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日本戦略研究所

2003年05月05日
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帰国した拉致被害者5人を北朝鮮に帰すように強く主張し、国民の顰蹙を買った外務省の平松賢司北東アジア課長が、
今度は国連人権委員会の強制的失踪作業部会におざなりの回答書を独断で提出してしまった。

その回答書の全文。
「日本政府は2002年11月11日の作業部会の会合で8件の強制的失踪に関する新しい事案について、作業部会が通報を行うことを決定したことを歓迎し、個々の事案についてできる限りの協力をする用意がある。斎木昭隆外務省アジア大洋州局参事官が申請者の代理として日本政府の立場を説明し、持ちうる限りのすべての情報を提供した。

それ以降、失踪者の行方についての新たな情報はなく、現時点で追加的な情報を提供することは困難だ。しかし、日本政府は新たな情報を得次第、作業部会に伝達し、失踪者の行方を明確にするために最大限の努力をする用意がある。」

これだけ。抽象的な内容で熱意はまったく感じられない。

昨年11月以降、死亡したとされる松木薫さんの骨が日本側の鑑定の結果「別人のもの」と判明したり、日本政府が認定した10件15人以外に

拉致された疑いのある失踪者が200人を超えること、警視庁が今年1月拉致事件を指揮した工作員を国際手配するなど、新たな情報、証拠などが出ているのに「現時点で追加的な情報を提供することは困難だ」と片付けてしまっている。恐るべき冷酷さではある。
 
外務省は警察庁と協議せず、政府の拉致問題専門幹事会(議長・安倍晋三官房副長官)にも報告せず、勝手に回答書を作成して国連人権委に提出した(3/17)。

外務省は4月18日になって、ようやく政府の「拉致被害者・家族支援室」に回答書を示したが「警察庁とは事前に協議した」とウソをついていた。

拉致被害者の家族会からは「不十分な内容」と強い不満が噴出した。同時に提出された北朝鮮の回答書は「拉致問題は解決済み」と強弁しているのだから「不十分な内容」と感じるのは当然である。

事態を重く見た安倍晋三官房副長官は4/21午前、平松賢司北東アジア課長に「なぜ、このような回答書が日本政府名で勝手に提出されていたのか説明してほしい」と問いただしたのに対し、

平松賢司北東アジア課長は
「人権委の作業部会は調整機関だから情報は最低限でいい」「申し立てを行ったのは家族会なので、政府が目立ってはいけないと思った」などと釈明したが、最後には「事務的な瑕疵」のせいにして謝罪したらしい。

竹内行夫外務事務次官も同日夜の会見で「十分に検討がなく、とりまとめられたことについては至らぬところがあった」と陳謝した。

しかし、超党派の拉致議連が「報告を怠ったなどの『事務的なミス』で済ませてよいのか」と批判しているように平松賢司北東アジア課長の行動は確信犯的なものであることは間違いない。

つまり、国連人権委に簡素な回答書を提出することで、国連人権委に「申し立てを行ったのは家族会」であり、“外務省は無関係”というポーズをとって北朝鮮に媚びを売ろうとしたのである。

平松賢司北東アジア課長にとっては北朝鮮の拉致事件は日朝国交交渉の障害物にすぎず、詳細な回答書を提出して北朝鮮を刺激したら国交交渉の糸口が無くなってしまうと考えたのだろう。

しかし、北朝鮮の拉致犯罪を解決しようとする意思がない平松賢司という人物は北東アジア課長ひいては外交官として不適切であり、拉致事件の解決を祈る国民の一人として、早期の更迭を要求する。


結局、政府は「拉致は人間の尊厳、人権および基本的自由の重大かつ明白な侵害」として「問題は未解決」と訴える追加回答書を4/22に国連人権委に提出したが、

今回の「回答書」事件は、そうした北朝鮮の拉致犯罪解決の前に立ち塞がる最大の障害物が“他ならぬ外務省自身”であることを国民の目に明らかにしたといえよう。

「私たちは二つの国(北朝鮮と日本)と闘わねばならなかった」 蓮池透さんの述懐である。







最終更新日  2003年05月05日 13時41分35秒
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