英総選挙:保守党が過半数割り込む見通し、出口調査-ポンド下落
- ハングパーラメントになるとの見通しが共同出口調査で示された
- 保守党が僅差で過半数を維持したとしてもメイ首相の留任は流動的
8日投開票の英下院選挙で、メイ首相率いる与党・保守党が過半数議席を割り込み、絶対多数政党不在の「ハングパーラメント(中ぶらりんの議会)」になるとの見通しが、投票締め切り直後に公表された共同出口調査で示された。英国の欧州連合(EU)離脱に向けた協議入りを前に、この衝撃的な予測で英国政治の先行きは不透明になった。
BBCなどのメディアは共同出口調査で、定数650の下院で保守党は314議席にとどまるとの見通しを示した。現有議席は330。過半数には326議席が必要。出口調査によると、コービン党首を率いる労働党は266議席と、現有の229から増やす見通し。
ポンド相場は一時対ドルで1.9%安の1ポンド=1.2709ドルまで売られた。その後値を戻し、ロンドン時間8日午後11時55分(日本時間9日午前7時55分)現在、1.2807ドルで推移している。
共同出口調査は過去において概して正しい予測を示してきたが、2015年選挙の時だけは保守党議席を少なく見積もった。与野党の政党指導者らは、開票間もない段階で出口調査に頼り過ぎるべきではないと表明した。最初に開票されたイングランド北東部の2選挙区の結果は、労働党が出口調査予測ほど良くないことを示した。
英国民投票でEU離脱を決めて1年足らずのうちに、再び政治が混乱する見通しとなり、投資家はとまどいを隠せないでいる。保守党が過半数を得る可能性はまだ残っているものの、まず最初に注目されるのはメイ首相の対応だ。出口調査通りの結果となれば、メイ首相は辞任するか、それとも新たな政権樹立に取り組むか、二者択一を迫られる。さらに再選挙の可能性もある。
オズボーン前財務相はITVとのインタビューで、「出口調査がほぼ正しければ、保守党とメイ首相にとって壊滅的な結果となる」と指摘した。
出口結果通りならば、英国のEU離脱にも大きな影響が出る見通しだ。EU首脳との協議は2週間足らずで始まる見通しだったが、延期を余儀なくされる可能性がある。また労働党のコービン党首がスコットランド民族党(SNP)や自由民主党などとの連立を模索する可能性も少ないながらある。出口調査ではSNPは34議席、自由民主党は14議席の見込み。
共同出口調査チームを率いたストラスクライド大学のジョン・カーティス教授(政治学)はBBCテレビとのインタビューで、誤差率が大きいため保守党が過半数を獲得する可能性は排除できず、30ないし40議席上回ることは起こり得ると述べ、注意を促した。
仮にそのシナリオ通りになった場合でも、メイ氏が首相の座を維持できるかは不確実となり、英国のEU離脱の道筋は不透明化する見込みだ。誰が首相になるにしても、EUとの交渉での英国の立場は大きく弱まると予想される。
原題:U.K. Heads for Hung Parliament as May Election Gamble Fails (2)(抜粋)