日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター(茨城県大洗町)で5人が被曝(ひばく)した事故で、肺から2万2千ベクレルの放射性物質が検出された50代の男性作業員について、体内に取り込んだ放射性物質の総量は約36万ベクレルになると機構が試算していることが8日、分かった。この値をもとに暫定の被曝量を1年で1.2シーベルト、50年で12シーベルトと算出したという。
国の基準は放射性物質を取り扱う作業員の被曝限度量を1年で0.05シーベルト、5年で0.1シーベルトと定めている。今回の被曝で作業員にがん発症など長期的な健康被害がないか懸念されている。
男性作業員は内部被曝し、肺から最大約2万2千ベクレルの放射性物質が検出された。この値から計算すると、事故当初は約36万ベクレルの放射性物質を体内に取り込んだ恐れがあるという。
事故は6日、この作業員を含む5人が機器の点検作業をしていた際に起きた。放射性物質の粉末が入った樹脂製のバッグが破裂。鼻と口を覆う防護用マスクの隙間から入り込んだ放射性物質を吸引し、内部被曝をした可能性が高い。