「共謀罪」の趣旨を盛りこんだ組織的犯罪処罰法改正案が国会で議論されている。政府は「テロ対策に必要」との立場だが、捜査当局による乱用や「表現の自由」などの侵害を危惧する声もある。

 教育評論家の尾木直樹さん(70)は、「共謀罪」の賛否をめぐる国会論戦に疑問があるという。異なる意見を持つものにどう向き合うべきか、教育現場で得た経験から語ってくれた。

《こんな議論を国会で続けていたら、超まずいですよ。》

 国会審議を見ていても、与野党の主張が平行線のまま。これじゃ、国民の理解は深まりません。わたしもその一人です。

 五輪を無事に開催するにはテロ対策は重要。だからテロ防止に有効な国際条約に加盟するため、法整備が必要なんだ――。与党の説明はここまで、とってもわかりやすかったわ。

 ところが、条約に加わる指針をつくった米教授本人が「条約の目的はテロ対策ではない」と明言する報道で、混乱したの。野党が国会でこの点を突いても、与党は同じ説明を繰り返すだけ。正しい選択との確信があるのなら、「それでも我が国には、こんなメリットがある」などと反論してほしい。

 十人十色という言葉があるよう…

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