レベッカはある日、離れて暮らす幼い弟から思いもよらない話を聞かされる。「電気を消すと、何かが来る。」“それ”は一体何なのか?なぜ彼女たちを襲うのか?やがてレベッカたち家族に隠された恐ろしい秘密が明らかになる時、史上最恐の一夜が幕を開ける―!
なかなかよくできたホラーだが、音で驚かす系なのは少々残念な。
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制作は「ソウ」「死霊館」のジェイムズ・ワン。
毎回クラシックで正統派なホラーを今でも通用する形で出してくる印象がある。
腹違いの姉弟の父親はどちらも死亡、精神病院に通う母親となかなか複雑な家庭環境。
現実的な環境に置き換えると母親が宗教にハマって、その教祖に洗脳されて姉が弟を救い出そうとして最後は教祖との決戦に……みたいに置き換えることもできるような。
姉弟をいつでも殺せるけれど殺さないそれなりの理性がある。
ただ気になるのは、例のクリーチャーがいったい長い年月どうしてたのかってところだったり。
予告動画にもあるように登場するクリーチャーは「明るいところが苦手」「光を当てると消える」けれど、映画的に真っ暗では成立しないので薄暗いところや、後方の明かりにシルエットが浮かび上がるようにして登場する。
「光と闇の境界」は微妙だけれど、一応「明るくなければセーフ」くらいの適用かもしれない。
銃を撃つ度にマズルフラッシュが奔り、その度に姿が消えるという描写はなかなかのアイデア。
ただ主人公らが最終決戦に挑むのに(しかも怪物がいるとわかっているのに)ロウソクとか、懐中電灯とか、明らかに心細い準備しかしていないのは、なめてんのか自殺志願者なのか、と。
観ながら「そんな装備で大丈夫か?!」と思ったらやっぱり駄目だった。
照明とか電球なんて、暗がりを動ける相手からすれば暗がりの中で電線切れば済む。
なのに電球山ほど……いや、それ絶対無駄だからと思ってたら案の定。
結局、懐中電灯とロウソクで戦うハメになるのはもう自業自得としか。
ロウソクなんて絶対風が吹いてくるシーンとかあるって予想が……。
いるってわかってるんだからLEDランプで二重結界作って、発電機持ち込んで、身体中に電球巻きつけるくらいしますぜ。
要は発電機や蓄電設備に明かりがあれば近寄れないんだから。
……なんて現実的対策は、ホラーに厳禁。
クリーチャーは露骨に見えると怖くないし、見えないとモヤモヤする。
だから暗がりの中、シルエットだけで見えるのはなかなかの発明。
正統派ホラーの根底には、親子愛の物語。
「死霊館」にもあった親子愛のテーマ。
ジェームズ・ワンがプロデュースするホラー作品が、単純に怖いだけで終わらないのはそのあたりかもしれない。