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shi3zの長文日記 RSSフィード Twitter

2017-06-04

こんなに人に読ませたくなるタイトルのプログラミング入門書がかつてあっただろうか 08:00

 プログラマーとそうでない者との間には仕事をすすめる上での効率がふた桁くらい違う。

 そんなことは当たり前だと思うだろうか?もちろん、プログラマーならみんなが知っている単なる事実だ。

 でも実は一般的な人にはそれはイメージしづらいのだ。


 僕は「最速の仕事術はプログラマーが知っている」という本を書いたが、あれはあくまでも、プログラマーの思考様式を普通の人に向けて解説した本であってプログラミングをしなさいという本ではない。


 そしてこの本の欠点はタイトルだった。

 僕の知人女性は「でもわたし仕事べにはやいしー。仕事やるスピードに不満ないしー」と思って読まなかったそうだ。


 そう、たしかに優秀なプログラマーは仕事が早い。しかし優秀でないプログラマーは仕事が遅い。そしてプログラマーが仕事が遅い言い訳というのは、軽く1ダースを超える定型文がある。


  • デザイナーから渡されたCSSがクソで
  • デザイナーから渡されたテンプレートがクソで
  • ライブラリの依存関係が解決できなくて
  • サンプルコードの想定動作環境が古すぎてつかえなくて
  • サンプルコードとして渡された言語が特殊すぎて
  • サンプルコードがスパゲティすぎて
  • リファクタリングしてて
  • しつこいバグがとれなくて
  • 頭のなかでプログラムを書いてて
  • Azureがとまってて
  • 一日に無料で使えるAPIのリクエスト発行上限に達してて
  • 設計からしっかりやりたくて
  • 仕様書が腐ってて
  • 顧客から直電きて対応してて
  • さっき出社したばかりで

 この煙幕の凄いところは、ウソか本当かプログラマー以外にはわからないことだ。

 まあ出社時刻とか直電とかはわかりそうだが、たとえばプログラマー出ない人が腐った仕様とかCSSやHTMLのできなどわからない。


 凄いのは、自分のスキルが低いから、というごく当たり前に思える理由はひとつも出てこないところだ。

 さも自分はちゃんとしていて、悪いのはあくまで環境である、という言い方をするとまるでできる人のように見えてしまうというのがプログラマーの欠点でもある。


 こうしたプログラマーのウソを見抜く方法というのは別の本にまとめた。




 しかし、僕の本はどちらも、プログラマーの考え方を知ったり、プログラマーに丸め込まれないためのテクニックをまとめたものであってプログラマー出ない人にプログラムをさせるという域にまでは到達していなかった。


 そこに現れたのがこの本である。



 これだ。

 なんでこういうタイトルを思いつかなかったのだ。


 「退屈なことはプログラムにやらせよう」とかで良かったのだ。

 今風に言うならば「面倒なことはAIにやらせよう」でもいい。


 というわけでこの本、はやくもベストセラー一位である。

 そして面白いことに、この本はプログラマーである僕も興味をひかれるのだ。



 プログラマーは意外と、仕事や自分の趣味以外でプログラムすることが少ない。


 それ以外にどんな場面があるのか疑問に思うかもしれないが、実はプログラムでやったほうが簡単なことも、意外とプログラムを書くのが面倒で人力でやったりする人が少なくない。


 普段からいろんな問題にプログラムを適応して考えているので、たまにはアタマを使わずに単純作業がしたいと思うこともあるのだ。


 しかし普通の人が仕事の自動化に使えるプログラムならば我々の仕事(特に問題にプログラムを適用するあたり)も多少はラクできるのではないか。そんな期待感があるではないか。


 ということで注文してみた。

 まだ中身は読んでないので面白くなくても保証はしない。


 けど、オライリーのこの手のふざけたタイトルの本はだいたいアタリである。

 他に面白かったのはアンビエント・ファインダビリティという本だった



 10年以上も前の本だが、現代にも通用するアイデアや視座にあふれていてこちらもオススメ