「あったらいいな!」から生まれた撮影女子会 成功の秘訣は「迷うならやっちゃおう!」 【株式会社Morning Labo/中村朝紗子さん】

中村朝紗子

学生時代に撮影女子会で起業した中村朝紗子さんは、取材当日も企業への出張撮影女子会の真っ最中。華やかな雰囲気のブースから少し離れた部屋で、起業への経緯や仕事への思いについてじっくりお話をお聞きしました。

普通の女子大生ライフを送りたい!

撮影女子会を思いついたのは女性誌の編集部でバイトしていた時です。実は高校時代に少林寺拳法で全国大会準優勝してしまうくらい部活を本気でやっていたので、大学では普通に女子大生ライフを送りたいな、と思っていたんです。

華やかそうに見えても入ってみるとやっぱり雑務が中心。でも鍛えた体育会根性がそこで発揮されて、ケータリングのカレー20個を持って街を走るのとかもはりきっちゃって(笑)。インタビューや撮影に同行するのが嬉しくて、高校時代に憧れた女の子にはなれなかったけど、女の子たちの考えや生態をリサーチするような仕事に楽しさを覚えるようになっていきました。

そんな時に「ライターになりたい」と言ったら「企画を出してみなよ」と編集さんに言われて。じゃあ今何が流行ってるかな、とか、女の子何がほしいかな、と考えた時に撮影女子会が出てきたんです。

原点は「こんなのあったらいいのに!」

中村朝紗子

3年の頃は女子会に行っても、話題がうわさ話とか愚痴ばっかり。みんなが「わかるー」「だるいよねー」「やめたいー!」ってネガティブに共感する。仮に私が「じゃあやめたら?」って意見すると「いや、そういうことじゃないんだよねー」とはじかれてました。

だんだん自分自身も女子会疲れしてきたし、マンネリ化した空気感はあるなと思っていました。

一方で撮影現場では、プロメイクとプロカメラマンが、もともと美しいモデルさんをさらにキレイに変身させる瞬間にたくさん立ち会いました。でも、ふつうの女の子がそれを体験できるのは、成人式か結婚式か、その前だと七五三ぐらいしかないんです。

ちょうど私たちはプリクラ世代で、写真で友達とコミュニケーションをとってきたんですけど、インカメだと角度の限界や、立ち位置のマウンティングがあったりするし(笑)、可愛い写真が撮れないストレスがあるなと。

その2つを組み合わせて、撮影女子会。女の子たちがプロの力によってキレイになれるって、あったら絶対楽しいのに、世の中にはまだ無いなって。考えているうちに盛り上がってきちゃって、やりたいと強く思うようになっていました。

「やりたい」と言ったら「今でしょ!」

ただ就職もありましたし、まさか学生起業するとはその時に思っていなかったんです。きっかけは…… いつも本当のことを言うと気を使っていただいて記事にならないことが多いんですけど(笑)

当時つきあってた1つ上の方が起業準備をしてたんです。彼に「いつか撮影女子会やりたい」って言ったら、松岡修造並みの熱意で「今でしょ!」と言われて「えー!? 今!?」って。

でもお金も人脈も経験もないし、どうしよう、と。まわりの先輩起業家の方たちに相談する中で、「やってみようかな」と思えたのは、「100年たてば灰になる」という好きな言葉があって。恥ずかしいとか失敗したくないと思ってやらないよりは、どうせ誰もが100年後には平等に死ぬんだから、やるかっ!って覚悟が決まったんです。卒業までは1年あったので、やってダメなら普通に就職をしようと。

怖いもの知らずで、あのブランドにも電話!

中村朝紗子

私のブログを見て、ツイッターで「会いたい」と連絡をくれた子と意気投合して、アイデアを出し合いながら一緒に始めました。最初は何もわかってないんで、ディオールとかシャネルに電話をして「撮影女子会を始めようとしてるものなんですけど」とか言って門前払されてました。100社くらいかけたところで協賛の話なども決まり、1ヶ月後にはリリースしました。

共同創業した友人は1年後、就職という道を選びました。支えてくれた彼ともお別れすることになり、みんなそれぞれの道を選んでいきました。卒業したときは本当にひとりでした。一人暮らしを始めたけれど、最初はもやししか食べれない、そんな時期もありました。

SNSの口コミで「王様のブランチ」に

そこから軌道に乗り始めたのは、卒業してすぐの夏前に「王様のブランチ」で取り上げてもらったことが大きかったですね。認知度が上がったし、予約も増えて、何より問い合わせが来るようになって。

そもそもなんで取り上げてもらうくらい口コミが広がったかというと、お客様が自分が可愛く写った写真をSNSでたくさん上げてくれたからなんです。しかもやらせっぽくなく、サービスがどんなに楽しくて可愛いくなれたかをこと細かいに書いてくれる。宣伝広告費がかけられない時期でしたから…最高にありがたかったんです。

あしたからも頑張ろう!と思えるように

撮影女子会って、表面的に見ると着飾って可愛く撮って「自分好きな子がやってそう」みたいに見られることあるんですよ。でも実は、メイク中に「あ、こんな自分いたんだ」って新しい自分と出会えたり、カメラに映し出された自分の姿に驚いたりする。自分のことを自分で認められてあげられない人にも、自信を届けられるサービスでありたいと思っています。私自身がそうして励まされてきたからです。

満員電車に揺られて上司に怒られてきついけど、自分を認めてあげられると、人にも優しくできたり、明日も頑張ろうと思えたり、自信につながっていく。撮影女子会のコアなコンセプトはそこなんです。

だから、そういう明日につながる、元気いっぱいにスタートできるようなモーニング、朝のエネルギーを届けられる会社にしたいと思って「Morning Labo」という名前にしました。私自身の名前の“朝”にも、そんな思いが込められているんです。

25歳になった今、考えていること

中村朝紗子

社会人2年目には、学生バイトの子が突然ばっくれるような形でやめてしまったこともあったし、人や組織をどう育てるかわからなくて苦労しました。それも乗り越えて今は「フォトジェニック」をキーワードにしたマーケティングで企業とのコラボや自治体とのタイアップも増えてきています。

将来的にはスタジオを持ちたいと思っていて、いま結構物件を探しているんです。自分の城を構えて、いろんな自社のサービスをやっていきたいというのはありますね。

あとやっぱり、撮影女子会自体は「こうしたらいいのに!」という気持ちから生まれてきて、だからこそ共感してもらったので、私がだんだん年を重ねていくとターゲットと離れていくと思うんです。今後は次の若いプロデューサーを育てたり、フォトジェニックマーケティングをしっかりと仕組み化していきたいですね。

10年後の自分が感謝する選択を!

いますごく仕事楽しいです。仕事って人生の中でかなりの時間を占めるので、そこが楽しいかどうかって重要ですよね。自分が工夫したり、好きって思えることで人に幸せを届けられること。それが自分にとっても生きがいにつながるものだと思います。

それに今はgoogle大先生がいるので、請求書とか企画書の作り方とかなんでも教えてもらえる。フォーマットが落ちてるんですよね。だから本当に、やろうと思えばすぐにできる時代なのかなと思います。

仕事やめたいとか転職したいとか迷うことだらけだと思うんですが、感じている違和感を先延ばしにしていいことってないと思います。変えてダメならまた変えればいいし。大丈夫、人生にはいつか終わりがくるので(笑)。だったらやっておいた方がいいと思うんですよね。「10年後の自分が感謝する選択をしよう!」。私はいつもそう思って生きています。

中村朝紗子
プロフィール

中村朝紗子

株式会社Morning Labo代表、撮影女子会ファウンダー&プロデューサー。大学在学中「欲しい女子会がないなら、自分でつくってみよう」と撮影女子会を立ち上げる。現在は撮影女子会の運営、撮影女子会を軸とした空間やイベントの企画・プロデュース、撮影のスタイリングなどを行う。尊敬する先輩起業家は株式会社 OMOYA の猪熊真理子さん。趣味は読書。

撮影女子会 http://satsueijoshikai.com/

株式会社 Morning labo http://morninglabo.com

オフィシャルブログ  http://ameblo.jp/asacoco-12

Instagram   https://www.instagram.com/nakamuraasako/