在中国米大使館の高官が辞任 パリ協定離脱めぐり
在中国米大使館で代理大使を務めるデイビッド・ランク公使が国務省を退職したことが5日、明らかになった。ドナルド・トランプ米大統領が先週発表した、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱に同意できなかったことが辞任の原因だとみられている。
米国務省はランク氏の退職を確認した。米メディアによると、ランク氏は大使館職員との会議で、パリ協定離脱を中国政府に正式伝達するよう指示されたが政権の決定を擁護できないため辞任を決意したと話した。
米紙ニューヨーク・タイムズは、匿名を希望するランク氏の友人の話として、米国の特に気候変動をめぐる対中国政策に強い不満を抱いていたと伝えた。
国務省は文書で、「ランク氏は自分自身の進退につついて自ら決断した。長年の勤務に感謝している」と述べた。また、中国大使館のジョナサン・フィッツ経済担当参事官が、後任として就任したことを明らかにした。
ランク氏は2016年1月に公使に就任。トランプ新政権で新しく駐中国大使に指名されたアイオワ州知事のテリー・ブランスタド氏が今月中に着任するまで、代理大使を務める予定だった。
北京の米国大使館のウェブサイトに6日現在でまだ掲載されているランク氏の経歴紹介によると、同氏は1990年入省で、アフガニスタンや台湾、ギリシャ、モーリシャスで勤務した経験がある。
トランプ氏によるパリ協定離脱の表明は、各方面から強い批判を集めた。パリ協定では、署名国が自主的に温暖化ガスの排出削減計画を策定し、経済的に貧しい国の気候変動への対応を支援する。
トランプ氏は昨年の大統領選で、人間活動が原因とされる気候変動は「でっちあげ」だと主張していた。
協定離脱表明の後、ニッキー・ヘイリー国連大使は4日放送のCNNインタビューで、大統領は「気候変動を信じているし、公害因子が関係していると信じている」と述べ、米国が「責任を持たなくてはならない」と発言した。
(英語記事 US diplomat in China quits 'over Trump climate change policy')