ここで批評対象としてとり上げる資料は
「住民の皆さまへのご説明資料」ページ
http://www.sltpgeneration.co.jp/explanation/
から一番下にあるリンクで読むことのできる次のPDFファイルである。
詳細はこちらからご覧ください(2.03MB)からダウンロードできます。
http://www.sltpgeneration.co.jp/explanation/pdf/201609_01.pdf
(2016年9月30日改訂版と書かれているバージョンです。)

以上の文章の批評コメントを掲載するが、あまり時間を費やせないので、元の文書の1ページ毎に批評コメントを短く記述する。その妥当性は読者が判断されたい。


なお、一部の文章を引用しているがこれは以下の頁に説明があるように「著作権法では,一定の「例外的」な場合に著作権等を制限して,著作権者等に許諾を得ることなく利用できることを定めています(第30条〜第47条の8)。」そこにある(学問的な利用などの必要に際しての)「引用(第32条)」にあたるものである。

http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html






Page 1:
下の方に「清水天然ガス発電所(仮称)を建設する目的」というのが書かれている。

①国内の電力安定供給と燃料消費の抑制、電力コストの低減、老朽火力設備を
代替する
ことで二酸化炭素の排出削減にも貢献します。
→と記述があるが、 いままで清水には火力発電設備がないんだから、これはつまり他の地域の古い火力設備を代替することができればという大前提が必要である。(「よくあるご質問」ページには「静岡県中央部・西部で使われている電気のほとんどは、遠い伊勢湾周辺の火力発電所(石油、石炭、LNG)でつくられ、はるばる送電線で送られてきたものです。」とある、現在静岡県に電源を供給している伊勢湾地方の発電所が(1) 火力であると仮定して、かつ(2) そこが操業を停止をすればという二つの仮定が成立してないとそう簡単には貢献できない。この(2)の方はそう簡単に行くのか? (1)は沿岸地帯には確かに火力発電があるけど、佐久間ダムとかの発電分はどうなったのかな?

②石油・ガスに加え、新たに電力を供給することでエネルギーの一大重要拠点として、
静岡・清水地域のエネルギー安定供給に貢献します。(強調は引用者による。)
→ 伊勢湾近辺の地震や台風でいままでそんなに不安定になったことあるのでしょうかね? 

③発電所の建設・運営に伴い、地元税収への寄与、新たな雇用の増加や
街のにぎわいの創出など、地域経済の発展・活性化に貢献します。

• 新たな雇用:具体的に何人。シフトをいれても定常は40-50人程度?
• 街のにぎわい: これは何を思って書いているのか、記述した人の頭の中を覗いてみたい。都市計画的に見ても、駅付近から人を遠ざける効果しかないと思うんだが。


Page 2:

あまりいうことないんだけども、「ガスタービンコンバイドサクル発電 は従来型火力発電に比べ、燃料使用量の抑制が可能となることから、 二酸化炭素 排出も抑制できます 。」

今まで清水の現場付近には火力発電所が存在しないので、二酸化炭素排出物は増えるしかない。レトリックというか、国全体の話をされても。直接影響を受ける清水の人間にはなんともの書き方ではないか? Think globally, act locallyです。

石炭でよく問題になる「硫黄酸化物・煤塵」は発生しないとあるが、高温の発生にともない出てくる「窒素酸化物」の排出のことはわすれないでね。

Page 3:
「二酸化炭素の 濃度と人体に及ぼす影響」
読んでいってすぐに気づくのは排出「総量」はどうなっているんだということで、これは次の4ページに書かれている。

「なお、ガスタービン排気中の 二酸化炭素濃度 は 30,000 ppm~60,000ppmとの報告事例がありますが 、煙突から大気中に排出された後は十分希釈されます。(参考: 人体の 呼気 に含まれる 二酸化炭素の量 も 40,000ppm~53,000ppm程度と言われています )。」


まずね、いろいろな数値の妥当性(「。。。と言われています。」の根拠、出典を示せ(!)と修士論文、博士論文、査読のある雑誌なり会議への投稿論文なら必ず言われる。この意味で、数値の妥当性を示す出典例をぜひ東燃に示してほしいものだ。
興味をもって厚生労働省の頁などを調べたら、オフィスとかの許せる二酸化炭素濃度なんかともちょっと現在受容されている数値と違うんじゃないかなとおもったんだけど、何しろ現在のオフィスの規制の法律というか条令が1960年前後に作られてそれから変更されてなくて、当時の根拠が良く分からないみたいな話らしい。

それはさておき、

ガスタービン排気中の 二酸化炭素濃度 は 30,000 ppm~60,000ppmとの報告事例がありますが」
→   ってことは、まだ自分たちのつくるガスタービンについては数値がだせないということなのでしょうね。ほかの人の事例をあげられても困る。今回の機器はカスタムメイドの新規開発なので数値を出せないのか?そうだとしても、それでどうやってアセスメントしろっていうんだろうね。

「大気中に排出された後は十分希釈されます。」
→ そりゃそうかもしれないけども、当然排出「総量」を知りたくなるね。そうでなきゃ自然の空気の循環のなかで「十分」に希釈されるかどうかなんて分からない。

「人体の 呼気 に含まれる 二酸化炭素の量 も 40,000ppm~53,000ppm程度」

高い数値をみせて、ほらこれまで言われているタービンの排気濃度より人間の呼気の方が高いこともあるという印象操作はいいけど、人間の呼気よりはるかに大量に全体量を排出するわけだよね。ますます排気総量をしりたくなると。次のページが楽しみだ。

図の注に 『出典:沖縄CO2削減推進協議会ホームページ
「二酸化炭素(CO2)の人体における影響」をもとに作成』とある。

なぜ、この不思議な沖縄(?)の団体からの引用。信頼おけるのか? なぜ厚労省とか、それに付随する労働災害の研究機関のデータを使わない? 修士論文、博士論文、査読のある投稿論文ならここは強く批判されるところだ。もうすこしまともなPR会社を雇ったらと先の投稿にも書いたが本当にそう思う。

Page 4:  
ようやく二酸化炭素排出総量だ、とおもったんだけど。

「最新型LNG 発電における二酸化炭素の排出量について、ご説明します。」

見出しにはこうあるんだけど、良く読むと肝心の「総量」が書かれてない。3ページ目であれだけあおっておいて、書いてないのはあんまりだ。電力業界の目標とか、古い施設の排出量との比較(というかそこでいう発電量あたりの二酸化炭素の発生量)はとりあえず無視して、ここにあるデータをもとに 総排出量を簡単に計算して推定してみよう。

だけど、数値が不十分なことがすぐに分かる。たぶん東燃も正確な総排出量はカスタムメイドの発電機の性能の詳細までは作らないと判明しそうになく、現状では分かってないので書くことができてないな。

導入される施設の係数は 320~360 g-CO2/kWh (10%以上の誤差というかバラつきがあるのはしかたないのか)だそうだ。ここですでに1割の不確定さがあるので、総量の予想も1割の不確定さを避けることはできない。

なお、しつこくいうがページにある図は排出総量には全く意味がないというかこれから計算しろというのだろう(?)。

ともかく予定される発電所は市長の参加した説明会だと浜岡原発についで2番目の規模の大出力発電所であり1.1 M k Wということであった。(最初は1.7MWとかいう話だったが、なぜか縮小された。いろいろ理由を邪推したくなる。)

ともかく二酸化炭素の総量を予想する:

そこで、最大発電量のもとで一日に排出する量を予想してみよう。

つまり1.1MkWhour で 24時間発電するとして (これはピーク時の値しか考えてないので、実際にはこの半分くらいになるでしょうが、この毎日の時間毎の発電量の予測も提示できないと総量は予想できない。東燃はビジネス展開のための予測データもってないのだろうか。そんなんでビジネスモデル立てられるのかな?他人事ながら心配。)


計算の詳細は最後の付録に回すが簡単に結果をいうと以下の通りだ。

二酸化炭素は一日一万トン超。
水は一日7700トン超



多いと思いません? 7700トンの水分を毎空気中に放出して、さらに二酸化炭素も1万トンを放出して、風下の植生に影響がないなんて想像できない。お茶の葉に突然栄養分が良くいきわたって大きくなったりして 
しかし、朝晩、茶の葉に結露しやすくなったりしたらそれはまずいんじゃないのか?農業試験場の方の意見をきいてみたいものだ。

計算の前提:

発電器出力は 東燃によれば1.1×10^9 W (J/s)である。
メタンの燃焼熱を 55.5×10^3 J/g とする。(理科年表が手元にないのでウィキペディアなどからの数値をもとにこうした。)
熱効率 0.5とする。東燃、経産省あたりは52-53%を狙っているらしいが、カスタムメイドで最初からそうはいかないとみて50%を仮定。先に述べたように東燃もこれについては10%くらいのバラつきがあることをみとめているわけだし。一割程度は前後するだろう。悪い方に触れることも東燃は当然認めているわけだ。

これからすぐにメタンの燃焼量は 39.64kg/s がでる。毎秒約40Kgのメタンを燃やすのだ。

これから全体の重量が単純に決まる。メタン 1モル (16g) あたり 1モルの CO2 (48g) と 2モルの水 (36g)が 出るので毎秒排出量 (一日排出量)は以下の通り。

CO2 118.92kg/秒 (10275 t/日)
H2O 89.19kg/秒 (7706 t/日)

それぞれ一日一万トン、7500トンを超えてます。最初、あまりの量の大きさに桁を間違えたかと思った。しかしこれは、正しい。大学の研究職の友人に念のために検算してもらったが上の通りだ。友人もこの量には驚いていた。

この 生成されるCO2と水蒸気のガスの体積は(1モル22.4リットルとして。実際にはもっと高温で排出されるから以下の値より少し多めだろうと思う。),体積では毎秒 166.5立方メートルとなる。
1平方メートルの断面積のエントツ 10本で抜けば,流速は 16.7m/秒つまり 時速60km だ。さすがにこれでは騒音が多すぎてもっと太い煙突にするのだろうか?

だけど、よく考えてみれば 燃焼に必要な 2モルの酸素をとるため,窒素こみの大気を使うから(大気は 約20%が酸素、残りの約80%が窒素), 未使用の窒素(一部,酸素と結合して NOxとかになる懸念があり、これは別ページで対処されている。)つまり8モルの窒素が一緒に排出されてきます.これ 444立方メートル/s となって,エントツを通過するのは先の二酸化炭素、水(蒸気)と合わせて610.5立方メートル/s の気体です. よほど太い煙突でないとリーズナブルな速度で排出できない。高速になればなるほど騒音が増すだろう。

発電所のエントツの大きさなんて考えたことはなかったが

http://www.matsushima.jp/sekorei/entotsu/kyasutaburu/2015/11/12/438/

とかをみると直径 4mくらいあるみたい.一方,街中のエントツの設計基準では,騒音防止のため流速を 数m/s におさえなければいけないらしい。同じ基準でいけば超巨大な断面積の煙突が必要だ。発電所のものは,高度あるから,基準あまくなるのかな? 

東燃は煙突の高さとか、煙突の断面積の具体的な情報を出さないと環境アセスメントにならないと思う。時速60kmくらいのガスが24時間大量に煙突を出ていく音はどんなものなのか?違う、もっと遅いとかいうのなら煙突の断面図とか示すべきだろう。



上に書いたような理由から、
- 東燃は排出総量の予想値を出したくないのか、
- そもそも予想に必要なデータをもってないのか

上のガス体積は「排出」する側しか考慮してない。「吸入」する空気の量は考えてなかったけども、「どこから」採取するんだろう。吸入部分も結構騒音出しそうだ。1秒に500立方メートル近い空気を吸い込むわけだし。大きな掃除機が空気を吸い込むことを想像されたい。近隣の住民の方は東燃にどの程度の騒音を想定しているのか聞いてみるのが良かと。
ちなみに、大型の貨物船のエンジンルームの上の甲板にいると、エンジンルームが空気の吸い込み口から吸い込む空気の音がとてもうるさい。人の声が聞こえにくいくらいだ。多分あれのもっと巨大なバージョンとなるわけだ。

なんか、Star Warsとかにでてくる巨大ロケットなみの設備が想像される。だからこそエンジニアリング会社の出番なんだろうけども、

発電所のエントツの大きさなんて普通は気にしないよね。しなくて済むのが一番。大きくしないといけないことだけは理解したし、吸入部分もずいぶん大きな騒音がしそうだ。


それにしても、昔川崎とか各地のオイルコンビナートを父が乗船しているタンカーが沖に停泊してるところから陸側をみて煙(水蒸気)がすごいとおもったが、それが生まれ故郷にできそうなのにはおどろいた。一日7500トン超える水蒸気の量ってちょっと想像できない。
寒冷地にある原子力発電所の冷却の水蒸気が周りを覆うような風景になるのだろうか。アメリカのワシントン州にある原子力発電所がそのいい例だ。
水蒸気が凝結する霧、雲で港付近からの富士山の景観がみえなくなりそうなのは想像できる。年配の清水の人には書く必要ないと思うけど、駿河湾沿岸の富士吉原という地名付近にたくさん製紙工場があり、たしか小学校6年くらい(S42、3-年頃)からあとに、そこのスモッグがひどくなり富士山の下の方が雲っていることが多くなった。さすがに富士山の頂上までは隠さないけど、あきらかに全景がみえることが少なくなった。しかしここ20年くらいそのひどいピークよりは見通しは良くなっている模様だ。
その排煙の様子をみていると清水港上空にも同様の水蒸気の白煙がでそうで、一番富士山がきれいな冬に松原からの富士山が隠されたらどうするのかなとちょっと心配。
実は、この排ガスの広がりのシミュレーション結果がちゃんとなされているようにおもえないのが気になっている。

それにしても今回数値を計算してみたら、非日常の世界で驚いた。

発電所の人には常識なんだろうけど、そこから200-300メートルくらいのところに駅前の商店街があるという位置関係はリスク管理からまずいとおもう。

清水静岡以外の人向けに書いてみると、いまから20年くらいまえ(もっと前かな?)に三保(美保とも書く)の松原のそばに重油発電所を作ろうとして反対でつぶれた歴史があることをかろうじて覚えている人が少し残っているようだが、歴史は繰り返すのかな。45年くらいまえにも同様の反対運動があったそうだ。そっちの方は私は覚えてない。

東燃がいうように、静岡の電気の大半が伊勢湾の発電所からくることは留意して、そちらの地域には感謝しなければならないとおもう。
が、わざわざ人口が多い地域の海岸線をますますアクセスしにくくして、自然環境にも影響を与えるような経済活動は、もうしなくてもいいのではないかとおもったりしている。
(伊勢湾の方の発電所が発電全部止めることになれば話は別だけど、そうならないような気がする。別の投稿で伊勢湾の発電所について考察してみる予定だ。そっちも発電続けそうだ。総量で排気ガスだけが増えるようなことだけは勘弁してほしいものだ。)

住民エゴと企業エゴが正面から4つに組んでいる状態です。(けども、駅のそばとか、区役所とかの市のインフラのそばに作るというのはどう考えても発電所推進グループには分が悪いとおもう。)

なんしろ、日本平サッカー場の応援席で発電所いやだね会話がでるくらいで困ったもんだ。いまのところ、正面きって発電所よりの人の意見を聞いたことがない。ああ、親戚の製鉄会社に勤務して今は引退している人が、発電所がくれば発電設備のメインテナンス、出入りする船のメインテナンスで仕事が生まれるという話をしていたが、上にのべたような膨大な二酸化炭素と水蒸気の発生を駅の目の前でおこなう(そしてそこに区役所がくるって世も末だ。)いうディメリットを補えないのではないかと思う。

それにしてもモルの計算をしたのは何年ぶりだろうか。

Page 5



Page 6

窒素酸化物などを含む
「清水天然ガス発電所(仮称)の稼働に係る大気質へ影響ついて、ご説明します。」

疑問点


このページには2つの場所だけ?しか書かれてない。
日本平を超えての西側(これも何考えているんだよといいたい。日本平超えたら空気が違うというのは大げさだけど、まったく地元の人が絡んでないでこの書類つくったんじゃないかと思うもう一つの理由)と、煙突が高いとするとあまり影響を受けにくいすぐそばの西側(ってこれは敷地内部なのか?)にあるのが解せない。
もっと東側、北側、また「日本平を超えない」発電所より西側の清水区のデータが欲しい!

上の少ない点数ではいかさまといわれても仕方がない。

また、もし幹線通りに近いとしたらもともと自動車のために周りよりも窒素酸化物が多い可能性があり、環境アセスメント目的には妥当ではないと判断するしかないでしょ。

Page 7

防音、防振

振動音がはげしいのか。困ったものだ。先にのべたような大量の空気の吸気、排気ガスの発生があるから通常の煙突とは比べ物にならない高速の気体の出入りがあるはずだ。近隣の住宅の人には深刻な問題だろう。

Page 8

「海域への環境負荷低減ために採用し冷却塔方式 について、ご説明します。」

排水をすくなくするといっているのだが、

国内有数の漁港である清水湊」:なんか認識がおかしい。冷凍マグロの水揚げは日本一多いけど、実際に周りで魚とか桜えびを取ってるのは由比の付近とか久能のほうだろう。この文書書いて推敲するときに地元の人をひとりもいれてないんじゃないか(?)、と思うもう一つの理由。

「③発電所から の排水による影響は、排水口450 m程度(泊地内)に留まるため、 清水港内の 水温や塩分を低下させることはありません」

450メートルというのは結構な距離で江尻埠頭付近までも含むんだけども。そこまでの水温とか塩分濃度をかえることもないといいたいのか。
冷却塔の復水器の構造もあまり明記されておらず、どれだけの量の水を海に流し、どれだけの量を冷却機に水をかけて水蒸気を発生させて冷却するのかも明記されてないように思えた。
(ちなみに、ここで出る冷却の水と先に述べた燃焼からでる水は全く別のものですから注意!)
ともかく1年365日毎日排水されるんだから「海生物への影響 を極力抑えるように努めます 。」といったって、影響はさけられないのは明らかだ。むしろどの程度の影響があるのかを他の発電所のデータと周りの現状をつかって示すべきだ(それこそ伊勢湾にいい事例があるんじゃないの?)そうすれば納得する人もでるかもしれない。

あ、ここで冷却した熱というのは、要は発電所の熱効率が50%程度だからその残りのエネルギーは全部熱として放出されるわけだ。それを冷やさないと発電所が運転できない。ということは、暖かい水を海に流すだけでなく、高温の水蒸気が冷却過程で発生して大気中に放出されることになる。夕凪とか朝凪の時に周りが暑くなりそうだね。具体的に温度が何度くらい上がるなんてのは、風向、風力を含めた丁寧なシミュレーションしないとわかりませんが。
(くどいが、ここでいっている水蒸気はメタンの燃焼ででるものではないので区別をわすれずに。)

むしろ、温水を利用して温水域あるいは熱帯域の魚介類を育てますとか、そういった魚を売りにした水族館を作るくらいの工夫が必要ではないのかね。そういう発想をするひとは東燃にはいないのか?
私は、住民人口が近い、リスク管理的に不適切な場所という点(これにより私的には完全にアウトだけど)が無くて、さらに観光に悪影響を与えることがない(これも大きな疑問。東燃がこれを示すことができるのか疑問。)のであれば、真冬も泳げる暖かい海水プールなんてのを排熱利用で作るというような発想もありだと思っている。だけどいかんせん、立地条件悪すぎ。そもそもなんでこんなに住宅とか駅みたいなところに近いところに石油基地が作れたんだろう?


Page9

「清水天然ガス発電所(仮称)の景観について、ご説明します。」

上に説明したように、膨大な水蒸気がでるわけで、そのことが一切無視されている。
また 高圧送電線、そしてそれを支える塔が必要なことも無視している。景観を悪くするのは煙突だけではない。

要望:どちらの写真にも発生した水蒸気の一部が凝縮して霧状になっている形状を予想して重ねて表示してほしい。
また清水駅の東口、あるいは市民会館の高層にあるレストランから富士山方向をみた場合の景色、そして、清水エスパルスドリームプラザから見た場合の景観予想合成写真を追加で入れてほしい。(水蒸気だけでなく、高圧電線とその支持塔もわすれずに。


Page 10-12

まあ、常識的な通常の注意がかかれているのかとおもう。

しかし、静岡県のウェブから取ったという図(第4次地震被害想定)をみていると
桜が丘病院、区役所をこの地域に移動するのは考え物だという思いを再度確認してしまった。

静岡県地理情報システムより: https://www.gis.pref.shizuoka.jp/?mc=19&mp=1801&z=14&ll=35.006523,138.523262
(地図の選択メニューが表示されたら、第四次地震被害想定を選択してください。その中の津波浸水(レベル2重合わせ図)がこの下の図になります。って、これみてもここにLNG発電所作りたいと思うのかね。清水近辺にすんでない株主は気楽でいいね。)

shizuoka



----

付録:

排出される二酸化炭素、水の量の計算の概要

最初行った計算が次のようなものだ。

最初110万KWで、それを24時間運転するエネルギーを出すのに必要なメタンの量を求めてみようと計算した。以下の320-360[g /kw]の数値は東燃の資料にあった熱効率のデータをもとにしたものだ。

1.1 * 10 ^6 [kW] * 24 [h] * 320 [g/k Wh] 1.10x 1000000 [kw] x 24 [h]  x 320 (ないしは360)g=
  = 1.10 x 10 ^ 6 x 24 x 320 [g]
= 1.10 x 10^ 3 x 24 x 320 [kg]
=8.45 * 10 ^ 3ton   

いきなり日に燃やすメタンが8500トンとでてきたので、あれ、なんだか多すぎるような気がすると驚いた。

MkWh,KWhなどに電気工学特有の習慣の記法があるのを理学部出身の筆者が理解してない可能性があるので(たとえば大昔食物のカロリー計算では実はCal (大文字で始まっていることに注意)といっているのはKiloカロリーのことだったなんて実例があったんだけど今はちゃんとどこもkcalで表示されているね。Wikipediaによれば「大カロリー(記号 Cal、1文字目が大文字)は、伝統的に栄養学の分野で使われてきた。しかし極めて紛らわしいため、現在ではキロカロリー (kcal) が使われている。」)、別の方向から大まかな数値をもとめて妥当性をチェックしてみようと、別の方法で概算してみた:

物理化学的にかんがえてみると、
LNGの主成分のメタンを燃やした場合にでるエネルギーが、1.10M k W のエネルギーを出すために必要なメタンの量を考えて、それから二酸化炭素の量を推定する。
なお、LNGのメタンを燃やした場合にでるエネルギーが電力に変換される効率を50%くらいと仮定してみる。(概算の妥当性をしりたいだけなので細かな数字はとりあえず必要ない。)
環境庁の頁には効率のよいタタービンの実例として熱効率52%という数字がでているので50%はまあ妥当か。
  ---> ちなみに、メタンの燃焼により解放されるエネルギーの半分程度が排熱として環境に拡散するので、そのことも忘れてはいけない。

メタンの燃焼熱は凡そ890.4 kJ / mol (mol はモルのこと)
他の数値の精度を考えたら 890 kJ/molとしてよい。
24時間にフルに出力したとき(非現実的ですが)のエネルギーは
Eout = 1.10 MkW * 24 hour  =1.10 * 24 MkWh
1Wh = 3600 J であるから、
Eout = 1.10 * 24 * 3600 MkJ = 9.50 * 10 ^ 4 MkJ = 9.5 * 10 ^10 kJ

これだけのエネルギーを燃焼で出力するために必要なメタンのモル数 を Xとすると
Eout = X × 890 kJ / mol * 0.5 (効率)である。

X [mol] = Eout [kJ] / 890 [kJ] * 2 = 2.13* 10 ^ 8 [mol]

である。
メタンの燃焼は

CH4 + 2O2 -> CO2 + 2H20

で、メタン1モルにCO2 1モルが出てくる。なので上のモル数が一日に出てくるCO2のモル数だ。
(->ちなみに高温ででてくる水というか水蒸気のことをわすれられないね。メタン1モルに対して2モルの水がでてくることに注意。)

二酸化炭素の重さは3桁の精度で 44.0 g / mol だから

CO2総量 [g] = X * 44.0 [g] = 2.13 * 10^8 * 44.0 [g] = 9.40 * 10 ^ 3 ton

となる。つまり一日にだいたい9.40* 10 ^ 3トンということなので、

計算方法Iでの予想が 8.45 * 10 ^ 3トン。
計算方法IIでの予想が 9.40* 10 ^ 3トン。

なので、およそこれだけの量のCO2が「毎日」出ていくのかな? (ピーク時で計算しているので実際には6-7割くらいになるのでしょうが。)

1.1 MkW級の発電所ってこれだけCO2を毎日だすんだ。

東燃の数値にも1割程度の不確かさがあったからとりあえず9 * 10 ^3トンということにしておこう。

ちなみに1モルのガスの体積が24.8 リットルとすれば(温度摂氏25度)とすれば
上のモル数をもとにすると
CO2のガスとしての総体積を求めてみるとおよそ
24.8 x X [l] = 5.31 * 10 ^ 5 [l] = 5.31 * 10 ^ 6 [kl]
ということで
5.31 * 10 ^6 立法メートルのCO2
が出てくる。

(最後は水になってしまうので無視できるともいえるかもしれないが、水蒸気も無視できない。凝縮して周りの山の樹木の葉っぱに露が付きやすくなるなんてことがあったりするのかな。茶畑が気になる。水も5-6千トンが放出されることになる。5000-6000トンの水を毎日散水していると思えばよいのか。)

水はメタン1モルに対して2モルでてくるから
2xXモルの総量がでる。水は一モル18グラムだから。
18x 2 x X= 36 ×X= 36x  2.13* 10 ^ 8 (g) =  36x21.3x100(ton)

なんだかずいぶん大きいぞ!
(仮に水がこれだけ大きいとするとお茶やミカンに影響がありそう。)

ちょっと数字が大きすぎるような気がするので他の発電所の事例を念のために確かめてみる。

http://www.kyushu.meti.go.jp/seisaku/energy/shou_ene/shoene_hou/28fy_co2_keisan_seet.xlsx


経産省のデータ使っても、大きくは違う数字がでない(オーダーは合ってるような気がする。細かな数値は違うが、仮定が多いので、一桁くらい違ってもやむをえない。それにしてもずいぶん大きな数値だ。
上の計算だれかチェックしてほしい(高校生で十分)もんだというところで、大学の知人に検算を頼んだものを本文中に掲載した。

計算の方向性はまちがってなかったんだけど、数値が大きいんでちょっと信じられなかったのです。


[End of memo]