これはズルい!英語の発音「楽チン攻略法」

カタカナ発音だって使いよう

これらの動詞の過去形に出てくる母音のaの音は、発音記号では / æ / と、過去分詞形に出てくる母音のuの音は、/ ʌ / と書かれます。辞書などで見かけたこともあるかと思いますが、特にaの音 / æ / は日本人が苦手な音のひとつですので、教師たちも教えるときにけっこう苦労をしているんです。

「『ア』と『エ』の中間の音」とか「『エ』の口のまま『ア』と言う音」とか、「口を四角に開けて『ア』と言う音」と、なんとか生徒が発音できるようにと工夫して説明し、実演し、練習してもらうのです。でもいくら頑張っても、なかなか思った音が出せない生徒もいます。

この / æ / という母音、身近な単語ではこんなところで登場しています。

apple × アップル
sandwich × サンドイッチ
plan × プラン
wrap × ラップ
half × ハーフ
pass × パス

思い切って「エ」という音で発音してしまおう

そこで、私がお勧めしたいのは、aの音 / æ / は思い切って「『エ』という音で発音してしまう!」というズルい方法です。他の教師が聞いたら、賛否両論ありそうな強引な方法ですが、まずは「通じる」という観点でいうと、「普段のコミュニケーションでは、『エ』で十分じゃない?」というのが筆者の結論です(また、誤解がないように言うと、発音のクラスで教えるときには、正しい音を教えています)。ぜひ、声に出して言ってみてください。

sing-sang-sung シング・ング・サング
swim-swam-swum スウィム・スウェム・スワム
run-ran-run ラン・ン・ラン
begin-began-begun ビギン・ビン・ビガン

いかがですか。このほうが、英語っぽい感じがしませんか。ネーティブにもこのほうが通じやすいと思います。

このズル方式、先日都内のある企業の研修で教えたのですが、その時に研修生からこんな質問が出ました。「この方法だとaの音 / æ / とeの音 / e / の区別はどうするんですか」。

確かに、 tantenは両方「テン」になってしまいますし、bandbendはどちらも「ベンド」になってしまいます。そこで、「この区別を少しクリアにするために、aの音 / æ / は少し長めに「エェ」と伸ばし気味で言ってください」とアドバイスしました。あまり「エー」と伸ばしすぎないほうが自然ですが、eの音 / e / よりも気持ち長めな感じがちょうどいいと思います。2つ比べながら声に出して言ってみてください。

ten テン tan テェ
pen ペン pan ペェ
bend ベンド band ベェンド
men メン man メェ

まぁ、そもそもが「通じればよい」というズル方式ですから、正確に区別できなくても仕方ないのですけれどね。そんなこといったら、元々のカタカナ発音ではranrunが同じ「ラン」になってしまっていたわけですし、どうせ間違っているなら「『より通じる』ほうがいい」くらいに気楽に考えるのがいいのではないでしょうか。

次ページ「ア」に寄せるズル上級編
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