先日、弾道ミサイル発射などの緊急情報を携帯電話で伝える「全国瞬時警報システム」こと、Jアラートに注目が集まりました。
このJアラートは、通信キャリアから携帯電話端末を購入し利用している場合にスマートフォンで受け取ることができます。格安SIMと呼ばれるMVNO事業者であっても、iPhoneを含めほとんどの端末が対応していますが、一部受信ができない端末が存在しています。
受信できない可能性のある端末について、総務省消防庁は民間事業者のアプリをインストールすることで同等の情報を取得できることを明示しています。ここでは「Yahoo! 防災速報」が取り上げられています。
ただ、私はこのアプリの名前にちょっとしたことで引っ掛かりを覚えていて、インストールすることを躊躇(ちゅうちょ)しました。それには「収集した情報の再利用」の問題が関係しています。
私たちが普段使っているSNSでも度々「投稿の二次利用」問題が話題になります。今回のコラムはこの「情報の再利用」と「利用規約」について考えてみたいと思います。
「身近な話題を例にITリテラシーを高めていこう」がコンセプト。さらっと読めて人に話せる、すぐに身につく。分かりやすさ重視で解説。小ネタも扱います。
ヤフーは2015年9月、エリアや施設がどれほど混雑しているかをヒートマップで表示する「混雑レーダー」をリリースしました。これは、駅や大型商業施設などが今どのくらい混んでいるのかを、Yahoo!地図上にに重ねて色別に表示するというものです。
まるで天気を見るように、ピンポイントで目的地の混雑状況が分かるのは大変面白い仕組みだと思います。しかし、混雑度をどうやって判断しているか不思議に思ったことはありませんか? 実はその答えも、プレスリリースに書いてあります。
「混雑レーダー」は、「Yahoo!防災速報」アプリの位置情報をもとに算出した混雑状況を、「Yahoo!地図」アプリ上で混雑度を色で表現するヒートマップとして確認できるほか、全国約3万施設では5段階の“混雑指数”も確認できます。
※「混雑レーダー」で利用するデータは個人やその特性等を特定するものではありません。
実はこの混雑度合い、ヤフーが提供する「Yahoo!防災速報」をインストールしている利用者を“センサー”とし、利用者がどのくらいその場所に存在するかということから算出しているのです。混雑レーダーを利用している人ではなく、全く別のアプリで取得した情報を利用していることに、私は少々驚きました。
しかし、これもヤフーの規約上は問題ありません。ヤフーのプライバシーポリシー上はサービスを通じ「個人としてのお客様を直接的または間接的に識別できるすべての情報(パーソナルデータ)を取得」し、「お客様に適したサービス等をご提供するため」にそのパーソナルデータを利用することを明示しています。
また、大前提として個人を特定するものではないとしています。既にサービスを使っている人はその利用規約に許諾しているという前提であるため、ルール上は正しいビジネスであると考えています。
もちろん、利用者にもっと分かりやすく、明示的に取得情報をどのアプリで活用するかをガイドすべきだと、個人的には思っています。
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