ビブリオバトル部
第5話
第5話
B・I・Sのメンバーが揃い、対策を話し合うことになりました。
「悪山さんは在日米軍とか自衛隊が嫌いで朝日校長先生と気が合うんです。よく基地の入り口を通る車に向かって死ねと叫んでいます」
「だからキムの見てた写真の親が軍服着てるの見つけてヘイトスピーチ始めたのか」
「キンバリーの親がアメリカ米軍基地の関係者だとわかったからといって子供に対して言うか、普通」
「『アメリカは人殺しの国だ』『沖縄の人を奴隷扱いしている』『生きる尊厳と生きる時間が軍隊によって否定され、命を奪うことが正当化されてる』。沖縄が本当にこんな所だったら修学旅行行くの危ないだろ」
「そんなこと、何も罪を犯してないアメリカ人のさらにその子供に言ってどうしたいのか」
「でもその発言、何万人もの集会で正式に発言されたうえ、批判されることなくむしろ肯定的にジャーナリストにとりあげられてますよね」
「だからそういう事をいってもいいんだと思う悪山のような人間が現れるんだよな。
「そりゃ、日米地位協定は不平等条約だし、軍人が事件起こすとむかつく。その軍人個人に対して軍人のくせに何やってんだよとは思う。だけど軍人どころかアメリカ人全否定とかどうかしてるよ」
「だいたい世界中の奴隷や軍隊に殺されてる人達が沖縄来たら天国に思えるよ、きっと」
「戦後はそりゃアメリカは戦勝国だし散々ひどいことしたわけだ。それが戦争に負けるってことだからね。戦争に勝った国は負けた国に何をしてもいい時代だったんだから。奴隷になってレイプされて植民地になる。それが当たり前だった。それが嫌で敗戦前に自決した人達もいるくらいなんだから。その頃の記憶のある人たちは、アメリカ人を許せないと思うかもしれない。だけど沖縄も在日米軍も今ではずいぶんとかわっただろ。今のアメリカ人が沖縄の人を奴隷扱いしてるなんてのはデマそのものだろ」
「在日米軍がいるかいらないかということと米兵の犯罪をなくすには基地をなくせということは全く違う話なんだけどね。米兵は人を殺す訓練をしてるから殺人にためらいがない上に、賠償金も日米の税金で払ってくれるからなんのリスクもなく犯罪を犯すことが出来る、そんな報道まであるでしょ。賠償金の踏み倒しなんて他の外国人どころか日本人の多くもやってることなのに。それを米兵がやったら日本人感情が収まらないからお見舞金として出してるわけでしょ。そりゃ面白くないわよ、犯罪者の賠償金、税金でまかなってるのは。でもそれと、何もしてないほとんどの米兵を犯罪者予備軍みたいな報道するのは違うでしょ。ジャーナリズムを唱える組織が平気でそんなことしても許されるんだから、それを信じちゃう子供がいてもしょうがないんだけどね」
「喫煙者による犯罪がなくなりません、だから喫煙者をなくしましょう。パチンコによる犯罪がなくなりません、だからパチンコをなくしましょう。ゲームによる犯罪がなくなりません、だからゲームをなくしましょう。車による犯罪がなくなりません、だから車をなくしましょう。韓国人による犯罪がなくなりません、だから韓国人をなくしましょう。労働者による犯罪がなくなりません、だから労働者をなくしましょう。銃があるから犯罪がなくなりません、だから銃をなくしましょう。こう並べたらこのレトリックを使うこと自体無理があるって気がつくだろ。規制する理由や方法は別にあるはずで、そこを考えなくちゃいけないのに。自分が気に入らないものはなくせばいいなんて短絡的な発想が差別そのものなんだよ」
「ネットのデマならネットで反論できるんだよ。そのデマを見た人間はネットを見ているわけだから反論も届けやすい。だけど新聞やテレビはデマ流し放題だろ。
戦前の報道姿勢を反省するどころかちっともかわってない」
「統計的に見れば『米軍によるレイプが多発してる』という話も『震災混乱時にレイプが多発してる』という話もデマだってすぐにわかるのに、なぜかそういうデータを無視してデマを流す奴がいるんだよね」
「でも、どうしてなんでしょうね。米軍基地の問題点なんてたくさんあるんでしょう?それで充分じゃないですか。なぜわざわざ、そんな捏造しなくちゃいけないんですか?ジャーナリストが」
「そういう奴が世の中には多いのさ。自分が正義だと思い上がってる連中──〝正義だから、いくら間違ったことをやっても許される〟と思ってる奴がな」
「正義だから間違ったことを……?」
「ああ、デマを流したり、誰かを迫害したり、戦争を起こしたり、原爆を落としたり──明らかに間違っているのに、〝正義だから許される〟と思ってる連中がな……」
「いいか、世の中で最も危険な思想は、悪じゃなく、正義だ。悪には罪悪感という歯止めがあるが、正義には歯止めなんかない。だからいくらでも暴走する。過去に起きた戦争やテロや大量虐殺も、多くの場合、それが正義だと信じた連中の暴走が起こしたものだ。そして、今も世界各地でそういうことが起きている」
「悪山のツイッターも、米兵タヒねだの自衛隊タヒねだの差別発言てんこ盛りだな」
「『戦争法案』だの『強行採決』だの『軍靴の音が聞こえる』だのひどいもんだな。今どき『単独講和の選択が間違いだった』なんていうやついるんだな」
「『単独講和』って何ですか?」
「戦後日本が戦争相手のアメリカ、イギリスや中国、ソ連と仲直りしようって条約を結ぼうとしてたんだよ。だけど、東西冷戦のさなかで日本が西側東側どっちにつくかで世界が色々駆け引きしてたんだよ。だからまずどっちかを選ぶしかなかった。日本は民主主義国家だから当然米英側とまず平和条約を結ぼうとしたんだけど、アメリカとの『単独講和』ではなく全ての国との『全面講和』を目指せという意見があったんだ」
「みんなと仲良くしたほうがいんじゃないの?」
「もちろん、そういう道を選ぶのも一つの案だ。だけどここで問題なのは、『単独講和』は単独の国との講和じゃないって事だよ。西側の民主主義国家みんなとまず講和をするんだから『単独』ってのは明らかに意図的な間違いだ。『全面講和』と『単独講和』という言葉の響きだけでなんとなく『全面講和』のほうがいいかもって思わせようとするのは悪質だろ。『単独講和』という間違った言葉を選んで使って、アメリカとだけ講和を結ぶかのような案だと間違った認識を広めようとすることを普通はジャーナリズムとは呼ばないだろ」
「ベトナム戦争についてのツイッターでも北を『解放勢力』と正義の味方のように明らかに意図的な名称で呼んだりしてるだろ」
「え?アメリカが負けてベトナムが解放されたんじゃないんですか」
「最初は確かに南ベトナムでのアメリカの軍事侵略的な行為に立ち上がった人民が民族解放を唱えてた。だけど、だんだんと北ベトナムの共産主義政党の軍隊が投入されてることがわかっていったんだ。南ベトナム市民は腐敗した南ベトナム政府やそれを支援するアメリカは嫌いだったけど、それ以上に北の共産主義勢力が南に入ってくることを恐れているというのは現地で取材すればわかることだからね。北ベトナムが南ベトナムの解放軍に介入してる、そういう事実がわかって多くの海外メディアが『共産側』『北ベトナム側』と呼ぶようになっていったんだ。だけど一部のメディアだけがそういう外電を翻訳する際にも意図的に『解放勢力』と違約していた。南ベトナムが負けた時、西側メディアの多くは陥落としたけど、『歴史の流れを理解できない愚かな人間が陥落なんて書くんだ』と、あくまで解放なんだと言い続ける報道もあったんだ」
「ベトナム戦争では『解放勢力』に対してアメリカが行った残虐行為ばかりが問題にされたけど、共産勢力が行った一般人に対する大量殺戮は日本では無視されたんだ。だからアメリカが撤退して南が負けると多くの南ベトナム市民が国外に逃げ出した。貧困層や低学歴層まで逃げ出したのに『腐敗した金持ちや政治家が逃げているだけ』という意図的で間違った報道がされた。まあ共産勢力にとってはそれがベトナムを『解放』したということなんだろうけどな。こういうデマを流した事で、当時逃げ出し難民となった南ベトナム難民に対する差別が生まれたんだ。北ベトナムは戦争なんてしてない、南ベトナムの市民がアメリカの支配から立ち上がって『解放勢力』として戦ったんだという話は作り話だったんだよ」
「朝鮮戦争についてのツイートも戦争を仕掛けたアメリカが悪いって言ってるな」
「新聞記事『本質的には民族解放を目指す北朝鮮に、これを侵略として国連旗を掲げた米国が英仏加など十五カ国の参戦を得て韓国を支援し、力で対抗したという見解が有力である』このように民族解放運動を武力で抹殺したアメリカ。教科書裁判『朝鮮戦争がアメリカ軍による侵略戦争であるという有力な学説もあるが、それをふくめ──朝鮮民族内部の戦争として開始されたということを否定するものはいない』このような正しい歴史が政府の検閲によって抹殺されようとしている」
「でも、その当時はまだはっきりとした原因がまだわかってなかったんじゃないの?」
「原因がわかってないならアメリカが悪いとはっきり言うわけもないだろ。だったらその有力な学説を知りたいね。僕はいまだにそんな有力な学説聞いたことないけど」
「ジャーナリストの言う『解放勢力』という言葉を信じすぎだろ。──カンボジアの〝解放勢力〟指導者が裏切り者に『早く逃げろ、ここにいると処刑されるぞ』と言った。これがアジアの優しさあふれる明るい社会主義国だ。──といってた新聞知ってるか?しかもその新聞、そこで行われてた大量虐殺を海外メディアが報じたら、大量処刑は疑問、具体性にかけむしろ否定的な見方が多いと全否定したんだよ」
「あの有名なポル・ポトの大虐殺を否定してたの?」
「そう、なぜかある一定のイデオロギーを持つ人達を手放しで『解放勢力』と無批判に肯定するんだよね。その後ポル・ポトの後ろに中国がいたり、そこにベトナムが攻め込んだりでぐちゃぐちゃになってうやむやになっちゃったけど、さっきの〝解放勢力〟指導者の話書いたジャーナリストなんて現地じゃなく東京にいてこんな作り話書いたんだよ」
「でも、どうしてなんでしょうね。共産主義を褒めてくれる人は大勢いるんでしょう?それで充分じゃないですか。なぜわざわざ、誰かの発言を捏造しなくちゃいけないんですか?ジャーナリストが」
「そういう奴が世の中には多いのさ。自分が正義だと思い上がってる連中──〝正義だから、いくら間違ったことをやっても許される〟と思ってる奴がな」
「正義だから間違ったことを……?」
「ああ、デマを流したり、誰かを迫害したり、戦争を起こしたり、原爆を落としたり──明らかに間違っているのに、〝正義だから許される〟と思ってる連中がな……」
「いいか、世の中で最も危険な思想は、悪じゃなく、正義だ。悪には罪悪感という歯止めがあるが、正義には歯止めなんかない。だからいくらでも暴走する。過去に起きた戦争やテロや大量虐殺も、多くの場合、それが正義だと信じた連中の暴走が起こしたものだ。そして、今も世界各地でそういうことが起きている」
「それとは逆に中国の文化大革命の時その新聞は、他のジャーナリストが報道の自由がないからと撤退する中、中国の地にとどまり続けて『中国文化大革命という歴史の承認としてわが社がここに踏みとどまるためにデメリットな部分には多少目をつぶってメリットのある部分を書くのもやむを得ない』と文化大革命を礼賛して事実を曲げて報道することを選んだんだ。中国に留まりたいという理由のためにジャーナリズムを捨てたんだ」
「そこで歴史的な意図的な誤報記事がうまれた。文化大革命中、毛沢東の次に偉かった副主席が死んだんだ。他の新聞社が失脚したらしい死んだらしいと書いてる中で中国共産党の発表だけに従って死んでなんかいないし何事も起こってないと報じたんだ」
「でもその当時はみんなわからなかったわけでしょ」
「それでも、どうも失脚したらしいという話は広まっててその裏取りに報道各社が躍起にはなってたんだよ」
「副主席になにかあったらしい、腹心の部下もみんな姿を消してる、どうも失脚したらしいという事をつかんでた記者は社内にいたんだよ。当然特ダネだから記事にしようとしたらボツにされた。中国に都合の悪い記事は載せないというのが会社の方針だったからね。仕方なくその記者は週刊誌に持ち込んでその記事が載ることになったんだけど、掲載されることを知った新聞社が激怒して掲載した編集長を更迭して記者を干した。これは誤報とか事実関係の確認を怠ったとか先走ったとかそういうレベルのミスの話じゃない、あえて意図的に毛沢東の副主席は健在だという捏造記事を捏造だとわかっていながら出したという話なんだよ」
「でも、どうしてなんでしょうね。毛沢東を褒めてくれる人は大勢いるんでしょう?それで充分じゃないですか。なぜわざわざ、副主席は健在なんて捏造しなくちゃいけないんですか?ジャーナリストが」
「そういう奴が世の中には多いのさ。自分が正義だと思い上がってる連中──〝正義だから、いくら間違ったことをやっても許される〟と思ってる奴がな」
「正義だから間違ったことを……?」
「ああ、デマを流したり、誰かを迫害したり、戦争を起こしたり、原爆を落としたり──明らかに間違っているのに、〝正義だから許される〟と思ってる連中がな……」
「いいか、世の中で最も危険な思想は、悪じゃなく、正義だ。悪には罪悪感という歯止めがあるが、正義には歯止めなんかない。だからいくらでも暴走する。過去に起きた戦争やテロや大量虐殺も、多くの場合、それが正義だと信じた連中の暴走が起こしたものだ。そして、今も世界各地でそういうことが起きている」
「悪山のツイッターは北朝鮮のデマも多いな」
「ついこの間まで、北朝鮮は地上の楽園と呼ばれてたからな。さっきのベトナム戦争で韓国はアメリカ側について戦ったし日本からの賠償金で国を一気に工業化した。その際の強権政治とアメリカに味方したって事で、韓国は日本メディアからは散々叩かれたんだ。それと比べて北朝鮮はなんとすばらしい国であることかと。いや朝鮮民主主義人民共和国はって言わないとわかりにくいな」
「長いし北朝鮮でいいんじゃないの?」
「それだと報道姿勢がわかりにくいんだよ。昔から中国、アメリカ、韓国、東西両陣営区別なく略称で呼んでる。いちいち中華人民共和国なんていわないだろ。それなのに当時はわざわざ朝鮮民主主義人民共和国と呼ぶぐらい敬愛してたジャーナリスト達がいたんだ。今でこそ北朝鮮の宣伝放送につっこみいれてるけど、当時はそのままそれを真実だと報道してたんだ。地上の楽園だ豊かな国だと騙されて北朝鮮に渡った人も多くいる。北朝鮮への帰国が実現すれば、日本側も生活保護費の軽減や治安問題が解決するから両国ともにプラスなんだと多くの人が賛成したんだ。そして北朝鮮に渡った多くの人が騙されていた事にすぐに気がついて声をあげたんだけど、その声は無視されたんだ。被害者の親族が訴えても、北朝鮮側の選んだ人物が何不自由なく暮らしていると言ってるんだから何の問題もないとつっぱねてね」
「脱北者やテロ実行犯が北朝鮮の内情を伝えるようになってからも、一部の人間はそれは韓国の陰謀だと信じなかった。2002年、小泉総理大臣が日本人拉致を認めろと強硬にせまるまでは、北朝鮮に対する『強硬派』はウヨクでファシズムでヒトラーだと揶揄されてたんだ」
「2002年ってそんなに昔じゃないぞ。北朝鮮の拉致問題が表面化してて、テロ実行犯が捕まって自供してて、人道支援物資が他の国へ転売されてそれで獲得した外貨が軍備にまわされて国民が餓死してることが報道されてた時代だ。それでもなお北朝鮮を非難する人達を『強硬派』や『ウヨク』扱いしてたジャーナリストがジャーナリズムの中心にいたんだ」
「北ベトナムも民主共和国を名乗ったし、北ベトナム人民軍の将兵は南ベトナム民族解放戦線を名乗ったし、北朝鮮も民主主義人民共和国を名乗った。これをそのまま言葉の持つ意味だけを報道して民主的だ解放なんだと言う一方で、それに異を唱える方、自分が気に入らない方には『ウヨク』『強硬派』『軍事独裁』なんてレッテルを一方的に貼る事をジャーナリズムとは呼ばない。ネットの中傷じゃないんだから。『戦争法案』『平和憲法』『強硬』『穏健』『対話路線』『市民団体』『右翼団体』『単独講和』『全面講和』。こういうレッテル貼りはジャーナリズムなんかじゃない。小泉総理の拉致問題解決方法はどうみたって『対話』だろ。北朝鮮に特殊部隊を送り込んで奪還作戦やるぐらいでないと被害者は帰ってこないという人もいたぐらいなんだから」
「弱者の味方といいつつ、デマが生み出す被害者はいっさい無視なんだ。ベトナム難民は腐敗した金持ちというデマや北帰国者は何不自由なく生活しているというデマを流した事で、困窮を訴えた被害者が新たに被害にあうことがわかっててもなおイデオロギーのためにデマを流す。拉致被害者を一旦北朝鮮に帰さなければいけないなんて正気の沙汰じゃないことをイデオロギーのために訴える。それをジャーナリストの言葉だからと信じてしまうのが悪山のような人なんだろうね」
「でも、どうしてなんでしょうね。事実を正確に伝える人は大勢いるんでしょう?それで充分じゃないですか。なぜわざわざ、レッテル貼りしなくちゃいけないんですか?ジャーナリストが」
「そういう奴が世の中には多いのさ。自分が正義だと思い上がってる連中──〝正義だから、いくら間違ったことをやっても許される〟と思ってる奴がな」
「正義だから間違ったことを……?」
「ああ、デマを流したり、誰かを迫害したり、戦争を起こしたり、原爆を落としたり──明らかに間違っているのに、〝正義だから許される〟と思ってる連中がな……」
「いいか、世の中で最も危険な思想は、悪じゃなく、正義だ。悪には罪悪感という歯止めがあるが、正義には歯止めなんかない。だからいくらでも暴走する。過去に起きた戦争やテロや大量虐殺も、多くの場合、それが正義だと信じた連中の暴走が起こしたものだ。そして、今も世界各地でそういうことが起きている」
「『日本の性教育は、初めに性行為・強姦の方法を学ぶ』『日本人の母親は、中学生の息子が成績を落とさないためにフェラチオをする』『日本人女性の55%は、初対面の男性と一緒に寝る』『日本人の6割は、コンドームを他の動物に乱用する』こんなデマはどこから出てきたの」
「毎日新聞のニュースサイトの記事だな。リンク先もちゃんとしてる」
「こんな事、新聞が書いてたんですか?」
「最近の話だぞ。知らないのか。しかもこの記事訂正はされてないからな」
「毎日新聞がなんでこんな報道をしたんですか」
「それがさっぱりわからない。しかもなぜこんな報道を長いこと続けたのか、なんで抗議されてもこんな記事を流し続けたのか、なんでひとつひとつの記事に事実と違うという訂正を行わないのかさっぱりわからないんだよ」
「例えば僕が犯罪を犯したという間違った報道がされたとする。それに対して犯罪を犯したという報道は間違いでしたという訂正がされればデマを抑えることができるんだ。だけど、犯罪を犯したという記事を削除しただけではデマを抑えることはできない。毎日新聞はそう報道してたじゃんと言われ続けるわけだからね」
「だから訂正記事を絶対に出さなきゃいけないのに、デマを放置したままなんだよ」
「『日本人の母親は中学生の息子が成績を落とさないためにフェラチオをする』『日本のファストフード店では女子高生が性的狂乱状態になる』『日本の女子高生は刺激のためにノーブラノーパンになる』なんて毎日新聞が言ってたら日本人なら怒るし抗議するだろ。だけど毎日新聞は日本人の抗議の熱が高まった頃、『毎日新聞は名誉を毀損したら法的措置をとる方針だ』と抗議活動を脅したんだ」
「毎日新聞に設置された第三者機関の『ネットの負の側面』『ネット社会の落とし穴』『ネット・アジテーションによる暴動にも似た様相』『匿名ネット社会の暗部がただごとではなくなっている』というネットのせいにする論調も怒りを買ったんだよ」
「でも、どうしてなんでしょうね。日本の負の部分を指摘する人は大勢いるんでしょう?それで充分じゃないですか。なぜわざわざ、誰かの発言を捏造しなくちゃいけないんですか?ジャーナリストが」
「そういう奴が世の中には多いのさ。自分が正義だと思い上がってる連中──〝正義だから、いくら間違ったことをやっても許される〟と思ってる連中がな」
「正義だから間違ったことを……?」
「ああ、デマを流したり、誰かを迫害したり、戦争を起こしたり、原爆を落としたり──明らかに間違っているのに、〝正義だから許される〟と思ってる連中がな……」
「いいか、世の中で最も危険な思想は、悪じゃなく、正義だ。悪には罪悪感という歯止めがあるが、正義には歯止めなんかない。だからいくらでも暴走する。過去に起きた戦争やテロや大量虐殺も、多くの場合、それが正義だと信じた連中の暴走が起こしたものだ。そして、今も世界各地でそういうことが起きている」
「それで結局どうなったんですかこの事件は」
「あまりにひどい報道とその対処に数万人のデモが起こったけど、ほとんどのマスコミが無視を決め込んだんだ。ジャーナリストによるデマに対する抗議が自分達に飛び火したら困るからね。しかもそのデモを仕切った人達が、関係のない民族差別発言を繰り返したからまともな人間は即離れていって沈静化した。日本人に対するデマ報道に対するデモであって、ヘイトスピーチをしたいわけじゃなかったからね」
「なんでそんな人達が出てきたの?」
「さっきのベトナム戦争だって南ベトナムを軍事統一しようとした北共産勢力が、南ベトナム政府に対して抗議したい南ベトナムの一般市民の集まりを少しずつ乗っ取っていったわけだし、例えば成田空港問題も、最初はそこの農民を無一文で追い出そうとした政府批判から始まるけど、共産勢力がそれを少しずつ乗っ取っていって武力闘争を始めただろ。それと一緒で大勢のデモ参加者を民族差別発言をするような奴らが利用しようとしたんだ」
「そういう乗っ取り活動家にまともな人間はついていかないんだよ。過去に散々ジャーナリストに騙されてきたから耐性が出来てるんだよ。だから毎日新聞のあの程度の謝罪でとりあえずは収まったんだ」
「ジャーナリストはイデオロギーのために真実から目をそらす事もあるけど、ネット社会は誰かが必ずおかしいことを指摘する。もしネットがなかったらあのまま毎日新聞はデマを報道し続けたかもしれないし、それに対するデモが差別運動家に支配されようとしたこともネットがなければ知りえなかったかもしれない。ネットは左右どちらに対しても抑止力になってるんだよ」
「中指立てたり死ねといってプラカード掲げたり、子供を泣かすような活動してる連中には左右どちらだろうがそもそも近づきたくないんだよ」
「ネットのデマやヘイトスピーチが許されるわけはない。これは誰に対しても同じだ。なのにこっちのヘイトスピーチやデマは許されてこっちのヘイトスピーチやデマは許されないなんていうやつがいたら絶対に信じちゃいけない。誰に対してもどのような理由があろうと許されるわけがないんだ」
「腹が立ってるならそのことを表明すればいい。大使館なり法務省なり外務省なり新聞社なりにデモをすればいい。だけど米兵の子供なり朝鮮学校の子供なりにその怒りを叩きつけるのは間違ってるだろ」
「表現の自由は守られるべきだ。だからヘイトスピーチを行いそうだからといって発言を規制するのは間違ってる。何がヘイトスピーチで何がそうでないかはみんなで考えるべきなんだ。ジャーナリストが勝手に規制対象を決めるんじゃなくてね」
「それだとヘイトスピーチによって傷つく人はなくならないんじゃないの」
「だからこそヘイトスピーチをしたことによる罰則は絶対に必要なんだよ。だけど何をもってしてヘイトスピーチと判断したのかについては絶対に公にならなきゃいけない。デモをやる前にヘイトスピーチをしそうだからなんて理由でデモを潰すなんてどう考えても言論の自由に反する」
「ある問題について、反対する人たちに向けられる言葉はヘイトスピーチで賛成する人たちに向けられる言葉はヘイトスピーチではないなんて言ったら言論統制以外の何者でもないだろ」
「悪山のツイートにも自分の発言がヘイトスピーチじゃない理由が書いてあるだろ。マイノリティではない人達に言ってるからヘイトスピーチじゃないとか、レイシストは変更可能な属性でレイシストでなくなればいいのだから死ねと言ってもヘイトスピーチじゃないとか。変更可能か不可能か、マイノリティかどうか、そんな事関係ないんだよ。こういう屁理屈こねて自分は何をやってもいいけど他人はだめだという選民思想が、結局ある種の特権のように見えていってさらに差別を生む社会にしてるんだよ」
「政治的な判断でそういう人間を守るための法律にしてある事は致し方ない。だけど、じゃあ法律で守られている範囲ではない例えばアメリカ人に対しては死ねと言ってもいいんだと考えて、街中で死ねと繰り返す人間が正常な思考の持ち主に見えるか?普通の人間からはヘイトスピーチの定義にあてはまるかどうかなんて関係なく死ねと言ってるようなやつらはどっちも頭のおかしい連中と見られてるんだよ」
「大阪のある政治家に対して部落出身だと報道した事があったけど、あれなんて狂気の沙汰で差別の極地なのに、もっとやれと煽るようなやつらが同じ口でヘイトスピーチを批判するなんておかしな話だろ」
「そういうやつらだから批判されてるのに、自分達はヘイトスピーチの被害者だといってるから更に批判されるんだよ」
「きわめて単純なんだよ、誰に対してもヘイトスピーチなんかするなって話なんだから。片方が良くて片方が悪いなんて問題じゃない。両方おかしいんだよ」
「ヘイトスピーチを許されてる方は、気に入らない意見を全てヘイトスピーチだとしちまうことになるしな」
「でも、どうしてなんでしょうね。ヘイトスピーチを嫌悪してる人なんて大勢いるんでしょう?それで充分じゃないですか。なぜわざわざ、ヘイトスピーチしてもいい人なんて作り出さなきゃいけないんですか?ジャーナリストが」
「そういう奴が世の中には多いのさ。自分が正義だと思い上がってる連中──〝正義だから、いくら間違ったことをやっても許される〟と思ってる奴がな」
「正義だから間違ったことを……?」
「ああ、デマを流したり、誰かを迫害したり、戦争を起こしたり、原爆を落としたり──明らかに間違っているのに、〝正義だから許される〟と思ってる連中がな……」
「いいか、世の中で最も危険な思想は、悪じゃなく、正義だ。悪には罪悪感という歯止めがあるが、正義には歯止めなんかない。だからいくらでも暴走する。過去に起きた戦争やテロや大量虐殺も、多くの場合、それが正義だと信じた連中の暴走が起こしたものだ。そして、今も世界各地でそういうことが起きている」
「『日本兵は朝鮮人少女20万人を強制連行し性奴隷にしていた』なんてツイートも、これ新聞が訂正しただろ」
「まあ、訂正っていっても本質はかわってないと主張してるしな」
「その慰安婦問題もそうだな。日本兵がお金を払って売春婦とセックスしていたという事実は今の価値観からすれば間違いかもしれない。だけど、日本兵が韓国にいって女性を奴隷狩りしていたとか、小学生の女子挺身隊を性奴隷にしていたなんて作り話をしてどうなる?新たな差別を生むだけだろ。ジャーナリストの性質の悪いところは、それが事実じゃなく作り話だとわかってやってることなんだ」
「例えばこれが韓国人のためにやっているというならまだ理解できる。だけど挺身隊として普通に工場で働いてただけなのに売春婦扱いされた韓国人はどうなる?歴史の生き証人の彼女達の話はどうなった?挺身隊だと名乗り出ることも真実を語ることも出来ないんだよ、イデオロギーのためにこんなデマをジャーナリストが流したせいで」
「慰安婦扱いされるから歴史の真実が語れない元挺身隊の韓国人女性がいることを知りながら、イデオロギーのためにジャーナリストがデマを放置したことはジャーナリズムか。挺身隊として日本に渡ったことを同級生は知っているから、慰安婦だというデマが払拭されない限り帰郷しても同級生に会うことが出来ないと訴える韓国人女性がいることを知りながら、ジャーナリストがイデオロギーのためにデマを放置し続けたことはジャーナリズムか。韓国人女性にそのことを謝ったことを僕は知らない」
「南京での虐殺も朝鮮半島の植民地化も日本の負の歴史だ。だけど、ジャーナリストがイデオロギーのために話を盛ってやってもいないデマを流し続けて、そのデマを批判した人間を右翼扱いして非難し続けた長い歴史がある。日本が行った蛮行は他の国がやったこととはまったく違うホロコーストだとね。他の国がやってる程度の戦争犯罪なのに。だから『こんなにデマばっかりの話信じるの?』という理屈で南京虐殺はなかったという人が生まれてしまうのは当然なんだ。そんだけ大量のデマで話を盛ったんだから。でもそれはネットのせいでもウヨクのせいでもない」
「でも、どうしてなんでしょうね。南京での虐殺を指摘する人は大勢いるんでしょう?それで充分じゃないですか。なぜわざわざ、誰かの発言を捏造しなくちゃいけないんですか?ジャーナリストが」
「そういう奴が世の中には多いのさ。自分が正義だと思い上がってる連中──〝正義だから、いくら間違ったことをやっても許される〟と思ってる連中がな」
「正義だから間違ったことを……?」
「ああ、デマを流したり、誰かを迫害したり、戦争を起こしたり、原爆を落としたり──明らかに間違っているのに、〝正義だから許される〟と思ってる連中がな……」
「いいか、世の中で最も危険な思想は、悪じゃなく、正義だ。悪には罪悪感という歯止めがあるが、正義には歯止めなんかない。だからいくらでも暴走する。過去に起きた戦争やテロや大量虐殺も、多くの場合、それが正義だと信じた連中の暴走が起こしたものだ。そして、今も世界各地でそういうことが起きている」
「中国、韓国との歴史問題にはデマで話を盛るジャーナリストがいるんだ。しかもデマだとわかっててやってるから性質が悪い。デマだとばれた後に『問題の本質はそこじゃない』という台詞まで必ず用意している」
「日中韓の友好なんてジャーナリストはまったく望んでないんだよ。問題を焚きつけてその問題を報道することがジャーナリストの仕事なんだから」
「ベトナム戦争では数々の虐殺が行われて、映像で次々と報道される時代になった。そこで気がつくんだよ。あれほど第二次世界大戦で日本人の蛮行を非難してたアメリカ人や韓国人が何で急にベトナムで虐殺を始めたんだとね。おかしいんじゃないのかと。しばらくしたら北も南も両陣営虐殺してんじゃないかとわかってくる。世界に目を向けたら世界中虐殺ばっかりだ。戦争なんてみんな虐殺しまくりじゃんと」
「なのに日本はデマで話を盛られてやってもいないことまで永久に謝罪し続けるってどうなのよ、そう考えるのもしょうがないだろ」
「そうなると、デマで話を盛ったやつらにとっては都合が悪くなるわけだ。だから、そういうデマをきちんと指摘する人や日本のいいところを発信する人を、朝鮮人に対して人種差別発言する奴ら、日本人は虐殺なんかした事ないというデマを流す奴らなんかと一緒のカテゴリーにいれてレッテルを貼り差別し始めたんだ」
「毎日新聞デモなんて、そういう人種差別主義者がデモの本質と関係ないことやってるからこそ、あれだけ多くの人が毎日批判してたにも関わらず廃れていっただろ。ああいう人種差別主義者と一緒にされるのは嫌だからこそ声をあげた多くの人達は人種差別主義者ときちんと距離を置いて一緒に行動しなかったんだよ。なのに自分らジャーナリスト自身が批判された事を棚に上げて、批判した人間を一括りにネトウヨの人種差別主義者としたあげく正義を振りかざすなんておかしいだろ」
「人種差別主義者が歴史問題のデマを指摘してるからといって、歴史問題のデマを指摘する人間が人種差別主義者ではない。韓国人が事件を起こした例をあげて、すべての事件を韓国人のせいにするのと一緒だ。全然別の話だとわかってるくせにわざとあえて意図的に両者を結び付けるような奴がいくらでもいるんだ」
「いいか、そんなやつらのデマに腹をたてて、差別主義者になる必要なんてないんだ。どんなに正しいことを言っているようでも、死ねといって中指立てるような奴らに付き合う必要なんかない」
「話し合いで解決するべきだと言ってるやつが、気に入らない法案を廃案にする為に国会封鎖をツイッターで呼びかけるなんておかしいだろ。牛歩や会議室封鎖、道路に寝転んで移動させないようにして話し合いの場に行かせないようにするなんて物理的な妨害手段を話し合いとは呼ばないんだよ」
「特定機密保護法が気に入らないなら、ちゃんと今まで公開されていた情報で今は公開されなくなった情報の例をきちんとあげれば済む話なんだ。那覇港の対潜水艦センターの図面の公開が最高裁で認められた時代もあったんだと。逆にその情報公開に反対なら最高裁判事罷免も出来る。右も左も物理的な手段なんかとる必要もないし憶測のデマを流す必要もない」
「じゃあ、今度のビブリオバトルはどうするの?」
「もちろんやるさ、僕らはビブリオバトルをやる。相手のヘイトスピーチなんか気にする必要なんかない」
ここで始めて聖さんが口を開きます。
「今までネットにも書いたことはないが、ワールドカップが日本で開催される数年前、日韓のカトリックの学生たちの交流があったんだ。そこではまず秀吉の朝鮮出兵の歴史を教えられた。そして、日本は人類史上最も過酷な植民地支配で韓国人を奴隷にした歴史を教えられ、現在も広島の韓国人被爆者慰霊碑を平和公園外に設置する差別を行っている事を教えられ、日本は一切謝罪も賠償もしていないと教えられた。そして、そうした歴史と差別を日韓で共有し謝罪することこそが日韓の学生の交流なんだと教えられた。韓国修学旅行の土下座話を都市伝説だと思っている人もいる。確かに僕もその話が真実かどうかは知らないが、僕は実際にそういう事を経験した人間なんだ。学生というのは無力でね、明らかにおかしいと思うことでも〝それは右翼の陰謀論だ〟の一言で意見が潰されてしまう。そうした日韓交流が憎しみを生んでいったんだよ。韓国人に対してじゃない。そういうイデオロギーをもった交流事業に対してだ。だから僕はジャーナリストになった。そうした憎しみが生まれないようにね。
僕はみんながどうしようと口出しをするつもりはない。大人は常に学生を自分のイデオロギーのために利用しようと考えてしまうものだ。
中学の生徒会役員だった頃、何も知らされずに子供が何百人と集まる集会に連れ出された事があった。なんの集会かすらも覚えていない。偉い演説のあと、ただ、賛成者は拍手してくださいと言われて引率の大人たちが拍手して賛成者多数で何かが可決したことだけは覚えてる。それでは賛成多数をもって可決するってなんだ?反対者の拍手のほうが大きいかもしれないのにそれを聞くことすらないっておかしいだろ。それがどれだけおかしくて反対だと表明したくても絶対に出来ない。そんな集会が子供達主催で行なわれたことになってて、会議で賛成多数で可決されたと報道された経験あるだろ?
高校の生徒会でも警察主催の集会があってディベートをやらされることになったんだ。だけどそのディベートには何の意味もなかった。勝つほうが最初から決まってるんだ。警察は、ディベートの中味一切関係ない話をして勝手に勝敗を下した。だったら最初からディベートなんてする必要なんてないだろ。高校生の自主的な運営という名目だけがほしかっただけだ。
子供を使って何かを訴えようとしてる奴らを信じるなとは言わないが、疑ってみる必要はある。ただし、子供を叩いちゃいけない。子供は大人に利用されてるだけなんだから。だから僕も今回の件は君達が何をどうしようと何も言わないが、ジャーナリストとしてこのビブリオバトルを全てをありのままに伝える。君達がなにをしたとしても隠さずありのままに。それだけは覚えておいてほしい」
会議は終了しました。
ビブリオバトルはどうなるのでしょう。
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