半年に一回くらい観返すのが『木枯し紋次郎』。
凄く影響を受けたし、マネもした。

尊敬する監督の十指に入る監督。
とにかくスタイリッシュで、ビジュアリスティック。
彼のタイポグラフィーを『エヴァ』がパクって、なぜか『エヴァ』が元祖みたいになってしまったのは有名な話。

若干実相寺昭雄と被ってる気がしないでもないが、実相寺が徹底して諧謔的・皮肉的なのに対し、市川は少しウェットなのだ。
「技のデパート」だけでなく、情感を大事にする人だった。
『細雪』や『映画女優』など、映画史の本流で生きてきたひとならではの、艶があった。
吉永小百合の魅力を一番引き出せる人でもあったね。

トンデモ映画扱いされる『竹取物語』だが、僕は好きだ。
考証もしっかりしているし、SF要素も悪くない。
逆に市川の懐の広さを感じさせる映画だ。

まぁでも、ダントツに一番好きなのは『木枯し紋次郎』。
このペーソスはなかなか出せない。人間ドラマとして優れている。
何とか翻案できないかなぁと、いつも考えているのだが・・・。