[ジュネーブ/北京 22日 ロイター] - 国連人権理事会は22日、中国の人権状況について協議する会合を開き、欧米諸国の代表は、習近平体制下での活動家の拘束、インターネット利用の制限、少数民族の抑圧などを指摘し、中国を非難した。
中国はこれに反論し、意見は激しく対立した。国連機関による中国の人権状況に関する正式な調査が行われたのは、習体制発足後初めて。
スイスのジュネーブで開かれた会合では、米国のゼヤ国務次官補代行(民主主義・人権担当)が、中国政府は人権活動家と関係者への嫌がらせや監禁、逮捕をやめるべきと主張。「われわれは中国が集会、結社、宗教、表現の自由を抑圧し、活動家への嫌がらせ、監禁、処罰を行い、活動家の家族や友人も標的とし、少数民族の人権を侵害する政策を実施している状況を懸念している」と述べた。
一方、中国政府代表団を率いる呉海龍特使は、他国との協議について「率直で、協力的なものだった」と発言。ただ、中国に対する非難の一部は「誤解と偏見に基づいている」と語った。
呉特使は、中国の少数民族は公平に扱われていると主張。また、当局の優先課題は貧困の削減だとし、「1億人近い国民が貧困にあえいでいる。食料や衣類さえ足りていない国民もいる。飢えた民衆は怒れる民衆、という言葉もある。われわれが貧困者に食料を与えられなければ、大きな問題が起こる」と語った。
会合が始まる数時間前には、中国のチベット支配に抗議する活動家が国連欧州本部の建物に上り、「中国はチベットの人権を侵害している。国連はチベットを擁護すべき」と書かれた旗を掲げた。国連の警備員によってデンマークと英国から来た活動家4人が拘束されたが、チベット独立を支援する組織「自由チベット学生運動」の広報担当者によると、4人は起訴されておらず、母国に戻る予定という。
中国外務省の華春瑩報道官は、中国政府は相互尊重の精神に基づくかぎり、他国と人権問題に取り組む用意はあると表明。ただ、チベット支配への抗議活動については「偏った悪意のある批判には断固反論する」と述べた。
人権団体は今回の会合での中国側の態度に落胆している。「ヒューマン・ライツ・イン・チャイナ」のシャロン・ホム代表は記者会見で、「(中国政府代表団に)批判を受け入れる様子は見られなかったと思う」と述べた。
中国政府代表団は、国連人権理事会の勧告のどの部分を受け入れ、どの部分を拒否するかを25日に表明する。
国連人権理事会は4年ごとに全加盟国の人権の状況を審査しており、拘束力は持たない。選挙で選ばれた理事国47カ国で構成される。中国は現在理事国ではないが、11月初めに理事国に立候補するとみられている。
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