メンバーの発案で対バン相手となるアーティストを選び、彼女たちが自ら出演オファーをかけるこの企画。2013年に初めて行われて以来、毎回さまざまなラインナップを迎えて各地でライブが繰り広げられてきた。4回目となる今回は、「前夜祭」と銘打たれた6月2日には
「人間大統領」で幕を開けた電気グルーヴのライブは、最新アルバム「TROPICAL LOVE」の収録曲など近年の作品を中心に選曲したセットリストで進行。怒涛の勢いで炸裂するアグレッシブなビートに合わせて、広い会場を埋め尽くす観客のハンドクラップが響き渡る。「プエルトリコのひとりっ子」では途中でピエール瀧が「それでは本日1人目のチャレンジャーを紹介しましょう! 岐阜県から参りました、
なお電気グルーヴのVJを担当するDEVICE GIRLSは、かつてPerfumeのツアーのVJも手がけたことがある映像制作ユニット。この日のライブでは、Perfumeの2011年の東京ドーム公演で「Perfumeの掟」の中で披露された「10人のかしゆか」をモチーフにした、瀧のイラストが踊りながら増殖してフォーメーションを組む「10 People of TAKI」と題したアニメや、「Baby cruising Love」のミュージックビデオ風の背景に「DENKI GROOVE」という電飾文字が流れる映像など、彼らはPerfumeファンに向けたネタを散りばめた、この日ならではのVJでステージを彩った。
全編ノンストップでライブが進行するためMCがない代わりに、卓球は「『レターパックで現金送れ』はすべて詐欺です!」と注意喚起したりと、さまざまな言葉でオーディエンスをアジテート。「Baby's on Fire」では音量を絞って観客にハンドクラップを促しておきながら、「お静かに。大きな赤ちゃんが寝ています」と注意してそれを制した。代表曲の1つ「N.O.」では観客が曲に合わせて手を左右に振り、フロアに一体感が。その後、クールなトラックに乗せてセクシーな女性の声が響く卓球のソロ曲「Love Domination」で会場の空気を変え、電気グルーヴのステージは「UFOholic」で高揚感に満ちたエンディングを迎えた。最後に瀧は「ありがとうございました! お客様、最高ですよ!」と叫び、投げキスをしながらステージを後にした。
Perfumeがこの日の1曲目に選んだのは最新シングル「TOKYO GIRL」。センターステージに現れた3人を囲んで上下から多数のライトが発射され、まるで光でできた水槽の中でPerfumeが踊っているかのような、神々しい演出でライブがスタートした。その後「I still love U」「FLASH」とクールな印象の曲が続くが、「Magic of Love」ではカラフルなライティングと映像が加わり、会場は一転して華やかな雰囲気に変わる。MCではあ~ちゃんが「本当に最高の景色です。また幕張でできると思ってなかったので、本当にうれしいです」と集まった来場者に向けて感謝。のっちは「本当に憧れの、憧れていいのかもわからないくらいの孤高の存在、電気グルーヴさんとの対バンということで、今日は非常に興奮しています。ステージに出てきたときに皆さんの仕上がり具合を見て、電気さんのライブがどんなだったのかわかりました」、かしゆかは「みんなが楽しんでる声が楽屋まで届いて、『ああ、今日は出たくないなあ。お客さんになりたいなあ』ってずっと言ってました」と、電気グルーヴと対バンできる喜びを噛み締めた。さらにかしゆかが「今回の対バンに関して、自分より年上の人が『熱いっすね!』って言ってくれるから、今日のお客さんは年齢層がいつもより上なのかなと思って」と語ったことから、観客の年齢を聞くアンケートが実施されることに。「40代」「50代以上」という呼びかけに大きな声が上がると、のっちは「おじさまステキ!」と喜んだ。
また、あ~ちゃんは電気グルーヴのライブを初めて観た2004年の「WIRE04」を回想。「中田(ヤスタカ)さんの曲のよさを知るためには『WIRE』でしょ、って当時のマネージャーさんに言われて、上京してすぐ観に行ったけど、当時はなんで大人たちが盛り上がってるのかマジでわからなかった。ステージ上ではずっとおじさんがふざけてるし、お客さんも全然ステージを観てない。これでステージが成り立つっていうのが衝撃で。でも、あとで電気グルーヴさんのよさに気付いて大ファンになってからは『なんであのとき楽しまなかったんだろう』って惜しい気持ちになってます」と語った。さらに彼女たちは、瀧のライブ中のダンスや、DJブースから飛び出してくるときに卓球の動きをコピーして会場を爆笑で包む。観客をエリアごとにチーム分けしてコール&レスポンスする恒例のコーナーでは、「WIRE04」のステージ上で瀧がセグウェイに乗っていたことを受けて「セ」「グ」「ウェイ」チームに分けられた。
後半戦はカンフーアクションを振りに取り入れた「いじわるなハロー」、傘を持つ仕草をダンスのモチーフにしたライブ初披露曲「宝石の雨」といったレアな選曲が続き、イントロが始まるたびにフロアから驚きの声が。さらにハイヒールの冷たい足音を合図に「GAME」がスタートすると、ライトセーバーを振りながらの3人のクールなダンスと、その踊るメンバーの姿にCGを重ねる近未来通信な映像演出により、フロアは興奮で満たされていく。「エレクトロ・ワールド」では沸き上がる観客のコールを、あ~ちゃんは感慨深げに聞いていた。
そして始まった「P.T.A.のコーナー」で、あ~ちゃんは「『Perfume FES!!』ではいつも対バン相手の皆様とコラボレーションをさせていただいていますが、今回……できませんでした!」とお辞儀。続けて「でも、ウチらの電気さんへの思いは計り知れないんですよ! だから今日は電気さんへの愛を伝えたいと思ってます」と語り、3人はそれぞれ電気グルーヴへのリスペクトを口にした。するとのっちが「私なんて昨日の夜、電気グルーヴさんが夢に出てきました。瀧さんとキスをする夢です」と突然告白。「興奮しちゃって、ものすごく盛り上がりそうな曲が思い浮かんじゃった」というのっちが「夢で KISS KISS KISS」と口ずさむと、観客も後に続いてコーラスをする。そのやりとりに3人は「初めてじゃないみたいな一体感!」とびっくり。そしてのっちが「1曲できちゃいました!『Shangri-La』!」と叫び、電気グルーヴの「Shangri-La」が会場に流れ始めた。かしゆかとのっちは曲に合わせて妖艶に踊り、あ~ちゃんはミニセグウェイに乗ってステージ上を滑走。このパートのVJはDEVICE GIRLSが担当し、電気グルーヴ風の「パフューム」というロゴマークや、シングル「Shangri-La」のジャケットをオマージュしたチューリップのイラストなどが流れた。なお、このときあ~ちゃんが乗っていたミニセグウェイは、のっちから誕生日にプレゼントされた私物だという。
ヒートアップした熱気をさらに上昇させるように、続いて彼女たちはキラーチューン「Party Maker」を投下。オーディエンスを興奮の渦に巻き込み、ラストに「Puppy love」でライブを締めくくった。これでイベントは終了したかに思われたが、あ~ちゃんが「電気グルーヴさんと一緒に何かできないかギリギリまで考えていたので、終わりの時間をフワッとさせてたんです。でも次の出演イベントがあるということでもうお帰りになられました」と説明し、この時間を使ってもう1曲歌うことを提案。観客に「なんの曲がいい?」と問いかけ、フロアからいろいろな曲名が挙がったが、のっちの希望で最後に「チョコレイト・ディスコ」を歌うことになった。急遽決まった予定外のパフォーマンスゆえ、映像などの演出もなく照明もシンプルではあったが、作り込まれていないステージングが逆に新鮮な印象を与え、会場はこの日一番の盛り上がりに。歌い終えたあ~ちゃんは「照明なくたって、みんなとの最高の思い出ができたよね!」とうれしそうに叫び、さらに「悔しい思いは次の目標を作ります。諦めないでまだまだ活動しますので、電気ファンの皆さん、私たちをまた観に来てください!」と宣言。惜しみない拍手に包まれながら初日のライブは終了した。