身につかないと思うので、両方やっていてプログラムもできるのが自分の強みなのかなと。
佐藤 真鍋さんの仕事は、技術的にすごく難しいはずのことが、簡単にできているように見えます。
真鍋 その調整には時間をかけています。昨年、日本科学未来館で行ったビョークのライブでは、360度のARをリアルタイムで全世界に配信しました。
佐藤 生放送で、しかも全世界に配信。やはり緊張しましたか?
真鍋 ビョークのパフォーマンスも生モノですし、ドキドキしましたね。事前に想定しておくべき点はいろいろとありましたが、ビョーク次第なところも多く、本番が始まるまでは、テックチームが万が一の事態に備えてスタンバイをしていました。
佐藤 万が一を予測して対処しておくっていうのは納得です。よくプレゼンの前はポジティブシンキングってビジネス書に書いてありますが、僕はその逆かもしれません。リスクもしっかり想定して、取り除くほうがいい。
真鍋 ワーストなシナリオは全部用意しておくんです。伝えることはポジティブでも、作業はネガティブ。それが性格に影響しそうなので、少し前から仕事と関係ないことをやろうと思ってダンスを始めました。朝、ダンスをした日は考え方がすごくクリアになります。トレッドミルで歩きながら仕事することもあります。
佐藤 クリエイターは頭が疲れる職業なので、それと同じように身体も疲れさせるほうがいいのかもしれません。両方のバランスを取るのが大切なんでしょうね。
佐藤オオキ
さとうおおき 1977年カナダ生まれ。 2002年〈nendo〉を設立。国内外で様々なデザインを手がける。10月1日まで、ベルギーの世界遺産に登録されている美術館〈ル・グラン・オルニュ〉にて個展を開催中。
真鍋大度
まなべだいと 1976年東京生まれ。〈ライゾマティクスリサーチ〉代表。東京理科大学卒業後、2006年に〈ライゾマティクス〉を共同設立。ARやドローンなど最新の技術を取り入れた実験的な作品で国際的に評価される。
〈RAIZIN〉を無料で試飲できるサンプリングを〈コーネルコーヒー〉にて実施中。●東京都港区赤坂7-2-21 草月会館2F TEL 03 6434 0192。9時〜18時(土・祝〜17時)。日曜休+不定休。