通信データに悩むすべての人へ!主要Webサービスの軽量版を紹介[YouTube・LINE・Facebook・Skype]
- 栗木彩乃
- 2017年6月5日
- ニュース
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株式会社ベーシック
ferret ライター
前職は千葉県にあるリサイクル関連の企業で法人営業とホームページの管理を担当。中小企業での経験を活かして、現場視点の記事を書いていきます。
Twitter:@kuriki_biz
TwitterやYouTubeなどを操作していると、画面がなかなか動かないといったことはありませんか?
SNSや動画視聴サービスなど、取得するデータの量が多いWebサービスでは通信環境によって動作が遅くなる可能性があります。
遅い動作はストレスにつながるだけでなく、サービス自体を利用しなくなってしまう方もいるでしょう。
そのような事態を減らすため、TwitterやFacebookのような各種サービスではやりとりするデータ量を少なくする軽量版が提供されています。
実は、これらの軽量版はAndroidを中心にして配信されています。その理由をご存知でしょうか?
今回は、軽量版が提供されている背景と各種Webサービスの軽量版をまとめて紹介します。
軽量版が提供される背景には、発展途上国における通信環境が影響しています。
ぜひ各種のサービスの内容だけでなく、提供されている背景まで知り、世界全体のネット環境への理解を深めましょう。
軽量版が提供されている背景
Webサービスを利用している限り、基本的に双方向でのデータのやり取りが発生します。
それが動画の視聴や、音楽データのダウンロードであれば取り扱うデータの量も多くなり、データのやり取りにも時間がかかってしまうでしょう。
そのような状況はユーザーにとってストレスになるだけでなく、通信時間がかかりすぎたことでタイムアウトとなり、サービスの利用自体ができなくなってしまう可能性があります。
そういったユーザーの負担を減らすため、各Webサービスでは一部の機能を制限したり、送信するデータの形式を変えたりといった方法で取り扱うデータ量を減らした軽量版(ライト版)を提供しています。
ここまでの説明を聞くと「今よりもデータ量を減らしたい人が使うものだな」と思われるかもしれません。
ですが、実は通常版の利用が難しく、軽量版がなければサービス自体を利用できないというユーザーがいることをご存知でしょうか。
こちらの世界地図はアメリカに本社をおくAkamai Technologiesが公開している国・地域別の平均接続速度を色分けしたものです。
例えば日本の場合、平均接続速度は20171kbpsなので、1秒あたりに伝送できるデータ量は20171キロビットとなります。
それに対して、西アフリカに位置するマリ共和国では1秒あたり773キロビットほどしか伝送できません。
途切れ途切れになりながらも動画を見られると言われているのが1500kbpsなのでマリ共和国では、動画は見る自体困難でしょう。
アフリカ大陸の他にも、東南アジアや南米のような発展途上国では通信速度が遅く、高速回線を必要とするサービスは利用しづらい状況なのがわかります。
また、こういった地域はデータを利用する際には高額なデータ通信料を払わなければならず、サービスを利用する際のハードルとなっています。
そのため各種Webサービスは世界中の人でも問題なくサービスを利用できるよう、軽量版を提供しているのです。
発展途上国のスマートフォン事情
TwitterやFacebookの軽量版は、Android端末向けのもののみ提供されており、iPhoneには対応していません。
これはアフリカ大陸や東南アジアのような発展途上国において、iPhoneよりもAndroid端末のが多く利用されているためです。
アウンコンサルティング株式会社が2016年3月から2017年2月までに行った調査によると、日本国内におけるスマートフォン向けOSのシェアはiOSが68.9%に対し、Androidは30.1%となっています。
一方、東南アジアに位置するタイではiOSのシェアは20.3%、Androidは78.9%と逆転しているのがわかります。
Apple製のスマートフォンにしか対応していないiOSと比べ、メーカーが独自に開発した利用端末で動作できるAndroidは比較的安価に利用できるのが特徴でしょう。
そのため、発展途上国においてAndroidはiOSよりも広く定着しています。通信速度が低速である発展途上国をメインターゲットにおいている各種サービスの軽量版がAndroid中心なのはこのためでしょう。
参考:
世界40カ国、主要OS・機種シェア状況 【2017年2月】|アウンコンサルティング株式会社
主要なWebサービスの軽量版まとめ
では、実際にどういったWebサービスが軽量版を提供しているのでしょうか。
代表的な5つのサービスについて紹介しましょう。
1.Facebook
https://www.facebook.com/lite/
FacebookLiteはどのようなスペックの端末でもでき、2GBのモバイル回線でも素早く更新できることを目指したAndroid向けアプリです。
ニュースフィード上に表示されるサムネイル画像が低画質になるほか、動画の視聴機能や近くにいるユーザーを探せる「Nearby Friends」機能は搭載されていません。
参考:
Announcing Facebook Lite|Facebooknewsroom
Facebook Liteは新興国向けに最小限の機能を備えたAndroid用Facebookアプリ|TechCrunch
2.Skype
https://www.skype.com/ja/skype-lite/
SkypeLiteはインド向けに開発されたSkypeの軽量版アプリです。
アプリの容量は13MBで、2GBのモバイル回線でも問題なく接続できるよう最適化されています。
また、チャットで利用するテキストがベンガル語、グジャラート語、ヒンディー語、カンナダ語、マラヤーラム語、マラーティー語などインドで用いられている言語にも対応しているのも特徴でしょう。
参考:
Microsoft、インド向け超軽量Androidアプリ「Skype Lite」リリース|ITmediaNEWS
3.Twitter
Twitterでは、基本的な機能はそのままに少ないデータ通信量で利用できるモバイル向けのブラウザを提供しています。
さらに画像や動画をプレビュー画面で表示させるデータ・セーバー・モードを利用すれば、最大で70%ものデータ通信量を削減できます。
参照記事:
データが軽量化されアクセスしやすくなった「Twitter Lite」の使い方を解説
こちらの記事では、TwitterLiteの詳細な仕様と利用方法について解説しています。よかったら合わせてご参照ください。
参考:
Twitter Liteのご紹介|TwitterJapanブログ
4.LINE
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.linecorp.linelite
LINE LiteはLINEの軽量版アプリです。
通常版の1/20時間でインストール可能であり、LINE Liteでアカウントを設定することも、LINEからアカウントを持ち越して利用することもできます。
2015年のリリース段階ではタイムラインやビデオ通話などの一部機能は提供されていません。
参考:
[LINE]LINE Lite Officially Released in 11 Countries|LINE
5.YouTube
YouTubeでは2009年12月、YouTubeの軽量版である「Feather」(ベータ版)のリリースを発表しました。
SNSへの共有機能などの一部の機能が制限されることで通常版よりも少ないデータ通信料で利用が可能です。
こちらの機能はベータ版であり、YouTubeの新しい機能として試用できます。
参考:
Google,YouTubeの軽量版「Feather」を公開|ITPro
Introducing Feather: A Lighter Way to Browse Videos|YouTube
まとめ
FacebookやTwitter、LINEのような各種サービスではAndroid向けに軽量版を提供しています。日本国内ではAndroidよりもiOSの方がシェアが大きく「なぜAndroidだけ?」と疑問に思っていた方もいるでしょう。
これはアフリカや東南アジアなどの発展途上国において、通信環境が先進国ほど整備されておらず軽量版が必要とされているという背景があります。発展途上国ではAndroidの方がシェアが大きく、そのため軽量版はAndroid向けが多いのです。
日本国内で展開している企業にとってはあまり意識しないでしょうが、今後海外展開を見込んでいる場合、各国の通信環境へも理解を深める必要があります。
今回紹介したような各Webサービスの軽量版がどういった内容で提供しているのかを知り、自社が海外展開する際の参考としましょう。