2017-06-08

人生

恵比寿渋谷きれいなお姉さんに声をかけて、ちょっとした縁から逢瀬を繰り返して鮮やかな時を過ごす。

週末は気の置けない仲間たちと車でドライブして、キャンプ場でバーベキューを楽しむ。

大企業就職して、立派な社会人相応の振る舞いを身につけて、出世街道邁進する

ボーナスの使い道はたくさんある。旅行するのもいいし、アクセサリープレゼントするのもいい。

上のポストを任され、昇給もあり、貯金も潤沢となってきたなら、そろそろ身を固めてもよいかと考える。

ちょっと良さそうな店を予約して、大切な話をする。

退屈で面白みのない場所と思っていた役所が、まるでテーマパークチケット売り場のように思える日があると知る。

古くからの友人が大勢駆けつけ、一生の思い出となる式を執り行う。

より一層仕事に励むようになり、ローンを組んで大きな買い物ができるほどの信用を勝ち取る。

車も家もいいけれど、それよりも大切なことにしようと話し合う。

具合が悪いのに嬉しげな顔をする奇特人間を初めて見る。

宗教に興味はなかったのに、無性に神に祈りたくなる。

親戚一同に新しい家族を紹介する。

本や伝聞では知り得なかったことをたくさん教えてもらう。

確立した信用でもって大きな買い物をする。

日々変化していく存在はどれだけ時間を共にしても飽きることがなく、毎日家に帰るのが楽しみになる。

学校行事も思い出に華を添えてくれる。

気がつけば自分の背丈とそう変わらないほど成長している。

夢中で気づかなかったものの、自分も相応の身分になり、社会的地位を築いている。

自然自分の方こそ成長させてもらっていたことに気づき感謝の念を祝辞で述べる。

新しい家族が増えたことを喜び、大切なことを成し終えた安堵感に浸る。

勤め上げた退職金で十分な貯金ができ、後顧の憂いを断って人生と向き合う。

時間ができたので、久しぶりに旅行にでも行こうかと話し合う。

趣味を見つけて没頭し、充実した時を過ごす。

体力があるうちにやっておけばよかったなと愚痴をこぼしつつも、やりたいことをやって楽しむ。

それなりに良い人生だったと、家族に看取られて逝く。




平日の昼間、薄暗い部屋のモニターの前で、ただ暇をつぶすために文章を書く。

いまだ何ひとつなし得ていないこと、今後も望みはないであろうことを確認し、この内容を登録する。

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