ニュース速報

ビジネス

インタビュー:新型たばこ、18年末に200億本の生産体制へ=JT社長

2017年05月29日(月)20時22分

 5月29日、JTの小泉光臣社長(写真)は、ロイターとのインタビューで、火を使わない新型たばこ「プルーム・テック」について、2018年末までに約500億円を投資し、紙巻きたばこ換算で約200億本の生産体制を整えると述べた。写真は都内のJT本社で29日撮影(2017年 ロイター/JToru Hanai)

[東京 29日 ロイター] - JT <2914.T>の小泉光臣社長は29日、ロイターとのインタビューで、火を使わない新型たばこ「プルーム・テック」について、2018年末までに約500億円を投資し、紙巻きたばこ換算で約200億本の生産体制を整えると述べた。

これは、17年末の計画比4倍の規模拡大となる。仮にたばこ市場の25%を「たばこベイパー(蒸気)」が占めた場合、シェア50%を確保できる数量とみており、次世代たばこの分野でもリーディングカンパニーとなるための道筋を描いている。

<アイコスは十分に追撃可能>

小泉社長は、「たばこベイパー(蒸気)」について「今年12月末には、たばこ市場の15%程度は確実に占める。18年末は、トップの達観として、25%程度を占めることを視野に入れて、マーケティングやセールス、設備投資を考えている」と述べた。

「プルーム・テック」の生産体制は、17年末で紙巻きたばこ換算で約50億本、18年末には約200億本近くに引き上げる。「そのための設備投資は意思決定している」とし、約500億円の投資を行う方針を明らかにした。東京での発売から全国拡販に向けて、約100億円の投資も予定している。今の日本のたばこ市場は1600億本程度の市場があり、このうち25%をたばこベイパー製品が占めるとすれば、200億本で50%のシェアを持つことになる。

「プルーム・テック」は、たばこ葉を燃やさず、直接加熱もせず、充電式のデバイスにたばこの葉が詰まったカプセルとリキッドのカートリッジをセットし、蒸気を通して味わう商品。昨年3月から福岡市とオンラインで発売していたが、6月29日から東京で販売開始。18年上期には全国発売を計画している。

加熱式たばこ商品としては、フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)の「iQOS(アイコス)」が先行しており、4月時点の小売販売ベースでのシェアは、全国平均で10.0%となっている。小泉社長は「差別性・優位性があるため、プルーム・テックの特徴をきちんと説明できれば、十分追撃できる」と自信を示した。

小泉社長は、プルーム・テックも、他社の競合製品も、最終形ではないと指摘。「プルーム・テックだけではなく、メカニズムが違う製品ポートフォリオを複数揃える。そのために研究開発投資を増やしている」と述べた。ただ、現時点では「商品として、自信を持って世に問うには数年間の時間を要する」とした。

<次世代たばこの技術やパテントがM&Aの対象>

英たばこ大手のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)が米2位のレイノルズ・アメリカンと経営統合するなど世界的な大型再編が起きている。小泉社長は「競争法上問題となるような大型のM&Aについては現実味がない」と述べ、世界的な再編となるM&Aには距離を置く姿勢を示し、必要な地域や領域を絞ったM&Aに主軸を置く考えを明らかにした。

フィリピンやミャンマー、インドネシア、ベトナム、タイ、ブラジル、エジプトなどは「種まきの市場」として、自律的成長のための投資のほか、有望な案件があればM&Aも検討する。さらには、紙巻たばこ以外の新規性ある製品であるエマージングプロダクトについては「JTが持っていない技術やパテントがあることは当然考えられるので、ブティック系、ベンチャー系に技術やパテントがあれば大いに考えていきたい」と前向きな姿勢を示した。

(清水律子 浦中大我 編集:吉瀬邦彦)

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

ニュース速報

ワールド

カタールが過激派に資金提供、アラブ首脳警告=トラン

ワールド

カタール、原油減産合意に引き続きコミット=クウェー

ビジネス

インタビュー:日本の資産運用、顧客細分化の視点が必

ビジネス

7&iHD、鈴木前会長に役員退職慰労金など総額11

MAGAZINE

特集:テロとの戦い 東京2020の落とし穴

2017-6・13号(6/ 6発売)

世界中で頻発し、指揮系統も実行手段も激変するテロの脅威 オリンピックを控えた日本が進める対策の盲点とは

グローバル人材を目指す

人気ランキング

  • 1

    アイシャを覚えていますか? 金正男暗殺実行犯のインドネシア人女性の運命は

  • 2

    ロシアの極超音速ミサイル「ジルコン」で欧米のミサイル防衛が骨抜きに?

  • 3

    世界最大の飛行機が初披露!空中発射プラットフォームとしてデビューへ

  • 4

    習近平「遠攻」外交で膨張する危険な中国

  • 5

    ダイハツが11年連続で軽自動車シェアNo.1の理由

  • 6

    ロンドンテロ 地獄のような襲撃現場で必死の応戦を…

  • 7

    プーチンが軍拡宣言、ヨーロッパだけでなく極東アジ…

  • 8

    ロンドン市長批判で、トランプの訪英反対運動が再燃

  • 9

    こんな人は、モン・サン=ミシェルに行ってはいけない

  • 10

    そのメタボ、「ガリ」が解消します!? 

  • 1

    人相激変のタイガー・ウッズが釈明 いったい何があったのか

  • 2

    佐藤琢磨選手のインディ500優勝は大変な快挙

  • 3

    アイシャを覚えていますか? 金正男暗殺実行犯のインドネシア人女性の運命は

  • 4

    ミサイル3連発でも北にすり寄る韓国政府の狙い

  • 5

    北朝鮮の核攻撃に備え始めた米ハワイ州

  • 6

    イチロー選手はもう安打数で評価する領域を超えている

  • 7

    パリ協定離脱に喝采するトランプの「真の支持基盤」…

  • 8

    ロシアの極超音速ミサイル「ジルコン」で欧米のミサ…

  • 9

    トランプがドゥテルテに明かした、北朝鮮核ミサイル…

  • 10

    世界最大の飛行機が初披露!空中発射プラットフォー…

  • 1

    ディズニーランド「ファストパス」で待ち時間は短くならない

  • 2

    ヤマト値上げが裏目に? 運送会社化するアマゾン

  • 3

    北朝鮮をかばい続けてきた中国が今、態度を急変させた理由

  • 4

    シャチがホホジロザメを餌にし始めた

  • 5

    人相激変のタイガー・ウッズが釈明 いったい何があ…

  • 6

    性的欲望をかきたてるものは人によってこんなに違う

  • 7

    ニクソンより深刻な罪を犯したトランプは辞任する

  • 8

    性科学は1886年に誕生したが、今でもセックスは謎だ…

  • 9

    「男と女のどちらを好きになるか」は育つ環境で決ま…

  • 10

    佐藤琢磨選手のインディ500優勝は大変な快挙

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

日本再発見 シーズン2
ニューズウィーク試写会「ファウンダー」
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 別冊

0歳からの教育 知育諞

絶賛発売中!