どこまでもまっすぐに 田中將介(^^)

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ethical journalism magazine 

おもしろいことは言えません。 しかし、誰かがおもしろいことを言ったことに対しては、ものすごい勢いで笑います。そんな人間です。Twitter:@ethicalmasa

カンボジアのユニクロ下請け工場に本当に潜入してみた

こんにちは、 毎年恒例となっている、カンボジア取材というか旅行に

2週間ほど行って参りましたので、その報告を。

 

アンコールワットを見て、おいしいビールとご飯、マッサージやカジノで豪遊〜!!

 

なんてことはしません。

あくまで、苦しい、そして面倒な道を進みました。

 

 

私が違和感を持ったのは、最近のファストファッション批判と、ユニクロ批判です。

有無を言わさない徹底的な批判で、どこにも反論の余地はありません。

 

けれど、私はなぜか「それ」を見ていて、非常にむしゃくしゃしました。

なぜなら、批判をすることによって、そこだけで盛り上がるのであればよいのですが、

下請け工場労働者を助けたい人たちが、ファッションアパレル企業を批判することによって、労働者たちを苦しめる。

ということに気がついていないからです。

 

なんという矛盾。

 

 

私の愛する国、カンボジアにおいて、自分の五感と人脈を使ってふらふらしてきたので報告します。

(今回はざっと書きますが、詳細を書かせてくださるメディア探してますw)

 

 

前もって言っておきますが、週刊文春やそのジャーナリストの批判をしたいわけでも、正解はこれだ!と事実を突きつけるような気持ちもありません。

ただ、こんな現場もあったんだ〜へえ〜くらいの柔らかい心で、目を通してくださいね。

 

 

 

 

 皆さんご存知なのは、週刊文春の記事でしょう。

 

bunshun.jp

 

bunshun.jp

 

申し訳ないんですが、

「カンボジアのユニクロ下請け工場に潜入」していませんこの人。

潜入というのは、工場の中に入ったということですよね?

カンボジアに行ったことだけで、「潜入」というのは、何が何でもおかしい。

と、こんな揚げ足取りはしたくないので、ここでやめておきます。

 

というのも、

基本的に、カンボジアにおける工場はセキュリティがしっかりとしています。

一つの工場につき、きちんとガードマンが何人かいて、門も固く閉ざされており、

工場にアポイントメントを入れるのも難しい。

まず電話がかからなかったり、メールアドレスが間違っていたりします。

 

なので基本入れません。

 

「じゃあお前はどうなんだ」と言われると思いますので、答えておきますと、

私は工場の中に入り、きちんと自分の目で見ました。

そこで働く人たちともきちんと顔を合わせて話しました。

たった5年ではありますが、在住もしていたので、つながりを利用してくまなくチェックして、疑問点は聞き出しました。

 

別に自慢したいわけなんですが、特に自慢できる出来事でもないので、このまま続けますw

 

では、「工場内部はどうだったのか」

に入る前に、少しばかり、

現地の人はユニクロ潜入記事についてどう思っているのか聞いたところ・・・

 

 

皆さん、憤慨していました。

 

現地でファッションブランドを経営する方

「私はこれまで縫製環境を学ぶためにいろんな工場を回りましたが、あんな労働環境なんて見たことない」

 

カンボジアの工場で働く日本人スタッフ

「労働環境が悪い場所はあるかもしれないが、あの記事は1を100くらいにしている。答えありきで取材したんでしょう」

 

 

労働組合?

週刊文春の記事の中で、その筆者がカンボジアの労働組合会長に「現場を見に来てくれ」と誘われ、取材をしてきたことが書かれている。

 

これは、完全に、相手側の意向にのっかってしまった可能性が高いです。

労働組合というと、労働者を守るために活動する団体というイメージがありますが、

 

この国の人に話を聞いていく中で、

皆口を揃えて、

労働組合の労働者への「搾取ビジネス」が盛んであるといいます。

 

さすが、賄賂大国です。

最新の発表だと、腐敗認識指数で、カンボジアは、176位中156位。

トランスペアレンシー・ジャパン

 

 

簡単に言えば、労働組合が、「カンボジアの労働環境はこんなに大変なんです。だから支援してください。私たちがなんとかします」といって、大量のお金をもらい、私服を肥やしているらしいです。

 

実際に工場のスタッフは、労働組合の人にお金を支払っていることも証言しているし、

この国では賄賂が当たり前なので、仕方ないで終わっている話でもある。

 

 

ある人はこう話してくれました。労働組合の人との会合に出席したときのことです。

 

組合:「私も昔は貧しい労働者でした。そこから勉強して、ここまで登り詰めました。だから労働者の気持ちがわかります。彼らの人権を守るために、私は頑張ります」

 

と話していたので、その方が感動していたところ、

別れ際、高級車に乗り込み、去っていったのを見て、呆然とした。

 

とのこと。なんだか滑稽です。

 

 

では、工場内部はどうだったのでしょうか。

 

まずは記事の中で、労働者たちのこんなコメントがあります。

 

「24時間連続での勤務が月6日ほどあった。朝7時から翌朝7時までという勤務時間。その残業を入れても、月給は170ドルから180ドルだった」

「中国人の現場監督がいて、ちょっとしたミスでも怒鳴り散らします。同僚がハサミを投げつけられ、目の下を切ったのを見たこともある。工場の安全環境はひどく、すべての場所が狭すぎて、火事が起きたら逃げられない恐怖心を抱きながら働いている」

 

まずすごい!と思ったのは、記事の筆者、

どうやってカンボジアのユニクロ工場で働く人を探し当てたのだ?

 

なぜなら、カンボジアの工場の数は1500を超え、60万人以上が働いています。

その中で、カンボジアでユニクロ製品を作っている工場はたったの4つ。

 

しかも、都心部からなかなかの距離にあります。

 

なぜ、私が知っているかといえば、単純にユニクロが今年3月に工場のリストを発表したから。

 

なぜスゴイと思ったかといえば、この筆者が、カンボジアに行ったのは去年の8月なので、ユニクロの工場リストは発表されていないからです。

 

さて、では、勤務時間に関して、労働者に聞いてみました。

 

「そんなもの(24時間勤務など)見たことないしやったこともない」

 

「万が一、他の工場であったとしても、必ずシフト制になるので連続24時間はありえない」

 

「そもそもユニクロなどのブランドは特に、環境に対しての指摘が厳しい。

むしろ工場側の人間としては、その監査がなかなか面倒。効率が下がってしまうから。」(要するにブランド側からのチェックは厳しい)

 

「中国人の現場監督は、指摘することはありますが、そんな乱暴なことはしません。

なぜならブランドが厳しいですし、そもそもそんなことしたら、

労働者たちがストライキやデモを行い、工場が潰れてしまうからです。」

 

確かに、私は中国人の現場監督と行動を1日ともにしたが、

中国語は独特のきつさがあり、多少高圧的に感じるものの、

そもそも、工場では、中国人の現場監督、現地の言葉がぺらぺらで、

現地語で話しをしていたので、多少声が大きいくらいで、むしろ尊敬しました。

 

 

写真を公開することは、プライバシーと信頼関係的に今はできませんが、

ゴミが床に落ちていることはほとんどなく、驚くほどに綺麗でした。

工場内はエアコンがないため、暑く感じるものの、

きちんと大きなファンと水蒸気で、温度を下げる努力はどこの工場もされていました。

 

敷地内に4つの同じカタチをした工場がありました。

火事の心配をしている労働者など皆無です。そんなこと誰も考えていません。

 

よくよく考えたら当たり前です。

それよりも、目の前の商品をきちんと作り、

対価としてお金をもらうことを第一に考える、そういう人が多いのが、

この国の人たちです。

 

なぜなら「残業したいから、残業のない工場は辞めます」と答える人の数が非常に多いからです。

 

もちろん妊娠したとか個人的な状況があった場合は、残業を好まない人もいますが。

 

残業がないと、生活できないというのは、日本も同じ。

残業代で稼ぐ。だから、残業は強制ではなく、立候補制であるらしい。

残業代は1.5倍、2倍など詳しい数字も聞きました。

 

そもそも、残業があったとしても、1日中、働かせるなどということはできない。

なぜなら、帰りのバスの時間が決まっているからです。

なので、皆残業したとしても、きちっとした定時があります。そうしないと、

1時間、2時間以上かけて家から通っている人が多いので、家に帰れません。

 

そういった人たちは、朝、出勤するため家を出るのは朝5時代。

さすがにその生活は、大変だなあとも思う。

 

ある男の子は、工場内で奥さんをゲット、

今も同じ工場で働いていて、奥さんのお腹には子供がいる。

「昔はプノンペンで 働いていましたが、こっちにきてラッキーでした」と、

少年のような顔をし、笑いながら話していた。

 

総じての印象は、工場の広さと綺麗さ、そして労働者たちの表情に、

私はほっとしたというより、期待外れで戸惑ってしまったというのが、

今回の滞在の感想だ。

想像を超えた、きちんとした環境と、労働者、スタッフたちの声だったからだ。

 

現地の人たちがよっぽどカンボジアの工場は日本の労働環境より

「エシカル」だと口を揃えていうのが、よく理解できた。

 

他にも、他の工場の労働者やその家族、工場のお医者さんや中国人のスタッフ、

様々な方にも話を聞きました。

 

これだけが全てではありませんが現時点で言えることは、

「工場があることは彼らにとって命の手綱である」

そして、「事実、根拠なき批判は、労働者の生活を脅かすことになる」

 

私はそう思います。

 

 

最後に労働者の声を。

「私は工場で働けることで、収入が安定することにありがたさを感じています。

しかしなにより、普段は、家の外で一人で物を売っている最中、

誰か悪い人に連れ去られたりする恐怖を感じていました。

けれど、今は多くの人が工場の中で一緒に働いているためそんな心配はありません。

日常で命の危険にさらされることがなくなり私も家族もほっとしています。」

 

 

ユニクロ潜入の記事、嘘とは言いませんが、誇張が過ぎるのでは?

ユニクロを批判したいがために、カンボジアの下請け工場を材料に使ってほしくありません。

 

 それよりも、ユニクロは利益率そんなに高くないけど、

日本の他の有名ブランドなんて、日本で高く売っているのに、カンボジアの労働者たちのお給料は、ユニクロの工場のお給料と、変らないんですよ。

つまり、オープンにしていない企業のほうが、利益あげていて、なおかつ知らんぷりしているという事実・・・

 

今日も上下ユニクロです。

頑張れユニクロ。