はじめに
テトラサイクリン系の抗生物質を6歳ころまでに飲むと、歯に着色することがあります。この着色は歯の内部の象牙質に着色するため、通常のホワイトニングなどでは簡単に白くすることができません。お薬の種類や飲んだ期間、時期によって、着色の場所や程度が変わってきます。
この知恵ノートでは、テトラサイクリン歯を白くする方法をご紹介します。
1.ウォーキングブリーチ
抗生物質で変色した歯の神経を取った後、歯の中にホワイトニング剤を入れて、一週間くらいかけて白くする方法です。変色度合いによって、数回行います。ただ神経がある歯の場合、健康な歯の神経を取らなければなりません。
注意
- ウォーキングブリーチは歯の根や歯の周りの骨を溶かす危険性があり、現在ではあまり行われていません。
2.ホワイトニング
薄黄色の場合はホワイトニングで白くすることができます。歯に縞がある場合は縞の部分が白くなりにくいため、一時的に目立ちますが、ホワイトニングを続けて行うことで、ほとんど目立たなくなってきます。
ポイント
- 縞やグラデーションがなく、均一に着色している場合は、ブライトスマイルなど効果の高いオフィスホワイトニングで白くすることができる場合があります。
※下の写真は、テトラサイクリン歯をブライトスマイル2で1回で白くした例です。
グレー系や濃いオレンジではその色が薄くなる程度で、均一には白くなりにくい傾向にあります。特に歯の根元の色や縞模様はほとんど変わらない場合があります。こういった場合には、オフィスホワイトニング(プラズマ、レーザー、ハロゲンなど)よりホームホワイトニングで長時間、長期間のホワイトニングを行うことで、ある程度改善することができます。また着色が強い場合には、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを組み合わせて行う方法(デュアルホワイトニング)が効果があります。
3.マニキュア
縞やグラデーションがある歯、根元の色が濃い歯は、ホワイトニングではきれいにできない場合があります。マニキュアは、歯を削らずに樹脂を塗って固めることにより、下の歯の色を遮断して確実に白くすることができます。ただし厚みが出てしまう欠点もあります。費用は短期間のもので1本数千円、数年もつもので1本1万円前後です。技術の差が出やすく、一部の審美歯科でのみ行われています。
4.歯のスカルプチャー
歯を削らずに歯の型を採って、技工所で極薄のスカルプチャーを作製してもらい、歯に貼るいわゆる歯の付け爪です。材質は硬質樹脂とセラミックがあります。ある程度の凸凹は改善することができ、歯も真っ白にすることができます。通常2回で完了します。
費用は1本あたり樹脂製で3万~5万円、セラミックで3万~10万円です。
注意
- マニキュアやスカルプチャーを完全に外す場合、樹脂製は専用の器具で歯を削らずに外すことができますが、セラミック製のスカルプチャーは外す際に若干歯が削れてしまいます。
5.ダイレクトボンディング
歯の表面を薄く削って、そこに硬質樹脂を盛り付けて固めていく方法です。マニキュア同様、技術の差が出やすく、日本では一部の審美歯科でのみ扱っています。費用は1本5~10万円程度かかります。
6.ラミネートベニア
歯を削ってセラミックをかぶせたり、ラミネートベニアを貼り付けることで確実に白くすることができますが、歯を削らなければならないことと、1本当たり10~20万円前後と、かなり高額になります。方法は一般的で多くの審美歯科で扱っています。
以前はテトラサイクリン歯を白くするには、神経を取ったり歯を削ったりしなければなりませんでした。最近では歯を削らずに白くできる方法も開発されています。生まれつき歯の色が悪いとあきらめていた方、ぜひ上記の方法を試してみてください。