世界最大の「ロケット打ち上げ用飛行機」、MS共同創業者P・アレンが公開
マイクロソフトの共同創業者ポール・アレンが、両翼端117mとなる世界最大の「ロケット打ち上げ用の飛行機」の写真を公開した。飛行機は複数の人工衛星用ロケットを抱えて飛行し、上空から打ち上げる計画だ。
TEXT BY ERIC BERGER
TRANSLATION BY TAKU SATO/GALILEO
ARS TECHNICA(US)
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1/9ストラトローンチ・システムズが開発した世界最大の飛行機。写真が初めて公開された。PHOTOGRAPH COURTEY OF STRATOLAUNCH SYSTEMS CORPORATION
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2/9両翼端は385フィート(約117m)で、史上最長。PHOTOGRAPH COURTEY OF STRATOLAUNCH SYSTEMS CORPORATION
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3/9人が小さく見える。PHOTOGRAPH COURTEY OF STRATOLAUNCH SYSTEMS CORPORATION
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4/9ストラトローンチ・システムズは、マイクロソフトの共同創設者ポール・アレンが2011年に共同設立した。PHOTOGRAPH COURTEY OF STRATOLAUNCH SYSTEMS CORPORATION
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5/9地面から見たところ。PHOTOGRAPH COURTEY OF STRATOLAUNCH SYSTEMS CORPORATION
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6/9ボーイング747-400を改造した飛行機を使ってロケットを打ち上げる計画をすでに明らかにしたヴァージン・オービットなど、小型衛星の打ち上げを目指す他の企業と競争することになる。PHOTOGRAPH COURTEY OF STRATOLAUNCH SYSTEMS CORPORATION
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7/9エンジンは、「ボーイング747」機で使われているプラット・アンド・ホイットニー製のエンジンを6基搭載している。ボーイング747は4機だ。PHOTOGRAPH COURTEY OF STRATOLAUNCH SYSTEMS CORPORATION
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8/9初フライトの時期は明らかになっていない。IMAGE COURTEY OF STRATOLAUNCH SYSTEMS CORPORATION
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9/9打ち上げから帰還までの概念図。IMAGE COURTEY OF STRATOLAUNCH SYSTEMS CORPORATION
マイクロソフトの共同創業者であるポール・アレンが2011年に共同で設立した宇宙航空会社ストラトローンチ・システムズは、立ち上げの当初こそ注目を集めたが、ここ数年は目立った成果を上げていなかった。
だがアレンは2017年5月31日、同社が開発した世界最大の飛行機の写真を初めて公開した。これらの写真を見る限り、同社の事業は順調に進んでいるようだ。
この飛行機の両翼端は385フィート(約117m)。史上最長であり、それまでの世界記録を約20m上回っている。エンジンは、「ボーイング747」機で使われているプラット・アンド・ホイットニー製のエンジンを6基搭載(ボーイング747は4機)。最大重量は130万ポンド(約590t)で、50万ポンド(約227t)の荷物積載が可能だという。
同機は、ロケットを上空まで運んで発射するための再利用可能なシステムとして開発されており、1回のミッションで複数のロケットを、異なる軌道や角度で発射できるようになるという。航続距離は2,000海里(3,704km)となる予定だ。
この飛行機の格納庫があるモハーヴェ空港は、カリフォルニア州のモハーヴェ砂漠にある。その格納庫から同機が屋外に移動されたのは今回が初めてのこと。アレンによれば「燃料テスト」のためだという。このテストは製造工程の最終段階で行うもので、その後は離陸テストや飛行テストに移ることになる。
発射装置の詳細はほとんど明らかになっていないが、アレンが2015年に設立したヴァルカン・エアロスペースは2016年10月、ストラトローンチ・システムズが開発する飛行機に関して、ヴァージニア州ダレスに本拠を置く航空宇宙・防衛企業のオービタルATKと提携している。オービタルはこの飛行機を利用して、人工衛星を打ち上げるロケット「ペガサスXL」を空中発射する計画だ。このロケットは、最大1,000ポンド(約454kg)の小型衛星を低軌道に乗せることができるという。
1953年生まれで現在64歳のアレンは、自ら執筆した自伝『ぼくとビル・ゲイツとマイクロソフト アイデア・マンの軌跡と夢』で述べているように、子どものころからロケットが大好きだった。ロバート・A・ハインラインのSF小説を読み、アポロ計画に夢中になり、「マーキュリー・セヴン」(1959年にNASAによって選抜された7名の宇宙飛行士)の宇宙飛行士の名前をすべて暗記しているほどだったという。
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