恐竜の名前は?と聞かれたらまっさきにでてくるほど知名度が高い「ティラノサウルス」は、ジュラシック・パークを含む様々な創作作品に登場している。
今から約6850万〜約6550万年前(中生代白亜紀末期マストリヒシアン)の北アメリカ大陸に生息したとされている体長11メートルを超える巨大な肉食恐竜だ。
ところが一時ネット上を賑わしたのが、ティラノザウルス羽毛問題。
これは、ティラノサウルスと近縁種のユウティラヌスの全身が羽毛で覆われていたことがわかったために、ティラノサウルスにも羽毛が生えているのじゃないかと噂された問題なんだけれども、今回の新たなる研究でその真相がわかった。
ティラノサウルスはモフモフふわっふわな羽毛恐竜ではない。
その皮膚はウロコで覆われていたのだという。
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これは、オーストラリア・ニューイングランド大学の古生物学者フィル・R・ベル(Phil R. Bell)氏の最新の研究で明らかとなったものだ。
様々な創作作品に登場するティラノサウルスの変移
ティラノサウルスがポップカルチャーに初登場したのは1918年の映画『スランバー山の幽霊』だ。このときのティラノサウルスはシワのある皮膚を持ち、直立して尻尾を引きずりながら歩いていた。
image credit:The Ghost of Slumber Mountain - Wikipedia
これが間違いであると考えられ始めたのが1960年代後半で、1993年『ジュラシック・パーク』でかなり現実に近い水平に体を伸ばしたティラノサウルスが銀幕に登場した。
image credit:StanWinstonTRex - Jurassic Park (film) - Wikipedia
ティラノサウルスに羽毛があるというイメージが広まり始める
そのイメージはここ最近でまた変化してきた。
ディロングとユウティラヌスは、ティラノサウルスよりも5,000万年早く登場したその近縁種であるが、羽毛で覆われていたことが発見された。こういった証拠により、ティラノサウルスも全身羽毛が生えていたのではないかという新しいイメージが広まった。
出所はわからないがネット上ではこんなコラ画像が
ティラノサウルスとして世界中に拡散されていったのだ。
最新の調査でティラノサウルスの皮膚からウロコが発見
ところが、これは大切なことを無視している。「羽の生えた獣脚竜と大げさにまくし立てられたことで、ほとんどの恐竜には爬虫類のようなウロコがあったのだということを忘れてしまっています」とベル氏(なお獣脚竜はティラノサウルスなどが属すグループで、鳥の祖先でもある)。
ベル氏らはティラノサウルスとそのかなり後期に登場した4種の近縁種(アルバートサウルス、ダスプレトサウルス、ゴルゴサウルス、タルボサウルス)の皮膚を調査した。
歴史的に古生物学者はこれまで、骨を得るために皮膚を破壊してきた経緯があるため、ティラノサウルスの皮膚は大変希少である。
その結果、ティラノサウルスの腹部、胸部、骨盤、首、尻尾の皮膚からウロコ以外の何物でもないものが発見された。
もし仮に羽毛があったとしても、背中の背骨に沿ってしか生えていなかったことが判明した。
ティラノサウルスの尻尾のウロコimage credit:(Courtesy of Peter Larson/Bell et al. Biol. Lett.
ただしまったく羽毛が生えてないとは言い切れない
こうした発見があったからといって、ティラノサウルスに羽が生えていなかったことにはならない。しかし、少なくとも全身が羽毛で覆われていたということはなかったと推測される。
巨大化により羽毛が失われていった?
なお初期の近縁種と違い、ティラノサウルスが羽毛に覆われていなかった理由として、ベル氏は巨大化したことが原因ではないかと仮説を立てている。
羽の生えたディロングは大型犬くらいの大きさであるのに対して、ティラノサウルスはバスほどもある。
体が大きい動物ほど熱を逃がすことが難しくなるため、寒い地方に生息しているのではない限り、羽毛を生やすのは得策ではない。例えば、ゾウもネズミのようには被毛を生やしていないだろう。
しかし、やはり羽が生えているユウティラヌスはティラノサウルスほど大きくはないにしろ、犬に例えられる大きさではない。
似たような気候の中で暮らしていたにもかかわらず、羽毛のある仲間とない仲間がいる。その理由については、ベル氏にも見当がつかないとのことだ。
via:royalsocietypublishing・sciencemag・tbnewswatchなど/ translated hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ティラノサウルスに羽毛がって話って元々「体の小さい子供時代には体温調節用に羽毛が生えていたかもしれない」って感じの説がメインじゃなかったっけ。
いつの間にか大人のティラノサウルスにもフッサフサ生えてただろうに変わってたの?
2. 匿名処理班
恐竜関係ほど古い知識があてにならないモノも珍しい
3. 匿名処理班
問題のユウティラヌスのWiki抜粋
「羽毛と言っても、単一の軸をもった毛状ないし棘状の繊維構造であり、現生鳥類から一般に想像される分枝したものではない。」
羽毛というよりは棘?ディスプレイのためだったのかも。
羽毛という言葉だけが一人歩きして、間違ったイメージを植え付けたってかんじだね。
4. 匿名処理班
ということは高緯度の寒い地域に住んでたティラノは全身羽毛が生えてた可能性があるということだね
5. 匿名処理班
>巨大化により羽毛が失われていった
つまりハゲになってしまったということか
6. 匿名処理班
個体差がかなり大きいとかに落ち着かんのか?
7. 匿名処理班
恐竜をはじめとした古代の生物の醍醐味は新しい説でどんどん姿が変わってく事、これだから図鑑を捨てられない。
8. 匿名処理班
象を引き合いに出しちゃったらキリンはどうなんだってなるしなぁ
9. 匿名処理班
玉乗り仕込みたいね
10. 匿名処理班
やっぱそうだろ
鶏じゃねんだぞ
11. 匿名処理班
そもそも羽毛の話はメディアが勝手にセンセーショナルに広めただけで、専門家はみんな冷静だった
12. 匿名処理班
ティラノサウルスに羽毛が有っても無くても、どちらでも良いけれど、やっぱり幼少の頃から図鑑などで見慣れた「ウロコ皮膚の復元図」を見ると安心する…という心理は有ると思う。一種の刷り込みみたいな例だと思うのだけどね。やっぱり慣れって重要なのかな?とは思う。それに恰好良さではウロコ皮膚の方が上では?という気もする。羽毛皮膚では鶏の出来損ないみたいなイメージしか浮かんで来ない。
13. 匿名処理班
住んでる場所の気候によって多少作りが違う亜種みたいなのが色々いたんじゃないの。