DJI Spark実機レビュー。噂の空撮ドローンは楽しさ抜群、ジェスチャー操作は脳波操縦と誤解されるほど滑らか
念能力者になった気分です!
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DJI史上最もコンパクトなドローン「DJI Spark」が5月26日に発表されました。6月15日から順次発送が開始されます。今回は発売に先駆けて製品を借用できたので、筆者が飛ばしてみたファーストインプレッションをお届けします。
DJI Sparkは同社ラインナップのなかで最もコンパクトなドローン。対角寸法170mm、重量は300g。これまでDJI製ドローンで最もコンパクトだったDJI Mavic Proが対角寸法335mm、重量734gなので、大幅に小型・軽量化が図られたことになります。
DJI Sparkは女性の手のひらの上でも大きく感じません。でも、DJI Mavic Proのようにアームを折り畳めないのはちょっと残念
DJI SparkをDJI Mavic Pro、ZEROTECH DOBBYと比較
DJI Spark | DJI Mavic Pro | ZEROTECH DOBBY | |
サイズ | 143×143×55mm | 304×240×83mm(実測) | 135×145×36.8mm |
重量 | 300g | 734g | 199g |
最大飛行時間 | 16分 | 27分 | 9分 |
バッテリー | 1480mAh | 3830mAh | 970mAh |
最大速度 | 50km/h | 64.8km/h | 非公表 |
衛星測位システム | GPS/GLONASS | GPS/GLONASS | GPS/GLONASS |
最大静止画サイズ | 3968×2976ドット | 4000×3000ドット | 4208×3120ドット |
動画解像度 | 1920×1080ドット/30p | 4096×2160ドット/24p | 4096×2160ドット/30p |
最大伝送距離 | 2km(送信機)、100m(Wi-Fi) | 4km(送信機)、80m(Wi-Fi) | 100m(Wi-Fi) |
ジンバル | 2軸メカニカル(ピッチ、ロール) | 3軸メカニカル(ロール、ピッチ、ヨー) | 電子式 |
日本でのDJI Spark発表会では、重量200gを切っていないことについて落胆の声が多かった状況でした。
200g以下であれば改正航空法の適用外となり、飛ばしやすくなるためです。
しかしここで200gを切る空撮向けドローンである「ZEROTECH DOBBY」と比較してみると、DJI Sparkが200gを「切らなかった」理由がよくわかります。
ZEROTECH DOBBYの重量は199gですが、バッテリー、運動性能、ジンバルのいずれかひとつをDJI Sparkと同等にアップグレードしただけでも、200gを超えてしまうのは明らか。対してDJI Sparkは重量以外の要素をバランス良く伸ばしています。
DJI Sparkは世界市場で広く販売されるモデルということもあり、DJI側はコンパクトドローンを妥協せずに作ったということでしょう。結果、重量が300gとなったことはある意味で必然と言えそうです。
さて、DJI Sparkの細部を見ていきましょう。
DJI Sparkにはオプションでプロペラガード(2280円)が用意されています。手のひらで操作するパームコントロール時に手を傷つける危険性を低くしてくれる必須アイテムなので、コンボセットだけでなく標準セットにも同梱してほしかったですね
DJI Sparkのジンバルは2軸メカニカル(ピッチ、ロール)。DJI Mavic Proより1軸(ヨー)足りませんが、運搬時にジンバルクランプで固定する必要はありません。ジンバルカメラの上にあるのが3D検知システム、下にあるのがビジョンシステムです
バッテリーの容量は1480mAh。連続飛行時間16分はちょっと物足りないですね。ちなみにバッテリー単体の価格は5880円です
機体後部にはマイクロUSB端子、マイクロSDカードスロット、バッテリー残量インジケーター、電源ボタンがあります。マイクロUSB端子は、充電と、マイクロSDカード内の写真・動画の管理に使います。なお、純正以外のUSB充電器やモバイルバッテリーを接続しても、バッテリー残量インジケーターは点灯しませんでした
標準セットにも発泡スチロール製の軽量な保管ボックスが付属します。保管ボックスの重量は実測93.8g。プロペラを機体に装着したままでも収納可能です
DJI Spark最大の特徴はスマホや送信機を必要としないジェスチャー、パームコントロール。機体の電源を入れてからカメラに顔を向けると、ユーザーの顔を認識してすぐに離陸。そして手の動きで機体の位置を調整して、手を振ったり、両腕でYの字を作ったり、指や腕でフレームを作ることで操作・撮影が可能です。
こうした一連の流れを動画に撮ってみたので、ぜひご覧ください。
このジェスチャー、パームコントロールは自撮り時に非常に重宝します。ほかのドローンを使っていてストレスを感じるのが撮影までの手順の多さ。機体の電源を入れる、アプリを起動する、撮影する......という手順は実際に試してみると意外に面倒なもの。
対してDJI Sparkは、こうした手順がいらず、また単独で離陸、撮影、着陸が完結するのは非常にお手軽。
さまざまな場所で素速くセルフィーを楽しめます。
また操作感覚にも、不思議な魅力があります。パームコントロールは直感的で、まるでテレキネシス(念動力)でも使っているような錯覚すら感じます。
実際、今回試用している際に、通りがかった方に「脳波で操っているんですか?」と話しかけられました。周りから見たDJI Sparkでの自撮りは、ワタシのような巨漢にさえ思わず話しかけてしまうほど、不可思議な光景のようです。
ちょっと凝った撮影をしたいときに便利なのがQuickShot(クイックショット)機能。4つの撮影モードが用意されています
また、他のDJI製ドローンでは使えない、新しい撮影効果がQuickShot(クイックショット)。Dronie(ドローニー)、Circle(サークル)、Helix(螺旋)、Rocket(ロケット)の4つの撮影効果が用意されており、被写体をボックスで選択してから「GO」を押すだけで、映画の一シーンのような撮影技法を利用可能です。
ぜひほかのDJI製ドローンにも搭載してほしいですね。
DJI Sparkで撮影。f/2.6、1/1250秒、ISO-101
DJI Sparkで撮影。f/2.6、1/1250秒、ISO-100
DJI Sparkで撮影。f/2.6、1/1250秒、ISO-100
DJI Sparkで撮影。1920×1080ドット/30p
本製品の画質は個人的には十分満足いくレベルです。今回は比較的日差しが強い日に撮影しましたが、芝生や生い茂る葉などがきめ細かく描写されており、色も見た目に忠実です。
一方、動画のフレーム数が30pなのは不満ですね。DJI Spark自体を旋回させたり、被写体を追尾しながら撮影する際には、より滑らかな映像を得るために60pがほしいところです。
貸し出し期間の都合上、風の強い日にしか飛ばせませんでしたが、少々の風には負けない安定した飛行を確認できました
また、今回は借りられなかったのですが、DJI Mavic Proのユーザーとして言わせてもらえば、送信機はドローンの必須アイテムです。送信機があれば飛行可能範囲を伸ばせますし、アナログスティックがあったほうが素速くかつ正確に操作可能です。
Engadget読者が購入する際には、送信機を含んだコンボセット(9万1800円)か、「Spark – 送信機」(1万8800円)をセット購入することを強くオススメします。
思わず記念写真を撮ってしまうほど楽しかったです!
運動性能や安定性、飛行可能距離などなどスペック的にはDJI Mavic Proのほうが上ですが、さらにコンパクトなDJI Sparkはつねに携帯可能なサイズという、得がたいメリットがあります。
登山の時など少しでも荷物を軽くしたいドローンユーザーなら、DJI Mavic Proからでも、買い増すだけの価値は十分にあります。