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RepoLog│レポログ

研究職サラリーマンが日々感じたことをレポートするブログです。

文系ビジネスマンでも知っておきたい!標準偏差とは何か

標準偏差という指標が何を意味しているのかを知ることで、ビジネスチャンスは広がりを見せてくれるはずです。

いやいや、自分は数学なんて嫌いで高校時代もまもとに勉強してないし…なんてビジネスマンなら言ってられません。

というのも、ゆとり教育が終わりを告げた2012年程度以降、統計・データ分析は日本の数学教育の重要事項として、今では高校必修科目の数学Ⅰに組み込まれ、センター試験でも必ず出題される時代になっているのです。

つまり、あと数年すれば文系出身の新卒者でもある程度の統計知識を持った社会人が増えていくことになるわけです。

確かに、難しい統計的検定処理までしっかり理解していくには、大学である程度の知識を学ぶ必要がありますが、平均値から標準偏差、相関係数を算出し、相関関係を見抜く程度の基礎統計学の知識は、これからの時代どんどんと需要が増し続けていくことは、そうした教育課程の編成から見ても明らかなのではないでしょうか。

当ブログでは、ビジネスチャンスにもつながり、これからのビジネスマンには基礎知識になるであろう統計学・データ分析力を、感覚的に理解できることを目指し、35歳から学ぶ統計学として記事を書いています。

当ブログでは、イラストや図解を多く取り入れ、計算式はできるだけ少なくした上で、本質的な理解を目指しています。

文系脳の方でも、「なるほど!」と感じたり、「統計学おもしろいな」と、学ぶことがちょっと楽しくなるきっかけになったりしてくれたらこれほど嬉しいことはありません。

前置きが長くなってしまいましたが、それでは早速、標準偏差について学んでいくこととしましょう。

 

本日学ぶ統計学の知識

☑ ビジネスシーンでも重要な指標である"標準偏差の意味"を知る

 

高校まではただ答えが出れば〇をもらえる数学でしたが、社会では出てきた答え(数字)に秘められた意味を考えることこそ重要です。

標準偏差の意味を知れば、様々なシーンで応用が利き、利益に結び付いていきます。

そこで、本日は、基礎統計学の知識の中でも、汎用性が高く、ビジネスシーンにもよく用いられる「標準偏差」という指標について、その指標の持つ意味と実際のビジネスシーンでの使い方を解説していくこととします。 

標準偏差の算出方法 

まず、標準偏差とは何かという意味を知るにあたり、しっかり押さえておきたいことが、標準偏差の算出方法です。

標準偏差の計算方法は、非常に単純です。また、Excelを使えるのであれば、一瞬で導き出すことができます。

ただ、標準偏差の算出過程の中でも学ぶことは多くありますので、一度計算過程について触れておくことをお勧めします。

以下の記事では、平均から標準偏差までの算出方法をポイントを押さえ、解説しています。もし標準偏差の計算方法がいまいち分からないという方は、まずこのレポートから参考にしてみてください。

標準偏差とは何か

さて、標準偏差の算出方法が分かったところで、算出された数値にどんな意味があり、どうその数値を判断していくかが分からなければ、せっかく得た知識は宝の持ち腐れです。 

上で紹介したレポートでは、標準偏差までの算出方法をイメージできることを目指しましたが、レポートへのコメントでも次のようなものがありました。

サルでも分かる!平均値から標準偏差までの流れ - RepoLog│レポログ

数が苦手だけど、なんとなく分かった!標準偏差ってどんなときに使うのかもう少し知りたい。

2017/04/09 14:09

こうした疑問を持っていただくことは非常に重要で、「計算できればよし」という高校までの学習スタイルでは身に付きにくい姿勢ですが、社会人にはとても大切な要素だと思います。

それではまず、標準偏差とは何かをイメージしてもらうことから解説していきます。

標準偏差のイメージは「波の高さ」

あなたはサーファーです。

湘南の海に今日も朝から出かけると、その日はとても穏やかで波はほとんどありませんでした。サーフィンをされる方は、こんな日は残念な日のようですね。

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そこで、次の日も朝から同じ場所に出かけると、この日は台風が近づいてきていることもあり、大荒れの海となっていました。サーフィンにはもってこい波高の海で、この日はサーフィンを楽しむことができました。

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さて、いきなりサーファー気分で話を聞いてもらいましたが、この2日の状況こそが実は標準偏差という指標のイメージになります。

同じ時間、同じ場所での海の水位はほぼ同じと考えることができます。 

つまり、上の2日間は水位に関して同じ状態にあるわけです。これは数学では「平均値」として捉えることができます。

水位は同じでも、どれだけ波が隆起しているか、激しく上下しているかは、非常に重要な情報になることがあるわけです。

この波がどれほど激しく上下しているのかを数値で表したものこそ標準偏差なのです。 

同じ水位の海でも、30㎝の波なのか、1mの波なのかは、サーファーにとっては非常に重要な情報になるわけです。

こうしてみると、平均だけでも物事の状態を表すことは非常に断片的な見方であることがよく分かっていただけると思います。

標準偏差の算出過程を思い出してみると…

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標準偏差は分散の平方根(ルート)をとった値でした。

そして分散は、

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偏差を平均化したものであり、偏差とは

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で求めることができる平均値からどれだけ離れたを表す数値でした。

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つまり、標準偏差は「平均値から離れ方を平均化した値」であることがその算出方法からも読み取れたわけです。

波の事例でいえば、穏やかな波の日は平均水位からの変化が少なく、平均のあたりにデータが固まっている状態であり、標準偏差の値は小さくなります。

一方で、荒れた波の日は平均水位からの変化が少なく、平均から離れたデータが多く存在している状態であり、標準偏差の値は大きくなるのです。

標準偏差で分かる2つのこと

標準偏差とは何かイメージができたところで、標準偏差を利用することで分かる2つのことを紹介していきます。

実社会で標準偏差を用いる際、次の2つのことが分かります。

  1. 自分自身を平均と比較し、「月並み」か「特殊」かを図る
  2. 複数の集団を比較し、「安定している」か、「ムラがある」かを図る

1.に関しては、標準偏差を利用した指標"偏差値"に代表されるように、自分自身の置かれた状況がどれほど特殊な状態にあるのかを知ることができます。

2.に関しては、複数の集団においてどちらの集団が特殊な状態に置かれているのかを判断することができます。(さきほどの波の例はこちらに該当)毎年発表される日本の平均所得についても、平均値がよく取りざたされていますが、標準偏差を見てみると、その値がグングンと上昇していることが分かり、さきほどの例でいう荒れた海状態になっていっていることが読み取れます。

あるデータ(自分自身)に着目し、その置かれた状況を把握するのか、集団に着目し、集団としての状況を把握するのか、標準偏差を用いてる際には、この点を意識しながら数値化していくことが大切です。

続いて、ビジネスシーンで用いられる標準偏差の事例を紹介してみます。

投資現場で用いられる標準偏差 

資本主義経済を支える構造のひとつに「株式」というものがあります。

今の時代、投資を行っている社会人は 多く存在しているでしょうし、個人で投資を行っていないとしても、会社として投資を行っていることはあり、株取引に使われる用語をざっくりと知っておくことは、ビジネスマンとして大切な知識になるはずです。

そして、この株取引の場面でも標準偏差は用いられているのです。

株の平均収益率

株式投資は、株式市場における保有株の価値価格の変動を利用して儲ける仕組みになっているわけですが、その収益はキャピタルゲインと呼ばれ、このキャピタルゲインを目当てで投資を行う場合、「平均収益率」という指標をすることになります。

例えば、月次平均収益率を見れば、ある銘柄株が1か月の間に何%値上がり(値下がり)したかがわかります。

では、平均収益率だけを見て投資を行えばいいかというと、それだけでは非常に危険な投資になることは、ここまでの話を読んでいただけた方ならよく分かっていただけるかと思います。

平均値だけでは、非常に断片的な見方になるわけでした。そこで、株取引の場面で用いられる標準偏差の数値を確認することも重要になるわけです。

株における標準偏差

株取引を行う上で、大切な指標のひとつに「ボラティリティ」というものが存在します。

計算方法は、上で紹介した方法と異なりますが、ボラティリティの意味することはまさに標準偏差と同値です。

 

ある株の「予想変動率」を数値化したものがボラティリティになるのですが、この数値指標からどのようなことが判断できるのでしょうか。

例を挙げながら、その意味と重要性に触れてみましょう。

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上の2つは、月次収益率を棒グラフで表したものです。2つとも月次収益率は同じ2%です。

上の株は常に2%の利益を安定して維持しているのに対し、下の株はマイナス10%の損失を出す月もあるわけです。

この2つの株の標準偏差を算出すると、上の株の標準偏差は「0」、下の株での標準偏差は「7」となります。

先ほども述べたように、標準偏差が大きいほど上下の幅は激しくなるのでしたから、この例でもその考え方が当てはまることがよく分かっていただけるかと思います。

それではこの標準偏差「7」のより具体的な意味を確認していくこととしましょう。

ボラティリティの意味するもの

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赤線が月次平均収益率2%のラインになります。そこから標準偏差±7の場所に2本のオレンジのラインを引いてみます。

すると、このオレンジのラインの2本の中にほとんどの月の平均収益率が収まっていることが見て取れます。オレンジのラインの外にはみ出ている月は、4月・5月・9月・12月の4か月間だけです。

つまり、(平均値)±(標準偏差)の幅の範囲にデータが収まることになるわけですから、これにより、おおまかな収益の変動を捉えることができるわけです。

株式投資において、標準偏差の意味を知ることは、「リスク管理」と「リターン見込み」を把握することにつながるわけです。

標準偏差を知れば、行動が変わる

「文系ビジネスマンでも知ってきたい!標準偏差とは何か」と題し、標準偏差の意味に着目してレポートを書いてみました。

いかがだったでしょうか。

普段目にする指標の多くは、平均値となっています。

最近では、場合によっては中央値のほうが重要だという認識は少しずつ広がっていますが、そうした代表値だけでものごとを捉えることは本質を見逃してしまうことにもつながりかねません。

標準偏差については、変化を読み解く力が内在しています。ビジネスシーンにおいて、変化を読み解く力は、まさに最強の能力といえるのではないでしょうか。

標準偏差の意味が分かると、さっそくビジネスシーンで使ってみようという気になりませんか。是非とも、標準偏差の持つ意味と力を自分のものにして、ビジネスチャンスをものにできる社会人を一緒に目指していきましょう。

今後も統計学の知識を分かりやすく説明することを目指していきますので、ぜひ読者登録&Twitterフォローしてみてください。