初めまして。元銀行員ブロガーのRyoheiです。
初めに、簡単な自己紹介をしたいと思う。
某国立大学卒業
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㈱三菱東京UFJ銀行に入社
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約2年間地方の営業店で法人営業担当。
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東京の本部に転勤し、1年半ほど大企業融資担当。
計3年9か月で退職し、独立。現在27歳。
これから、僕が新卒で入社(正確には、銀行に入る事は入行と言う)した、3大メガバンクの一つである三菱東京UFJ銀行のブラック企業な話をしようと思う。
ブラック企業と言っても、メガバンクは一般的なブラック企業のイメージとは違う。
鬼のようなサービス残業も、休日出勤も無い。
(実際、僕は営業店時代、だいたい8時出勤で20~21時退社くらいだったし、土日に出勤した事は銀行員人生で一度も無かった)
では、いったい何がブラック企業たる理由なのか。
僕が思うに、メガバンクは『精神的な苦痛が尋常でない』ブラック企業だ。
今回は、メガバンクがブラック企業だと思う2つの理由を、僕の経験談を交えて話していきたい。
目次
1.社内の風通しは無風。まさに時代錯誤の封建社会そのものだった
まず、僕がいた営業店では、『さん付け』の習慣が無かった。
係長には『××係長』、課長は『●●課長』と必ず役職で呼ぶイメージだ。
この役職で呼ぶ慣習は仕事中だけでなく、プライベートな飲み会の場でも同じだ。
役職をつけて呼ぶと、やはりどこかよそよそしさが出て、特に若手からするとどうしても気を使いがちになってしまう。
就活でよく聞く謳い文句の『フラットな組織』というのは、僕がいた職場には全く無かった。
メガバンクとはやはり、年功序列がとてもはっきりとしている組織なのだ。
(本部では『さん付け』はある程度根付いてはいたので、会社として少しずつ変えようとはしているようだが)
そして一番タチが悪いのが、メガバンク(少なくとも僕がいた三菱東京UFJ銀行)は、とにかくトップダウンの組織だった事だ。
トップダウンとは、ざっくり言えば『上の言う事は絶対』という意味だ。
その職場の中で、一番偉い人が王様。
営業店であれば、『支店長』と呼ばれる人。
本部であれば、『部長』と呼ばれる人がそうだった。
神様ではなく王様だ。
わがまま、無理難題を押し付けてくるから、彼らは王様なのである。
王様たるトップに職場の誰かが呼ばれた時の光景は、圧巻だ。
みな、直立不動で、ペコペコしながらトップの意見にただただ従っている。
そこでトップに意見する者なんて滅多にいない。その瞬間、トップの逆鱗に触れる可能性だってあるからだ。
僕は一度、どうしても我慢出来ない事があり、支店時代にトップである支店長に意見をした事があった。
その瞬間、僕は支店長に
と怒鳴り散らされ、
と職場で干される憂き目にあった。
周りからは
(あーあ、Ryohei君やっちまったな)
という目で見られ、僕は腫れ物に触るような扱いの存在になってしまい、精神的に相当な苦痛だったのをよく覚えている。
トップに言いたい事も言えない。意見をぶつけ合う事もない。
何を置いても、トップの言う事は絶対で、他の人間はただトップの顔色を伺うだけ。
会社の外のお客さんより、会社の中の偉い人に目が向いているありさまだった。
(これは他の同期たちもよく言ってたので、本当にそうだと思う)
これが、僕が見たメガバンクという組織の一番の印象だ。
ちなみに僕がいた銀行では、トップに話しかける事を『ご進講』、トップから質問を貰う事を『ご下問』と言っていた。
恐らく、全く聞き覚えの無い言葉だと思うが、一昔前、僕の銀行では普通に使われていた言葉らしい。
僕もたびたび、使っている人を見たので、今でもその名残は少なからずある。
それだけ、メガバンクにおいてトップは特別な存在だという事だ。
こんな言葉が今も社内でまだ存在しているあたり、相当古臭い会社だと思う。
今では会社として、それらの用語は使わない方針でいるみたいではあるが、なかなか完全に消える事はないだろう。
そう、僕から見たメガバンクは、まるで封建社会そのものだった。
時代錯誤も甚だしく、僕も働いていてだいぶうんざりしていたのは事実だった。
なぜメガバンクの上下関係はここまで「異常」なのか
なぜ、メガバンクはここまで上下関係が異常な、封建社会となっていたのか。
その理由の一つに、キャリアがあるというのが僕の考えだ。
ドラマ『半沢直樹』を見ていた人は聞き覚えがあるかもしれないが
「銀行員はキャリアが命」
という名言(迷言?)があったと思う。まさしくそれだ。
どこに転勤するかで、出世するかどうかが決まる。
どこに転勤するかは人事部が提示してくるが、最終的に決定するのはその職場のトップだ。
つまり、自分の出世はすべて、職場のトップに懸かっていると言っても過言ではない。
キャリアは一度傷がつくと、そこから回復するには相当な労力と運が要る。
だから、誰もが傷をつけまいとミスを恐れるようになり、キャリアの決定権を持つトップの顔色を伺うようになるのだ。
この社風は、メガバンクという組織がキャリア主義でい続ける限り、決して変わる事はないだろう。
少なくとも僕が勤めた銀行は、風通しなんて無い、旧態依然とした昔ながらの、『上の言う事が絶対』な古臭い会社だったのだ。
2.転勤が2~3年に一度ある事の尋常でない慌ただしさ
もう一つ、メガバンクがブラックだと思う理由を話したい。
それは、転勤の多さだ。
メガバンクの銀行員は、だいたい2~3年に一度転勤が来る。
早い人だと、1年ちょっとくらいで転勤する事もあるほど頻繁だ。
地方銀行であれば、転勤と言ってもだいたい行先は決まっている。
例えば、九州の地方銀行で働いている人が、いきなり北海道に行く事なんてまずないだろう。
そもそも地方銀行は、自分たちの地元エリアにしか営業店が無いので、遠く離れたところに転勤するなんてめったにない。
しかし、メガバンクは違う。
北は北海道、南は沖縄まで、全国いたるところにお店がある。つまり、日本のどこにでも飛ばされる可能性があるのだ。
ここで一番やっかいなのは、『いきなり』転勤の辞令が言い渡される事。
信じられないかもしれないが、本当にいきなりだ。
転勤の日の朝は、支店長室に呼ばれる。
信じられないかもしれないが、本当にこんなイメージだ。
突然言い渡されて、2週間後にはもう新しい職場で働く。
これが2~3年に一度のペースで起こるのだから、慌ただしい事この上ない。
なぜこんなにも転勤が多いのか。
僕は先輩に聞いた事があったが、理由は
「癒着を防ぐ為だと言われている」
とのことだった。
「癒着」。政治でたまに聞く言葉だが、つまり銀行と取引先が親しくなりすぎる事で、取引先にお金をこっそり渡したりする事だ。
銀行はお金を仕事にしている分、そういった癒着には一層気をつかってきたのだろう。
いきなり転勤させるのも、仮に癒着をしていた時の後始末をしっかりさせない為と聞いた事がある。
しかし、当事者にとっては、直前に言われる転勤はたまったものではない。
悲しい転勤話はよく耳にした。
よくあるのは、彼女と遠距離になって別れたり、結婚してすぐ単身赴任になる話だ。
あまりに突然なので、パートナーや家族にも迷惑がかかってしまうケースが多かった。
家を買った瞬間に転勤して、いまだにマイホームに住めていない、という人すらもいた。
(ちなみに独身社員はいつでも動けるように基本独身寮に入れられるので、本当にコマ扱いだ。そして独身寮は場所によってはかなりボロイ)
また厄介なのは
自分が転勤しなくても、同じ課の先輩が転勤するとなった日には、結局自分も引継ぎやらなんやらでバタバタに巻き込まれてしまう事態に陥る事だ。
と上司である課長から、実際に言われた事もあった。
僕はその時、何か月も前からその休暇でハワイ旅行に行く予定を立てていたのだ。
当然、チケットも宿泊先も全て予約している。
それが一瞬で台無しになりそうな悪夢に出くわした事もあった。
精神的に落ち着く事がない。
メガバンクとは、働いているだけで、メンタルが削られていくブラック企業なのだ。
3.まとめ:企業を選ぶなら、自分の中に『軸』を持とう
この記事は、これから仕事を辞めようか悩んでいる人。
就職活動や転職で、新たに仕事を探している人向けに綴りました。
もし僕が、職を探している人から
「メガバンクを受けてみようと思うんだけど、どうかな?」
と聞かれたら、その人に一つ質問をしたい。
「将来、家族を大事にしたいですか?」
と。
今日話した、メガバンクがブラック企業だと思う理由は二つ。
『トップダウン絶対主義の風通しの無さ』
『あまりに多すぎる転勤』
の2つだ。
一つ目はまだ我慢できるかもしれない。
昔から続く大企業なら銀行に限らず、どこも似たような社風はあるだろう。
ただ二つ目の転勤はどうか?
遅かれ早かれ、単身赴任は避けられない。
実際、僕が地方で働いている時の既婚者の先輩達はほぼ全員、単身赴任だった。
だからこそ、これから職を探すのであれば、自分の『軸』を是非持って欲しい。
軸とは、自分が働くうえで、これだけは譲れない、大事にしたいというものだ。
その軸に、『将来の家族を大事にしたい』があるならば、いずれ家族と離れ離れになってしまうメガバンクは、選択肢から外した方がいいかもしれない。
逆に、『とにかく高い給料が欲しい』という軸を持つなら、メガバンクは向いているだろう。
30過ぎで年収1,000万貰う事だって夢では無い。サラリーマンの中で、メガバンク銀行員が高収入なのは間違いないだろう。
サラリーマンは所詮、雇われの身だ。
全てが思い通りになる事なんてない。
何かを我慢をしないといけない生き物だ。
なら、最初から自分が持つ軸を大切にし、それ以外のものは捨てるくらいの覚悟でないと、結局何のために働いているのか分からなくなり、愚痴をこぼすだけのつまらないオヤジになってしまうだろう。
それが、メガバンクという会社に耐えかね、最後は鬱病になって辞めた僕が伝えたいメッセージだ。
この記事を書いた人
名前:Ryohei
説明:元メガバンク銀行員の27歳。 支社〜本部にて法人営業の後、自由を求めて独立へ。
カネや株式投資、働き方について発信していきます。
ブログ:BANK ACADEMY
twitter: @ryoheifree