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 生存を信じる祈りは届かなかった。富山・立山の山中に4人乗り小型機が墜落した事故は、一報から一夜明けた4日、全員の死亡が確認された。現場は険しい山岳地帯。当時は悪天候の中の飛行だったとみられる。

 「助けて、助けて」「外が真っ白」。事故直後とみられる3日午後2時51分、墜落機に乗っていた河西勝基さん(21)=長野県下諏訪町=だという男性から、機体を所有する新中央航空に電話がかかってきた。

 同社によると、電話は松本空港の同社松本運航所の整備課長が受けた。男性は興奮した様子で「前の席の2人は意識がない」「足が動かない、寒い」と訴え、整備課長は「大丈夫か。しっかりしろ。とにかく頑張れ」と伝えたという。

 その後電波状態が悪くなり、つながらなくなった。

 捜索は悪天候に阻まれた。霧で視界が悪く、富山県警のヘリコプターは夕方に引き返した。現場近くのホテルによると「事故当時の気温は2度。視界は300メートルほどしかなかった」。地上からの捜索も午後8時25分に打ち切られた。

 機体が見つかったのは約8時間半後。意識があったとみられる2人を含め、4人全員の死亡が搬送先の病院で確認された。富山県警上市署幹部は「強い霧でやむを得ず引き返さなければならなかった。苦渋の決断だった……」と声を震わせた。

 県警によると、4人の服装は「ジャンパー、ジーパンなどで厚着ではない」。医師で日本登山医学会の増山茂代表理事は「防寒着や食料、水がなければ熱量を補給できず、一気に低体温症が進行した可能性がある。墜落時の衝撃で外傷があったり、筋肉が損傷するなどのクラッシュ症候群で、さらに危険が増したと思う」と指摘した。

 今回の飛行は主に目視で周囲を…

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