アフリカではかなりの頻度で「ツクツク詐欺」というものに遭います。
その中から1つ私のエピソードをお話しします。
アフリカ税金納付の旅道中記
以前ですね、アフリカのルワンダで、税金の支払いをしに銀行に行きました。
しかし、税金の支払いは特別な「RRA窓口」に行けと指示されました。
それはどこかと聞いたら
「There」
とか言ってね、方角しか示さないんです。
Thereじゃねぇよ。分かるわけねぇだろ。
こっちの人の道案内っていつもこんなんです。
しかもその方向が正しい確率は60%くらいね。
ドラえもんの欠陥商品「尋ね人ステッキ」だって70%は当たりますよ。
とりあえず、受付の人に聞くと、銀行を出て歩いて4分のところらしい。
ただ誰も正確な場所が分からない。
受付はドラクエのように、「There」しか言えないようプログラミングされている。
いくら探しても見つからないんです。
そんな時でした。優しそうなおじさんが声をかけてきたのです。
「どこに行きたいんだい?」
「Bank of RwandaのRRA窓口に行きたいんです。歩いて4分くらいらしいのですが。」
「それはすぐ近くだ。付いてきなさい。」
もうね、抱かれても良いくらいのジェントルマン。
ここですよね、ルワンダはたまにこういうジェントルマンがいるからいい国なんです。
ただ気をつけてください。
これケニアとか別の国で知らない人に付いて行ったらヤバいパターンです。
素人は絶対ついていかないでくださいね。
もちろん安全な国ルワンダだからといっても、むやみについていってはダメです。
私くらいアフリカ経験があると、少し話しただけで相手が信頼足りうるのかが判断できますが、素人には難しいでしょう。
談笑しながら歩き、だいたい5分が経過したでしょうか。
ん?歩いて3~4分だったような?まぁ、誤差の範囲内か。
と気にせず歩くことに。
話しているとね、これがまた志の高い方で、マネージャーらしいんです。
そのまま歩き続け約10分経過。
ちょっと異変を感じ始める私。
私「いつまで歩くの?こんなに歩くわけはないと思うのだけど。」
ジェントルマン「ごめんごめん、もうでもすぐ着くよ。」
まぁ確かにね、これアフリカあるあるなんですが、こっちの人たちの時間感覚っておかしいんですよ。
5分後に着くと言って本当に5分後に着いたやつなど1人も見たことありません。
日本でも、たまーにいるじゃないですか、あと5分で着くって言って10分~15分くらいかかるやつ。
アフリカですと、ほとんどの人は、5分と言うとそれは20~40分くらいです。
素人はここで心が折れると思うのですが、
こちとらアフリカ玄人ですからね。
問題ないんですよ、これは。
歩くこと40分経過。
さすがにね、怒りがね、止まらないわけですよ。
私「おいおい、歩きすぎだろ!?ハイキングに来たんじゃねぇんだよ、銀行に税金払いに来たんだよ」
ジェントルマン「でももう本当にすぐ着くから!」
私「具体的にあと何分何秒だよ!?正確に!」
ジェントルマン「あと5分だ!」
私「と、何秒!?」
ジェントルマン「10秒だ!」
さすがにね、もうジェントルマンへの疑いが留まることを知らないよね。
しかしですよ、さっき言った通り、アフリカの時間間隔はこんなもんです。
それにあとたった5分10秒です。
ここまで来たら最後頑張るしかないでしょう。
そのあとだよね。
約30分くらい歩いたよね。
合計で1時間ちょっとね。
「さぁ、ここが私の町だ。」
…
は?
え、マジかこいつ。
完全にイカれてる。
もうね、血管ねじ切れるどころか、爆発しそうでしたよ。
たぶんですけどね、もし私ここで記念に自撮りしたらね、
ドラゴンボールのギニュー隊長くらい血管浮き出てたと思うのね。
「おい、で、どこにRRA窓口があんだよ?」
「それは分からないが、この街の銀行にあるとみたね。」
仮にね、私にドラゴンボールのサイヤ人の血が流れているとしてですよ、
スーパーサイヤ人となるきっかけには十分なほどの怒りを覚えたよね。
クリリンの死と同等の怒りを、このジェントルマンに覚えたよね。
しかも、よく看板見てみると、ここニャミランボじゃねぇか!!!
ニャミランボって、ルワンダでも最も治安が悪く、事件多発地域なんです。
俺ね、窓口で税金払いたいだけなんですよ。
なんで1時間以上かけて街を2~3個も超えてルワンダ一の危険地域にいるのか!?
これ税金どころか、あらゆる金目のモノを払うパターン!?
ただね、危険地帯とか知ったこっちゃありません。
私の怒りは収まらないわけですよ。
それでね、ついにキレてしまいました。
「おいふざけんじゃねぇよ!俺は、Bank of KigaliのRRA窓口に行きたいって何度も言ったよな!?おい、言っただろ!?」
「Yes.」
「Yesじゃねぇよ、どこにあんだよ!俺もう疲れて死にそうだよ!」
「え、本当か!?」
「いや、例えだから!もうとにかく歩けねーよ!」
「いーや、お前は歩けるね。」
こいつね、ホントに突っ込みが止まらないほどの超ド天然なんですわ。
あまりに見事な天然ぶりでね、マグロだったら、築地がざわつくレベル。
マグロ野郎「そんなことより私の町まで来たんだ、お金をくれないか?」
私「ダメに決まってんだろ!意味わからないから!」
疲れ果てた私は、もうそのマグロ野郎を完全無視してRRA窓口を探すことに。
結局、案内されたBankにはRRA窓口はありませんでした。
せっかくだからこの危険な街にあるBankを巡りましたよ、3件尋ねました。
その間ずっとついてくるマグロ野郎ね。
ドラクエのパーティかっていうくらい後ろに付いてくるのね。
これドラクエだったら、お前確実にルイーダ行きだから。
ルイーダ行きどころか野に放っているから。
もちろん完全無視です。
そして3件目にね、ついに見つけたんです。RRA窓口を!
いやぁ苦労しましたよ。
税金払うのに2時間かかりました。
マグロ野郎もね、無駄に後ろで喜んでいるんですよ。
その無邪気な姿ったらね、可愛いんですけどね、
もちろん無視です。
後日、悔しいので、元の銀行に行って再度窓口を探してみました。
するとね、徒歩3分の銀行の裏に窓口を発見。
め、めちゃめちゃ近いじゃねぇか。
俺の2時間返せ。
ツクツク詐欺
とにかくですよ、このようにアフリカでは、アポイントメントを取ったときなど、
「今もう着くから」
って言って、そこから1時間かかって来るケースもあれば、
そのまま来ない、つまりドタキャンなんてことも、日常茶飯事です。
これが一部の人や、たまになら良いです。
しかし、かなり多くの場合、この「着く着く詐欺」に遭います。
多くの人がこれに悩まされているのです。
それから、おまけですが、今回の1件で学んだこと。
アフリカで玄人振っちゃダメ。
あと、知らない人に付いていっちゃダメみたいです。
あなたも気をつけてください。
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