それにつけてもおやつのカール「買えない」
SNSに悲痛な投稿 さて東日本撤退の経営判断は??
売れ行き不振で東日本からまもなく姿を消す明治のスナック菓子「カール」が今、大変なことになっている。店の棚に商品を置けば客が殺到。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上には「買えない」と悲痛な投稿があふれ、明治は一時的に生産を増強している。「おやつはカール」、それにつけても、東日本撤退という同社の経営判断は正しかったのか--。
東京都内で4店舗を展開するスーパー「アキダイ」関町本店(練馬区)は、東日本での販売終了が報じられた5月25日以降、カールが品薄に。先週半ばに30袋だけ入荷したが、「カール、入りましたよ」と声をかけながら陳列すると買い物客が押しかけ、10分ほどで売り切れた。
買い求める客は40~50代。カールは1968年に発売された日本初のスナック菓子で、この世代が子供のころ大人気だった。社長の秋葉弘道さん(48)もその一人で、「いつ入るかもわからない」と寂しげだ。来店した40代主婦も「子供のころはよく食べました。見つけたら買います」。
カールの年間売上高は90年代のピーク時(190億円)の3分の1程度に低迷。近年は主要コンビニエンスストアも扱っていない。明治は9月以降、全国5工場のうち四国の1工場を動かし、販売は配送可能な西日本に限定するという。
ところが「消える」となって人気に火が付いた。中堅スーパー、サミットは関東各店に1日10~20袋を補充するが、「すぐに売れてしまう」(広報)。西友も同様で、別の商品で空いたスペースを埋めている。西友のネットスーパーでも「売り切れました」などと表示され、注文できなくなっている。
ツイッターにはキャラクター「カールおじさん」や売り切れの商品棚、手に入れた貴重な1袋など写真が各地で続々アップされ、中には「なくなると生きていけない」という投稿も……。明治の広報担当者は「8月まで生産するので待ってほしい」と呼びかける。
東日本で販売をやめるという判断、早計ではないのか。広報担当者はきっぱり言った。「お客様の反応はありがたいが、撤退の方針は変わりません」【竹地広憲、今村茜】