往年の「青空文庫」に異変 背景にイケメンゲームが?

往年の「青空文庫」に異変 背景にイケメンゲームが?
著作権が切れた文学作品などをインターネットで無料で公開して人気を集めている「青空文庫」は、作品を入力する多くのボランティアが長年支えていますが、最近、ある異変が起きています。きっかけは、イケメンが多く登場するネットゲームだということですが…?
青空文庫は、往年の名作を手軽に読むことができるようにと平成9年に富田倫生さんの呼びかけで設立され、著作権が切れたり、許諾が得られたりした作品について、ボランティアの人たちが文章の入力と校正を行い、インターネットで無料で公開しています。
宮沢賢治や芥川龍之介といった有名な作家から、数は少なくても熱狂的なファンがいる作家まで、掲載作品は1万4000点を超えています。呼びかけ人の富田さんが3年前に亡くなった後も、青空文庫は有志のボランティアが運営を続けています。

ボランティアによる無料の電子図書館

青空文庫は、往年の名作を手軽に読むことができるようにと平成9年に富田倫生さんの呼びかけで設立され、著作権が切れたり、許諾が得られたりした作品について、ボランティアの人たちが文章の入力と校正を行い、インターネットで無料で公開しています。
宮沢賢治や芥川龍之介といった有名な作家から、数は少なくても熱狂的なファンがいる作家まで、掲載作品は1万4000点を超えています。呼びかけ人の富田さんが3年前に亡くなった後も、青空文庫は有志のボランティアが運営を続けています。

作品の入力が増え始めた

ボランティアを高校生のころから続け、現在は運営にも携わっている翻訳家の大久保ゆうさんが、青空文庫の「異変」についてツイッターに投稿したのは先月30日のこと。
青空文庫ではこれまで比較的少なかった、例えば北原白秋に連なる作家たちの作品の入力や校正が増え始めたのです。
大久保さんはツイートの中で、「文アルの影響かどうかはわからないのですが/ご協力ありがとうございます」と述べました。
「文アル」とは、インターネットのゲーム「文豪とアルケミスト」のことです。

“イケメン文豪”たちが活躍するゲーム

「文アル」は、芥川龍之介や太宰治など多くの文豪が「転生」したという設定のイケメンのキャラクターを育てながら、文学書を守る戦いを繰り広げるゲームです。人気声優たちが参加した話題性もあって女性ユーザーなどに人気を集め、運営会社によると、去年11月以降、プレーした人の数は30万に上るということです。
和歌山県新宮市にある詩人・佐藤春夫の記念館を訪れる若い女性がことしに入って増えるなど、その人気はゲーム業界にとどまりません。

青空文庫で登場キャラクターの作品に

文豪の作品を数多く収録している青空文庫にも、当然、影響が現れました。
ツイッターなどでは、「出てくる文豪の作品読んでないことがもったいないと思って、青空文庫で毎朝毎晩読むことにしました」とか、「純文学とか近代文学が苦手だったけど、ちょっとずつ踏破してるから文アルと青空文庫は偉大だ」など、ゲームに夢中になるあまり青空文庫の利用を始めたという人たちが現れ、中には、「青空文庫の入力ボランティアを始めた」という投稿もありました。

きっかけになれば

翻訳家の大久保ゆうさんによりますと、青空文庫のボランティアの中でも作品の入力や校正を完成まで続けられる人は少ないということです。
「ひとりでも新たに加わっていただけるのは本当にありがたいです。入力や校正の作業はひとりでこつこつ進めることが多く、根気のいる作業です。入力に取り組んでいることをツイッターなどで発信して、同じ作家のファンに応援してもらえればモチベーションの向上にもなるのでは」と話しています。
人気ゲームをきっかけに広がりを見せ始めた、青空文庫。自分たちの作品が現代の若い女性たちに急に読まれ始めたことを文豪たちが知ったらさぞ驚くことでしょう。