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県産品「不安ない」「不安薄らぐ」9割 JA福島中央会 首都圏調査

 JA福島中央会が首都圏の消費者を対象に平成28年に実施した県産食品に関する意識調査で、「震災当初から不安はない」「時間の経過で不安が薄らいだ」との回答は合わせて約9割を占めた。その一方で、実際に購入するかどうかについては「品目によっては買わない」との回答が約2割に上った。中央会は「放射性物質検査の取り組みがまだ十分に理解されていない」と分析し、より分かりやすい情報発信などを県や国に求める。

 意識調査は中央会が27、28年に初めて実施し、26日に両年分を公表した。
 県産食品への不安意識に関する28年の集計結果は【グラフ(1)】の通り。28年調査では「震災当初から不安はない」が58.3%(27年55.6%)で最も多く、「時間の経過で不安が薄らいだ」が31.4%(同32.9%)。「震災当初と変わらず不安」は9.5%(同10.2%)と約1割だった。
 県産食品の購入動向の調査結果は【グラフ(2)】の通り。何らかの動機で「買う」との回答は81.3%(同83.6%)に達した。「品目によっては買わない」は18.7%(同17.5%)だった。
 これらの調査結果をさらに詳しく分析すると、県産食品に対して「震災当初から不安はない」と答えた574人のうち38人(6.6%)、「時間の経過で不安が薄らいだ」とした309人のうち71人(23.0%)の計109人(12.3%)が「品目によっては買わない」と回答した。中央会は、県産食品への不安を感じていなくとも、何らかの理由で購入を控えている消費者層が一定程度存在するとみている。
 「品目によっては買わない」と回答した消費者に県産食品について知りたい情報を複数回答で聞いた結果、「放射性物質検査結果」が72人で最も多く、「(食品衛生法の)基準値に関する分かりやすい情報」63人、「生産段階での放射性物質対策」44人などと続いた。
 県が昨年2月に首都圏、阪神圏、中京圏、北海道、沖縄県の5地域で行った県産農産物に関するアンケートでは、「安心して食べられる」との印象を持つ消費者は51.9%だった。

■販路拡大検討で新組織
 県は30日、県産農林水産物の風評払拭(ふっしょく)と販路拡大に向けた検討組織を県内5JAなどの生産者団体や農林水産省と発足させる。県内外の消費者の意識調査に加え、東京電力福島第一原発事故後の生産現場の実情を踏まえ効果的な施策を探る。
 県は県外の消費者が県産食品を日常的に目にする機会を増やすことで風評払拭(ふっしょく)と消費拡大につながるとみる。このため、今年度から首都圏のスーパーで県産品を扱う販売スペースを常設し新たな顧客確保を目指すほか、オンラインストアでの全国販売に乗り出す。

カテゴリー:福島第一原発事故

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