DC/DC
DC/DCコンバータの基板レイアウト
ビアの抵抗、インダクタンス、許容電流
2016/12/06
前回の銅箔の抵抗とインダクタンスに続いて、ビア(Via)の抵抗、インダクタン、そして許容電流について説明します。ビアは層間を接続するホール状の配線ともいえるので、同様に寄生成分が存在するは想像できるかと思います。
ビアの抵抗
ビアの抵抗は以下の式で表すことができます。また、Figure 12 に板厚1.6mm、メッキ厚0.015mm(15µm)の条件における、ビアの直径に対する抵抗、および温度との関係を示します。
単純なことながら、ビアの系が小さいと抵抗値も高く、温度勾配も若干高くなります。
ビアのインダクタンス
銅箔と同様にビアにも寄生インダクタンスが存在します。ビアのインダクタンスは、Frederick W. Grover によると次式で表すことができます。また、この式による計算結果をグラフ化したのがFigure 13です。
ビア径が小さく、基板厚が厚いほどインダクタンは高くなります。ただ、単位がnHですので、インダクタンス値は小さいことがわかります。
ビアの許容電流
ビアの場合は、直径にπを乗じた値が導体幅に相当します。右のグラフは「インダクタの配置」の項で示したFigure 5と同じもので、導体厚35µmの導体の電流による温度上昇のグラフです。ビアの場合も同様に、このグラフを使って許容電流を推測することができます。
ただし、ビアのメッキ厚は18µmなので、許容電流は少なくなります。「インダクタの配置」の項では、導体厚が 35µmの場合 1A あたり 1mm 幅以上の導体幅で配線することを推奨しましたが、ビアの場合はメッキ厚が約半分であることから、1A あたり 2mm 幅以上の導体幅(直径×π)を推奨することになります。
Figure 14 に、ビア径に対する許容電流の例を示します。
ビアの個数は、使用目的に応じて許容電流、抵抗、インダクタンスの値が、必要とする性能と特性を満足するように選択することになります。
また、ビアは配線としては直角に(平面から垂直に)曲がる配線なので、インピーダンスの変化によりEMIを悪化させる要因になることを覚えておいてください。(配線とEMIの関係は次回の「コーナー配線」で説明予定)
キーポイント
・ビアも配線なので、各寄生成分が存在する。
・ビアの抵抗とインダクタンスは、与えられた式から求めることができる。
・ビアの許容電流は銅箔(プリント配線)と同じ考え方で求めることができる。