法務省は6日、土地の所有権の移転手続きの相続登記に関する調査結果を発表した。50年以上登記の変更がない土地は、所有者ベースで大都市が6.6%、中小都市・中山間地域では26.6%だった。所有者の死亡後も手続きが取られず、所有者不明になっている可能性がある。所有者不明の土地は災害復旧や農地集約などの障害になる場合があり、対応が課題となっている。
法務省による相続登記の実態調査は初めて。全国10地区を対象に調べた。大都市は神戸市の一部など3地区で、中小都市・中山間地域は高知県大豊町の一部など7地区。1~5月のいずれかの時点で、累計で所有者11万8346人分の土地を調べた。国や会社法人などの所有地は除いた。
都市部に比べ、地方で登記の変更がない土地が多かった。中小都市・中山間地域で50年以上登記の変更がない土地の用途を見ると、田畑は23.4%、山林では32.4%に達した。法務省は「土地の価値が低く、耕作予定がないなどの理由で登記されない場合が多いのではないか」と分析する。
政府は調査結果を受け、相続登記を促進する具体策を検討する。2日に公表した経済財政運営の基本方針(骨太の方針)の素案では相続登記がされていない土地の解消に向け、必要な法整備を進めることを盛り込んだ。
5月には相続手続き簡素化のため、被相続人と相続人全員の戸籍情報が記載された新たな証明書の発行を開始し、一度書類を提出すれば証明書1通で手続きできるようにした。