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起業家は会社員よりも健康かつ幸せ:研究結果

起業家は会社員よりも健康かつ幸せ:研究結果

Inc.:スタートアップコミュニティの勇敢なメンバーや優秀なジャーナリストたちのおかげで、起業とメンタルヘルスの問題が取りざたされています。

「自分だけが苦しんでいる」と思っていた起業家には嬉しいニュースかもしれません。でも、こうした報道は、「起業は精神的につらく、幸福を犠牲にしなければならない」という印象を人々に与えかねません。起業すれば大金を稼げる可能性はあるが、悲劇的な結果(と病気)を招くおそれがあると結論付けてしまう人がいるのではないでしょうか。

でも、とある研究結果によると、それは真実ではなさそうです。心の病に苦しむ起業家がいるのは確かですが、科学によると、平均的な起業家は、総じて会社員よりも幸福かつ健康のようなのです。

起業家は健康である

この嬉しい事実を知ったのは、起業家でブロガーのJames Clear氏のブログ記事がきっかけでした。起業家の身体的健康をテーマにしたその記事において、Clear氏は、ベイラー大学とルイジアナ州立大学の研究を引用しています。

研究グループは、アメリカ疾病予防管理センターのデータと国勢調査の結果を組み合わせて、興味深い結論を導いています。小規模ビジネスが増えるにつれ、周辺コミュニティの健康が改善されているというのです。たとえば、コロラド州サミット郡(小規模ビジネスが非常に多い)では、死亡率、肥満率、糖尿病率が、全国平均の半分以下でした。

とはいえこれは、1つの研究結果に過ぎません。他の科学者が同様の傾向を指摘していないか、興味を持ったClear氏は、起業の健康影響を調べる個人的な研究プロジェクトを立ち上げ、起業は健康にいいという結論を導き出しました。具体的には、起業は身体的・精神的病気の発症率を大幅に下げ、通院回数を減らし、人生の満足度を高めるることがわかりました。

やらされ感のなさが幸福のもと

人生の満足度が高いということは、起業家は健康なだけでなく、幸せなのでしょうか? 検索してみたところ、すぐにその証拠が見つかりました。スタートアップの不安定さがあっても、起業家は全般的に、安定した場所に落ち着いている人よりも精神的な幸福度が高いようです。

ペンシルベニア大学ウォートン校が卒業生1万1000人を対象に行った調査では、「お金で(ある程度の)幸せは買える」という、古いことわざに反する結果が出ています。稼ぎがいい人ほど、全般的に人生に満足している傾向があるそうです。しかし、幸福を予測する最大の因子は、稼ぎではありませんでした。収入を問わず、自身でビジネスを営んでいる人が、卒業生の中で最も幸福度が高いという結果になったのです。

この研究に携わった、ウォートンで経営学を教えるEthan Mollick教授は、「起業がそこまで支配的な要素であることは驚きでした」と述べています。

会社員でも、起業家のように考えればいい

銀行や金融関係に勤める人よりも、稼ぎは低くとも起業家のほうが幸せなのはなぜでしょうか? Mollick教授は、コントロールと主体性が関係していると考えています。

起業家は本当にハードに働いています。でも、どれだけ多くの時間をかけていようと、自分の時間を自分でコントロールしている感覚があります。

Clear氏も同様の見解を示しています。

起業で得られる権限と自信は、人生のあらゆる領域に影響を及ぼします。

このように、起業のストレスは必ずしも健康や幸福を奪うわけではありません。そして、もう1つ重要なことがあります。この知見は、起業家以外にも当てはまるのです。

自分の時間や運命をできるだけ自分でコントロールすることで、会社員であっても起業家と同じメリットを享受できます。起業家にならずとも、起業家のような考え方はできるのです。言い換えると、それができれば、心と体の健康を高めることができるということです。

Clear氏は、こう結論付けています。

決まった仕事をしていても、自分で道を切り開いていても、起業家がよく見せる主体的なマインドセットを見つけることが大切です。


Research: Entrepreneurs Are Happier and Healthier Than Employees | Inc.


Jessica Stillman(訳:堀込泰三)



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