2017年06月05日更新

2017年のタイ人ボクサーの戦績は2勝80敗!?どうしてそんなことが起きるのかボクシングマニアに聞いてみました。

ムエタイのイメージで言うとタイ人のファイターといえば強い印象がありますが、ボクシングにおいては全くそうではないようです。2017年の日本ボクシングにおけるタイ人の戦績はなんと2勝80敗。なぜこんなことになるのかインタビューしてみました。

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タイ人ボクサーの勝率は約2.4%!

本日もいつものようにTwitterを巡回して格闘技ネタがないかと探していたら、このような興味深いツイートが見つかりました。

何と6月4日時点で2017年のタイ人ボクサーの日本での戦績は2勝80敗、勝率にすると約2.4%という信じられない数字になっているそうです。

タイ人選手というと、ムエタイでメチャメチャ強いイメージがありますが、ボクシングにおいてはそうではなく、日本に来る選手のほとんどが無気力で小遣い稼ぎのためなんだとか。

時折「日本ボクシングコミッションが○○を招聘禁止リストに加えた」といったニュースを見ますが、なぜタイ人ボクサーがこんな状況になっているのか、ボクシングに明るくないクイール編集部が、知り合いのボクシングマニアにインタビューしてみました。

インタビューはこちら

ー そもそもどうしてタイ人がこれほど呼ばれるのでしょうか

まずタイ人はファイトマネーが安いんです。それでも物価の違いでタイ人にとっては十分なファイトマネーで、日本からすれば安いお金で呼べる。ウィンウィンの関係なんですよ。

それとマッチメークが容易で、興行のカードを稼げるという理由もあります。

ー 試合数を増やさなければ行けない事情は何なのでしょうか

日本のボクシングはジムが自主興行として行うシステムなので、あまり費用をかけないように、一つの興行で多くの試合を組みたいというのが主な理由だと思います。

ー 外国人だと手売りができずにチケットの販売で苦労しそうですが、それでもどうしてタイ人が呼ばれるのでしょう

日本人選手の試合が組みづらいという傾向が一部ではあると思います。自分のジムの選手に負けを付けないようにプロテクトしたがるところも一定数あるでしょうし。

例えば8回戦でシビアな潰し合いが起きたりすると、ボクシングファンの間で注目されるんですが、それだけ普段から厳しい試合が組まれていないという裏返しなのかもしれません。

ー タイ以外の物価が安そうなフィリピンなどはどうなんでしょう

フィリピンのボクサーは純粋に強いんですよ。タイトル絡みとか世界前哨戦の腕試し的な試合で組まれることはありますが。

ー ムエタイの感覚からするとタイは強そうなのに、どうしてボクシングだと弱いのでしょうか

全員が弱いわけではなくて、日本に来る選手は弱い選手がほとんどだということです。

そもそも普段はタクシーのドライバーとかやってて、体がゆるいまま試合をする選手も多いですし。

ー 戦績をサバ読みして試合をさせると聞いたことがありますが、boxrecでバレるのでは?

タイのボクシング協会は選手個人の試合を把握していないことが多くて、選手の自己申告の数字が反映されることがほとんどなんですよ。

実際どうなってるか気になって調べたことがあったんですが、boxrecではデビュー戦なのにタイのラジャダムナン(※ムエタイではない)のランキングに乗っている選手もいました。つまりboxrecでもタイのボクサーは把握できていないんです。

ー boxrecですら追えていないとは!

というよりもタイだけなのかもしれませんね。

だからタイ人の強さを把握するには実際の映像を見るしかないんですよ。

ー そういえばラジャダムナンはムエタイだけじゃなかったんですね

タイだとラジャダムナンしかボクシングランキングを作ってないんですよ。

だから日本に「タイランキング1位」といった肩書きで来る人多いですけど、それは厳密に言うと「ラジャダムナン ボクシングランキング1位」ということになります。

ちなみに無気力な試合をする選手だけじゃなくて、中には頑張って試合をして、日本とのパイプを作ってお得意様みたいになる選手もいます。

ー そういえばムエタイ上がりの選手は多いんですか

んー、まあ選手によりますけど、ムエタイをやってから転向するボクサーが多いですね。

ムエタイでの実績の差はあって、サーマートみたいにムエタイで4階級制覇してから転向することもあれば、この前ロマゴンに勝ったシーサケットみたいに鳴かず飛ばずのままボクシングに来た選手もいますし。

ー 無気力のタイ人というとどのくらい無気力なんでしょう

無気力系だとちょっといいパンチ入るとすぐ膝ついちゃいますね。

ー ええ…逆に粘り強いタイ人はいるんですか

まあ、いないですね(笑)
長期戦はしたくない人ばかりで、頑張る選手でも1・2Rから飛ばして一気に失速というパターンが多いです。

ー 元ツイートの「豪腕」さんによると『2階級下の選手で』とか『パンチのない選手を希望』といった注文があるそうですが、これは本当なんですか

あるかもしれないですね(笑)

ジムからすれば呆気なく負ける選手が来て欲しいこともあれば、負けてほしいけどそれなりに試合が成立するレベルの選手、といった注文もあるのかもしれないです。はじめの一歩でいう「マルコム・ゲドー」みたいな演技派を求めるとか。

ー 最後にタイ人ボクサーが招聘禁止になることについて聞きたいのですが、どういう基準なんでしょう

JBCが実力不足や無気力試合と判定すると招聘禁止リストに入れられるんです。主にインドネシアとかタイのボクサーですね。あとはウエイトオーバーを繰り返しても入れられます。

ー 招聘禁止の一覧とか見れたりするんでしょうか

ああ、ありますよ。このURLとか。名前に「シットサイトーン」が入っている率が高いですね。

ー これ実力不足とかハッキリ書かれてて面白いですね(笑) まさかこんなことになっているとは

しかも今年タイしかいないですね(笑)

海外の有力ボクサーだと若い頃からハイペースで試合をこなしてステップアップすることが多くて、普段は格下の選手、時折実力の近い選手、といった形で試合ごとにテーマを定めてキャリアを構成していくんです。

ただ日本だとそこまで競技環境が整っていないから、こういったタイ人選手と試合させて泊を付けてから、ぶっつけ本番のような形で日本タイトルや世界タイトルに臨むこともたまにあります。

やっぱり日本だと頻繁に興行を打てないという事情もあると思います。最近だとアマチュアエリートが大きなジムと契約を結んで、10試合そこそこですぐに世界戦に挑むというほうが、じっくり育てるよりも良いという風潮もありますね。

最後に

タイ人ボクサーにまつわるインタビューをしてみましたが、いかがだったでしょうか。

競技ジャンルに関わらず面白いトピックを取り上げたいとは思っているので、これからはこの知人のボクシングマニアに多く登場してもらうかもしれません(笑)

それではまた次回のインタビューにご期待下さい!

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