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【社会】

グルメンピック 出店料詐取容疑 運営前社長ら逮捕

「グルメンピック」の開催をうたうホームページ

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 架空のグルメイベント「グルメンピック2017」の開催をうたい、参加を希望する飲食店から出店料名目で現金をだまし取ったとして、警視庁は三日、詐欺の疑いで、イベントを企画した「大東物産」(東京都中野区)前社長の大須健弘(41)=新宿区西新宿四=と、自称コンサルタント業の田辺智晃(42)=足立区新田三=両容疑者ら四人を逮捕した。捜査二課は認否を明らかにしていない。

 出店料を支払った飲食店で作る「被害者の会」弁護団によると、大東物産はグルメンピックについて、各地の飲食店がブースを設け、来場者の投票で金・銀・銅の各メダルを決定する企画と説明。調布市の味の素スタジアムと大阪市此花区の舞洲(まいしま)スポーツアイランドの二会場で二月に開くとしていたが、実際には開かれなかった。

 同社は開催直前の一月中旬、出店者に延期を通知。二月二十日に東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた。

 全国五百店超の飲食店から出店料として計一億三千六百万円を集めたが、返金は五百万円にとどまっているという。

 逮捕容疑では、昨年十一月下旬から今年一月上旬にかけ、千代田区と大阪市の飲食店二店舗に、グルメンピックの「出店者概要書」を郵送。電話で数回「特別枠を用意した。返金保証がある」などとうそを言い、計六十五万円をだまし取ったとされる。

◆「目を疑うような好条件だった」

 近年のグルメイベントの人気を背景に、「グルメンピック」を企画した大東物産は、通常では考えられないような好条件を提示するなどして飲食店を呼び寄せていた。支払いに応じたのは四十六都道府県の五百店舗超に及ぶ。

 「五輪に引っ掛けたイベント名で、出店意欲をかき立てる内容だった」。埼玉県草加市で唐揚げ店を経営する細田昌弘さん(53)は、郵送されたグルメンピックの「出店者概要書」を見た時の印象を振り返った。

 各地のグルメイベントに比べて、グルメンピックは出店料の優遇や売り上げの返金保証など「目を疑うような好条件が並んでいた」。開催規模にも魅力を感じ、昨年十二月に出店料の二十万円を支払った。しかし年が明けてからも説明会の案内などは来ず「だまされた」と直感した。

 細田さんは「どこかうそっぽさも感じていながら、飛び付いてしまった」と肩を落とし「次もだまされるのでは、と不安。食のイベントが盛り上がってきているのに、水を差された感じ」と話した。

 被害者の会代表で、東京都中野区でダイニングバーを経営する鈴木亮平さん(34)は逮捕の一報に「当然の結果。飲食業界にとって非常にマイナス。同じことが繰り返されないよう、警察にはしっかりと取り締まってほしい」と話した。

  (藤川大樹、加藤健太)

 

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