コミー前長官「捜査中止の指示と受け止めた」

コミー前長官「捜査中止の指示と受け止めた」
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アメリカのトランプ陣営とロシアの関係を捜査していたFBI=連邦捜査局のコミー前長官が議会の公聴会に出席し、トランプ大統領からロシアとの関係をめぐって辞任した元側近について「この件は放っておいてほしい」と言われ、捜査中止の指示と受け止めたと主張しました。
去年のアメリカ大統領選挙をめぐるトランプ陣営とロシアの関係を捜査していたさなかにトランプ大統領に解任されたFBIのコミー前長官は8日、議会上院の公聴会で、在任中にトランプ大統領と交わしたやり取りなどについて証言しました。

この中で、コミー氏は、ことし2月、ホワイトハウスでトランプ大統領と面談した際、辞任したフリン前大統領補佐官について、「彼はいいやつだ。この件は放っておいてほしい」と言われたとしたうえで、「大統領からの指示と受け止めた」と述べ、フリン氏への捜査中止の指示と受け止めたと主張しました。

また、コミー氏は、ことし1月に夕食をともにした際に、トランプ大統領からFBIの長官にとどまりたいか尋ねられたとするとともに、「大統領は、私がFBIの長官にとどまることを認める代わりに、何か得ようとしていた」と述べて、トランプ大統領から忠誠を誓うよう求められたと証言しました。

一方、コミー氏は、トランプ大統領が捜査を妨害しようとしていたかどうかについては、「私にとっては、心をかき乱されることで大きな懸念だったが、結論を下すのは特別検察官だ」と述べ、新たに任命されたモラー特別検察官が司法妨害の可能性についても捜査することになるという見方を示しました。

そして、コミー氏は、トランプ大統領が、みずからを解任した理由や、FBIが混乱に陥っていたという政権側の主張について、「政権は、私とFBIを中傷することを選んだ。これらは明白なうそだ」と批判したうえで、「私がロシアの捜査を行っていたために解任されたと思う」と述べました。

公聴会は2時間半余りで終了し、このあとコミー氏は非公開の質疑に臨んでいます。

コミー氏の証言に対し、トランプ大統領がどのような反応を示すのか注目されます。

大統領との会話メモを共有 疑惑の解明望む

コミー前長官は、トランプ大統領との会話の内容をメモとして残したことについて、「トランプ大統領が、自分との会談の内容について、うそをつくかもしれないと純粋に憂慮した。だから文書にしておくことが非常に重要だと考えた」と述べました。
そのうえで、トランプ大統領から解任されたあと、このメモの内容を報道機関に伝えるため、友人の大学の教授と共有したと明らかにするとともに、「公的な立場を離れた私人なので、自由に共有できると感じた。外に知らせることがとても重要だと思った」と述べました。
さらに、「メモの共有が特別検察官の任命につながるかもしれないと思った」とも証言し、大統領との会話を外部に明らかにすることで疑惑の解明につなげたかった思いを明らかにしました。

これに対して、ホワイトハウスのサンダース副報道官は記者団に対して、「大統領はうそつきではない」と述べ、コミー前長官の証言に不快感を示しました。
また、「大統領は、外部へのリークを非常に深刻な問題と受け止めている」と述べたうえで、コミー前長官がみずから大統領との会話の内容を外部と共有したことについて、法律に違反するかどうかはわからないとしながらも調査が必要だとの考えを示しました。

「この公聴会は歴史的なもの」

FBIのコミー前長官の公聴会が行われた議会上院には、全米から多くのメディアが集結しました。
さらに、コミー氏の証言を傍聴するために、議場の外にも公聴会が始まる前から多くの人が集まり、およそ90席設けられた一般の傍聴席に対して数百人が並び、関心の高さを見せていました。
カリフォルニア州ロサンゼルスから来たという大学生の女性は、公聴会が始まる6時間前の午前4時から並んだということで、「この公聴会は歴史的なものだ。トランプ陣営とロシアとの間で何らかの共謀があったのかなど、実際に何が起きたのか、コミー氏から答えが得られることを期待している」と話していました。