ナマステ!
ネパール在住・青年海外協力隊ブロガーのKei(@Kei_LMNOP)です。
「風の人」「土の人」って知ってますか?
実は知らない人も多いんじゃないかと思います。
でもこの話は、青年海外協力隊なら絶対知っておくべきなんですよ。
なぜなら、この話には、
「協力隊の存在意義とは何なのか」という、
本質的な教えが詰まっているからです。
今回はそんな「風の人」「土の人」の話を紹介しつつ、
協力隊の存在意義を120%最大化してくれる3原則を教えます。
「風の人」「土の人」とは、地域活性化でよく使われる話
まずは「風の人」「土の人」が、
何なのかって話をしていきます。
これは日本の地方における、
地域活性化でよく出てくる話なんです。
こちらの本の定義が非常に分かりやすいので、
内容を紹介していきます。
本の「はじめに」の中で、
IターンやUターンなど、外部から来て、
島根を盛り上げる人材を指して、こんなことを言っています。
彼、彼女たちは、
地域に新しい視点をもたらす「風の人」ともいえる存在なのです。
地方と都会をまたいで活動し、風を運び、風を起こし、去っていく。
「風土」という言葉もあるように、
地域には「土の人」と「風の人」がいる、
と言われます。
土の人とは、その土地に根付いて、受け継いでゆく人のことです。
土の人はもちろん地域を支える大切で欠かせない存在ですが、
土の人ばかりでは、どうしても新しい発想や視点が生まれにくい面があります。
一方、風の人は、一カ所に「定住」せず、
わずかな期間で他の地域に移動することも少なくありません。
もう少し分かりやすくまとめると、
「風の人」「土の人」はこうなります。
- その地域に「定住」しない人
- その地域の外からやってくる人
- その地域に新しい視点をもたらす人
- その地域に「定住」する人
- その地域の地元の人
- その地域を支え、受け継いでゆく人
組織や地域には「風土」があると言いますが、
地域の発展には、風の人・土の人という、
対極にある2つの存在が必要なんだという考え方です。
地域活性化には、実は「光の人」や「水の人」も出てきます
地域活性化の話で言えば、
実は「光の人」や「水の人」も出てきます。
「光の人」はその地域に埋もれていたものに、
光を当て、外に紹介していく人。
「水の人」はささいなアイデアを面白がり、
イベントや活動などに関わって、動きのきっかけを作る人。
ただここでは話を極力シンプルにするために、
「風の人」「土の人」に絞って話を進めます。
「よそ者、若者、ばか者」と「風の人・土の人」の違いは「主役」
もう1つ、地域活性化でよく語られるのが、
「よそ者、若者、ばか者」理論。
「よそ者」は、組織や地域の外にいて、
従来の仕組みを客観的に見られる存在。
「若者」は、エネルギーに溢れた存在。
「ばか者」は、周りを気にせずに、
思い切って何かに打ち込むことができる存在。
こういった存在が、
地域を盛り上げていくためには必要だ、
という理論です。
この理論と「風の人」「土の人」の話は、
似ているんですが、実は違いもあります。
「よそ者、若者、ばか者」だと、
外部から来た人材が「主役」になる感じですよね。
彼らが中心でまちづくりをしていくイメージ。
でも「風の人」「土の人」だと、
あくまでも「主役」は「土の人」なんですね。
「風の人」はきっかけをつくるだけ。
そこが大きな違いかなと思います。
青年海外協力隊は「風の人」、現地の人は「土の人」。よく理解すると、迷いがなくなる3つの判断基準ができます
さて本題です。
「風の人」「土の人」を、
青年海外協力隊に当てはめて考えてみます。
言うまでもないですが、
青年海外協力隊は「風の人」で、
現地の人は「土の人」です。
日本から2年間限定で、
途上国にやってくる協力隊は、
まさしく「風の人」ですよね。
反対に、途上国に定住し、
いわゆる地元の人間である、
現地の人は「土の人」ですよね。
協力隊と現地の人が、
「風の人」と「土の人」であると理解しておくと、
非常に気持ちが楽になります。
途上国でボランティアをしていると、
本当にいろんなことに悩み、迷います。
冗談抜きで、協力隊としての自分の存在意義が分からなくなるんです。
そんな迷いや悩みがあるときにこそ、
立ち返る原理原則のようなものが必要なんですね。
「風の人」「土の人」は非常によくできた理論で、
協力隊として国際協力をする上で、
存在意義を最大化した活動ができるようになります。
そんな原則を3つほど紹介していきます。
①主役はあくまでも「現地の人」。決定権は協力隊にはない
まず1つ目はこれ。
先程も言いましたが、地域活性化における、
主役は「土の人」なんですよね。
ってことは協力隊で言えば、
「現地の人」が主役なんです。
僕ら協力隊はあくまでも脇役なんですよ。
だって、僕らが現地にいるのはたった2年ですから。
ずっと住み続けるのは現地の人であり、彼らの場所。
ということはどういうことかというと、
決定権は常に「現地の人」に、
持たせないといけません。
要はある取り組みに対して、協力隊の僕らが、
それがすばらしいことだどんなに思ったとしても、
現地の人がNOと言ったら、NOなんです。
ラプシーキャンディの販売支援の活動で、
起きたことを例として紹介します。
加工食品の大規模な展示会のオファーを、
僕経由でいただいたことがありました。
首都カトマンズのど真ん中でやる展示会なので、
出展をすれば新しい商談が生まれる可能性も高い。
しかも、出展料もなんと無料。
売上アップを実現できそうなので、
僕は絶対に出るべきだと思ってました。
でも、ラプシーキャンディの工場のリーダーはばっさりと断りました。
正直、なんでなんだと納得がいきませんでした。
でも決めるのはリーダーのおばちゃんです。
僕ではありません。結局、彼女の決定を尊重しました。
この例で何が言いたいのかというと、
「風の人」と「土の人」には、
明確な境界線があるということなんです。
さらに付け加えるなら、
その線は、絶対に越えられない一線なんです。
この一線を越えてしまうと、
現地の人と衝突が起きたり、
本当は必要のない支援をしてしまう可能性が高くなります。
もっと言うなら、この境界線を越えてしまったら
僕らがやっていることは、
「支援」ではなく「介入」になります。
そうなると、存在意義がプラスになるどころか、
マイナスに働くようになってしまいます。
「土の人」である「現地の人」が主役になっているか、
決定権をちゃんと握っているかどうかは、
どんなときでも忘れちゃいけない原則です。
②協力隊は、風のようにフットワーク軽く、行動を起こそう
じゃあ「風の人」である協力隊は何をすべきなのか。
僕らは常にフットワーク軽く、
とにかく行動を起こすことが最も大事なんです。
「風の人」である以上、
身動きの重い「土の人」に代わって、
どんどん動きましょう。
新しい取り組みを始めることはもちろん、
面白いと思った場所にはどんどん、
首を突っ込んでいったらいいんです。
僕もキャラメルづくりを本格的に始める前には、
別のキャラメル工場に弟子入りしました。
これも行動を起こしたことによる偶然がきっかけです。
お店で見つけたキャラメルのパッケージを見て、
製造場所を辿ったら、工場がありました。
他にも気になる製品があったら、
その製品に書いてある連絡先に電話して、
アポを取って製造場所を見に行くことも何度もやりました。
後々につながったこともあれば、
もちろんつながらなかったこともあります。
でも、臆せずやってみる「姿勢」を見せることは、
僕ら協力隊が、現地の人への貢献の中でも、
最も簡単で、最もインパクトのあることなんですよ。
協力隊の活動は本当に難しいです。
たった2年で目に見える成果を出すことは、
誰でもできることではありません。
でも、成果を出そうとチャレンジする「姿勢」は、
どんな人であっても見せることができます。
協力隊OBが任地へ帰ったら「名前だけが残った」と知った。僕はもう悩まない-僕ネパ
恥ずかしい思いをしてもいいじゃないですか。
どうせ2年経ったらいなくなるわけで、
その時には誰も覚えてませんよ。
やるか・やらないか迷った時など、
「風の人」らしく、
気軽に身軽に行動を起こすことが大事です。
③自分の考えを信じて、「風」という名の変化の「きっかけ」になろう
「風の人」である協力隊の価値は、
新しい風を吹かすことができること。
要は予想だにしない変化の「きっかけ」になる、
っていうことが最大の価値なんです。
少し昔のことわざなんですが、
「風が吹けば桶屋が儲かる」って、
知ってますか?
風が吹けば桶屋が儲かるとは、
あることが原因となって、
その影響がめぐりめぐって意外なところに及ぶことのたとえ。
それにしてもなんで桶屋が儲かるのか?
このことわざの由来はこんな感じです。
- 風が吹くと、砂埃で失明する人が多くなる
⇒失明した人でも生計を立てられる三味線弾きが増える
⇒三味線の胴に張る猫の皮の需要が増える
⇒猫が減るからネズミが増える
⇒ネズミは桶をかじるので、新しい桶を買う人が増える
⇒桶屋が儲かる
昔のことなので、
因果関係には疑問が残りますね(笑)
でも、ここで僕が言いたいのは、
協力隊は、このことわざで言う、
「風」になれるってことなんです。
風に舞って、運ばれてきたタンポポの種は、
誰にも気づかれないうちに地面に落ちて、
やがて、予想だにしない場所に花を咲かせます。
種が落ちてから花を咲かせるのは「土の人」。
でも、その種を運んでくるのは「風の人」なんです。
僕がやってきた、
ラプシーキャンディの販売支援なんかは、
まさにその「種」だったなと思っています。
今まで現地人向けだったラプシーキャンディを、
外国人観光客向けに売り出すことで、
ネパールを代表する新しいお土産になりました。
協力隊が持つ最大の価値は、
「風」を吹かせる力があることです。
そして、その「風」とは、
協力隊の1人ひとりが持つ、
「土の人」にはない独自の視点やアイデアです。
あなたが持つ視点や視野、アイデアにこそ、
協力隊の存在意義が詰まっているんです。
要は、あなたが持つアイデアを、
実行に移してやってみれば、
「風」が起きる可能性は高いんです。
自分のアイデアを信じて、
実際にやってみてましょう。
そこには「風」が吹いて、
桶屋が儲かるような、
予想だにしない変化が起こるかもしれません。
「風の人」と「土の人」の本質を理解して、協力隊としての存在意義を最大化させよう
協力隊としての存在意義を最大化してくれる、
「風の人」「土の人」に関連した、
3原則を紹介しました。
②協力隊は、風のようにフットワーク軽く、行動を起こそう
③自分の考えを信じて、「風」という名の変化の「きっかけ」になろう
協力隊は「風の人」です。
だから主役は「土の人」である現地の人。
現地の人の意思を第一優先にしましょう。
重い腰をなかなか上げない「土の人」に代わって、
風のように軽やかに動いていきましょう。
そうして、「土の人」では起こせない、
「風」を起こすことで、
予想だにしない変化のきっかけになりましょう。
そのために一番大事なのは、
あなたの存在意義の源泉である、
自分のアイデアや考えを信じて、やってみること。
「土の人」には思いつかない、
考えやアイデアを持っていること自体が、
「風の人」の立派な存在意義です。
現地の人を信じ、
自分を信じることで、
心地よい「風」を巻き起こしましょう。
「風の人」による成功事例はこちら。
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ネパールのアイドル、ラプシーちゃんの一言!
風の人になって私を日本まで運んでちょうだい~