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たぱぞうの米国株投資

米国株投資で人生の選択肢を増やすという提案です。某投資顧問のアドバイザーをしています。

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セブンイレブンの改装から見るメディアの栄枯盛衰

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 セブンイレブンが改装を始めた

 近所のセブンイレブンが改装を始めました。よく使うコンビニで、7年間お世話になっていますがこんなことは初めてです。店員さんに聞いてみると、全国的に今は改装中なのですね。20日近く改装するそうです。

 

 売り上げを犠牲にしてまで改装する意味を知りたく、調べてみました。すると、下記のようなデータを見つけました。

 

 こちらは改装前の店内レイアウトです。まさにズバリうちの近所のセブンです。

f:id:tapazou:20170606073041p:plain

  それがおよそ20日後にはこうなるようです。

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セブンイレブンの新フォーマット店舗(店内レイアウトの大幅変更) – コンビニウォーカー

 

 ズバリ簡単に言うと、食品に力を入れるということですね。

 

 ちなみにヨーカドーやイオンなどのGMS、いわゆる総合スーパーは食品コーナーが収益源です。かつては消費者の生活のすべてをカバーするかのごとく衣料、家電、日用雑貨、はたまた観覧車などのエンタメまで持っていました。

 

 しかし、年々多様化する消費者の生活のニーズをカバーしていくには単体のGMSでは無理があり、続々閉店をしています。結果として起きているのがユニクロやニトリなど専門店の隆盛であり、アマゾンや楽天の伸長です。

 

 GMSで思い起こされるのは古くはマイカル、長崎屋、ダイエーなどですが、勝ち組であるはずのヨーカドー、イオンなども経営は簡単ではありません。これらGMSの数少ない強みが食品ということです。

 

 これは、共働き世帯が増えたことが大きな要因です。つまりは家事をする、食事をつくる時間と手間がなかなか取れないのです。いわば、お金で家事を買う、言い換えるとお金で時間を買う選択になります。

 

 共働き家庭の保育園送迎時代の家事の忙しさは、ある意味では仕事以上です。いわば、こうした層のニーズがある限り、店舗型小売の最後の牙城が食品と言ってよいでしょう。

 

 コンビニはその利便性から小売り、食品で優位な業界でした。しかし、店舗が飽和していることで、売り上げが限られてきています。そのため、地域、ユーザーの奪い合いになっています。結果として、毎年のように各社テコ入れがされています。

 

 ちなみにセブンはその中でも圧倒的な強さを持っており、一店あたりの1日売上高でおよそ70万円~65万円と言われます。業界2位のローソンと3位のファミマが55万にギリギリ届かないレベルですからダントツの売上高です。

 

 今回の全国的な改装はその業界王者のセブンが行っているということで、注目されてよいでしょう。今後、店舗型小売の強みである食品にさらに力を注ぐことを鮮明にしたからです。

劇的に減るのは書籍・雑誌・新聞コーナー

 書籍雑誌コーナーの縮小が目立ちます。書籍・雑誌の発行部数の減少は今に始まったことではありませんが、セブンに各社コンビニが追随するようになると一層の部数減に拍車をかけることになるでしょう。

 

 インターネットが広く世間に膾炙したのは1995年です。パソコンでインターネットをするのが一般的でした。持ち運びが不便なので、軽量ノートパソコンを持っている人などがどこでもネット接続するという限られた状況でした。

 

 その後、スマホの登場によって、パソコンに詳しくなくても誰もがどこでもインターネットに親しむ社会が訪れました。いつでも、どこでも最新の情報が居場所に関わらず得られるようになったのです。

 

 かつては限られた人による、限られた権力だったのがメディアであり、マスコミでした。そして、その主体は紙媒体でした。

 

 それがパソコン、さらにスマホの登場により年々その影響力を失っています。私たち一般大衆が目にする情報源はニュースアプリだったり、Twitterやブログだったり、フェースブックだったりします。

 

 かつては会社の組織図のように「降ろされてくる情報」だったのがまさに「網の目のような情報」に変化しています。つまり、誰もが発信し、誰もが批評できる社会に変容したということです。

 

 通勤途上で新聞を読んでいる人を目にすることが年々減り、帰宅後テレビを見続ける人も年々減っています。

 

 新聞やテレビのように一方的に与えられる情報は制作者のフィルターがかかっているぶん、「信頼ができる」という意見があります。他方、フィルターがかかっているから、「信頼ができない」という意見もあります。

 

 同じニュースでも新聞社によって主張が全く変わります。それは、会社の方針が記者の価値観に優先されるからです。昨今それがあまりにはっきりしすぎており、何が真実なのか、逆にわかりにくくなっています。

 

 端的に言うと、競合がいまだかつてない勢いで増えている業界です。読者、視聴者にとって真に有益な情報を提供しないと生き残れない時代を迎えていると言えます。かつては、ペンにより一般市民を啓蒙する、といった意見も聞かれました。

 

 しかし、そのような尊大な態度ではこれからのメディアは生き残ることができないでしょう。

紙媒体は儲からないのが悩ましい。それは質の低下につながる恐れも。

 ちなみに紙媒体は儲かりません。書籍を例にとると印税はだいたい3%から10%です。例えば専門書では1万部売り上げるとベストセラーだと言われます。1万部、定価1500円、印税5%、とします。すると、こういう式になります。

 

 1万部×定価×0.05=75万円

 

 この程度なのです。もちろん何十万部と売り上げれば別ですが、昨今そんな本はほとんどありません。明らかに労力に見合わない仕事になってきています。私も本を書いたことがある人間ですが、専門書ですので数千部しか売れていません。

 

 はっきり言うと、ブログやそれに付随するライター仕事のほうが継続的で、単価も高くなっています。もちろん、手元に残る良さ、全国の大手の書店ならどこでも目に付くという良さはあります。なにかモニュメント的な達成感があるのは事実です。

 

 しかし、1部の人を除いて収益では比べ物になりません。この収益性の低さはセブンイレブンの改装に見るまでもなく、ますます加速することでしょう。それは、新聞雑誌など既存メディアの広告費の縮小が示しています。

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2016年 日本の広告費|媒体別広告費 - ナレッジ&データ - 電通

 

 そうなると、紙媒体の書き手がそれ相応の内容しか書かなくなる可能性があります。費用対効果に合わないからです。ブログやSNSを持ち、自分メディアで発信したほうが費用対効果がよいのです。そうするとおのずと書き手は自分メディアを大切にします。

 

 セブンイレブンの改装というのは、もしかすると紙媒体メディアの終わりの始まりの1つなのかもしれません。

 

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